現役保険営業マンの「生命保険徒然日記」

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS 大蔵省は「保護行政」一辺倒ではなかった!?

<<   作成日時 : 2007/06/29 17:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 8

今回は、国内生保と大蔵省にまつわるエピソードをご案内します。

では、早速本題です。

【大蔵省は保護行政一辺倒ではなかった!?アリコ、アフラック進出における大蔵省の思惑】
国内の生命保険会社は、1996年の金融規制緩和が起こるまで、大蔵省の保護行政下にあり、全社協調の路線を歩み続けた。

大蔵省は、96年の金融規制緩和まで、国内生保に対して“保護”一辺倒の行政指導を行い、過保護にしてきた。


と、考えている方は結構多いのではないでしょうか?

…確かに、大蔵省は保険会社に対し、戦後からしばらくの間「護送船団方式」と揶揄されてきた保護行政を行ってきました。また、保険会社もそれに合わせ全社協調路線を歩み続けました。

しかし、その保護行政が96年の金融規制緩和まで変わることがなく、国内生保を過保護にしてきたというのは事実と異なるようです。

大蔵省は、1970年代ごろから、国内生命保険会社の「競争より全社協調」の経営体質を改善させるために、行政指導を保護一辺倒から徐々に切り替えていたようです。

その一例が、アリコジャパン、アメリカンファミリー生命保険、西武オールステート(後のセゾン生命、現AIGエジソン生命)といった外資系生保の日本進出です。

当時の新聞報道*1と、それに対する専門家のコメント*2を見る限りでは、大蔵省は外資系生保の進出という刺激によって、「競争より全社協調」といった国内生保の体質改善を進めようとしていたものと思われます。

*1.当時の新聞報道
当時の新聞は次のように報じています。

【生保業界・外資の進出に大揺れ―迫られる体質改善(朝日新聞1975年12月3日・朝刊)】
 生命保険業界は、外務員制度によらない新しい販売方法と新商品を持った米国系外国資本の本格進出を迎えて大揺れ状態だ。「西武オールステート」が3日、設立総会を開いて正式に合弁会社を発足させ、来年1月からの営業開始に備えるのについで、「オクシ・デンタル・ジャパン」も近く大蔵省の内認可が下りるのを見込んで、来年(1976)4月からの営業開始をめざし本格的な準備に入った。日本市場の有望性に目をつけてすでに進出している「アリコ・ジャパン」「アメリカン・ファミリー」の両社が、いずれも短期間で成果を上げているうえ、大蔵省としても外資の刺激によって、わが国生保業界の体質改善を促進しようとしているだけに、迎え撃つ業界側は複雑な反応ぶりを示している。

 オクシデンタルは昭和30(1955)年1月、在留米国人相手の営業を認可されているので、大蔵省は一部変更認可の形で、同社の日本人向け営業開始を、近く認める予定。オクシデンタル(本社・米国ロスアンゼルス市)は保有契約高が現在約351億ドルで、米生保業界第9位。これまでわが国に進出した外資系のなかでは最大級で、わが国業界も本格的な生保外資の進出とみて身構えている。

 同社はカリフォルニアが本拠だが、カナダに進出して大成功をおさめ、現在英国、西独、フランス、オランダ、オーストラリアに現地法人子会社を持っている。特色は、事務所、車、電話など必要経費の一切を本社が無利子で融資して代理店を設置し、この代理店には多額の手数料を払って契約を獲得させる米商法。米本社の例では定期保険だと保険料の50%、終身保険だと同65%が代理店に支払われる仕組み。(中略)日本でもこの代理店制度をそのまま実施、手数料もほかの外資形成会社を大幅に上回る水準にする方針だという。

 また、代理店は契約者と一年に一度は接触し、消費者物価にスライドさせて保険料を自動的に増やしたり、定期から終身への自動転換条項をつけるなど、日本にはない仕組みの新商品を売り出す予定だ。

 3日発足する西武オールステートも、新機軸を編み出そうと工夫をこらしている。同社は当初資本金30億円、米流通業界の大手、シアーズ・ローバックが40%、オールステート・インタナショナルが10%、残り50%は西武流通グループの西武百貨店、西友ストアー、西武都市開発、西武化学工業の4社が出資する。(中略)同百貨店、西友ストアー、パルコなど同グループ小売業の店内を拠点とした店頭販売制度をとる仕組み。

 同社も「日本にはない特色ある商品」を売る予定で、終身、定期、養老などの基本契約の上に、支払い能力の変化などライフ・サイクルに応じて特約をつけたり外したりの「手づくり保険」を売り物している。

 先行した外資系2社は、「密室経営」でアグラをかいていたわが国生保業界にいずれも大きな影響を与えた。つまり、アリコ・ジャパンは、掛け捨て、無配当保険の先べんをつけ、アメリカン・ファミリーは「がん保険」という単純商品で大企業を代理店にする効率的な販売方法の威力を見せつけた。「日本にない商品、販売方法をとる外資を認可する」との大蔵省の方針は成功したといえよう。

*2.専門家のコメント
早稲田大学の鈴木辰紀氏(現在、早稲田大学名誉教授)は、上記報道に対し、次のようにコメントしております。

 この記事では、米国系生保会社ないし同国系資本の日本進出という新たな事態に、いささか戸惑い気味の日本の生保業界の様子が紹介されています。記事にありますように、わが国の大蔵省も従来からの「護送船団行政」といわれた業界過保護を脱して、生保各社の配当率の自由化をとおして各社の経営効率化の促進を図る一方、独自の販売方法で鳴る有力生保企業にわが国生保市場への進出を許して、これにより体質的に競争を好まず、もっぱら協調路線に陥りがちなわが国の生保業界に『喝』を入れようとしている様子がはっきりと窺えます。つまり、日本にない独自の商品や独自の販売方法を有する外国系企業に日本での営業を許可することで、「競争より強調」を好む業界に、真の競争を体験させ、そのことで生保業界全体が活気づき、真の経営効率化に向かえば、というのが大蔵省の願いと受け取れます。

 このような考え方から大蔵省は、すでに、掛け捨て、無配当保険を戦略商品とするアリコ・ジャパンおよび、「がん保険」を有力武器とするアメリカン・ファミリー両社の営業を認可したのに続いて、このたびは米国有数の通信販売会社シアーズ・ローバックとオールステート社およびわが国の西武流通グループの共同出資会社である西武オールステート社と、米国生保業界第9位の有力企業でカリフォルニアに本拠をもつオクシデンタル社の両社にわが国での営業を正式に認可することを通して、上述のような経営効率化・競争の活発化のいっそうの推進が目指されています。戦後長らく続いた生保の20社態勢も、かくして徐々ににではありますが、崩れつつあるといっても過言ではないでしょう。

*出典:保険批判菅見3


以上です…ふうε=(-.-;)。

皆様の一票をお待ちしております。
人気blogランキングへ

設定テーマ

注目テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
生命保険業界 情報 03
web版保険情報生命保険、損害保険の専門紙。業界動向、ニュース、販売ノウハウ等。... ...続きを見る
生命保険業界 情報
2007/07/27 13:12

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
外資の進出は、そんなに前から動きがあったのですね。てっきり自分が大人になってからのことだと思っていました。
外資の参入は、消費者にとっては良い結果になっているんじゃないかと、思います。
とことこママ
URL
2007/06/29 18:38
とことこママさん、こんばんは。
一番コメントありがとうございます。
>外資の参入は、消費者にとっては良い結果になっているんじゃないかと、思います。
>>同感です。契約者・被保険者本人やご家族が必要な保障をじっくり選べるなど、消費者にとって非常によい結果になっていると思います。
現役保険営業マン
2007/06/29 18:49
こんばんは。

いつも濃い記事をご苦労様です。
私もとことこママさんや現役保険営業マンさんと同意見です。
商売とは競争であり、すべての業種において「護送船団方式」は取るべきではないと思っています。
佐藤
URL
2007/06/30 00:20
佐藤さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
…いやぁ、どうしてもつい濃い記事になってしまうのです。
>商売とは競争であり、すべての業種において「護送船団方式」は取るべきではないと思っています。
>>確かに…競争がないと進歩を忘れてしまいますから、過保護はいけませんよね。
ただし、市場原理主義に陥ることがないようにしなければいけないと思っております。米国におけるエンロンやワールドコムの粉飾決算と破綻、電力危機などがその良い教訓です。
現役保険営業マン
2007/06/30 00:34
とても面白い視座ですね。流石です。歴史をふり返ることによって、見えてくる様々なポイント。自由化への転換点は私たちが実感しているより早い時期に模索されていたことが理解できますね。私は皆さんとは少し違う視点でこの記事を読みました。競争原理は護送船団方式においても働いていたのではないでしょうか?ただ許認可事業の長い歴史の中で、保険会社の代理という立場において、閉塞感が販売者側に強いのは良く理解できます。アメリカ信奉みたいな感覚が日本では強いですが、実際は州ごとによっても異なり、むしろ日本に近い州もありますね。現在行き過ぎた利潤追求の反動で、州ごとの認可事業を、連邦法の枠で捉えなおそうとの動きもあります。
ここで間違えてはいけないのは、なんでも自由というのではなく、<機会の自由>であって、実は日本より厳しい販売者の責任を負いながら市場で競争を戦っている点を忘れてはいけないと思います。
なんちゃって生意気言いました^^
goodday
URL
2007/06/30 01:33
gooddayさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
>競争原理は護送船団方式においても働いていたのではないでしょうか?
>>実際は競争原理が働いていたが、目立たなかっただけかもしれないということでしょうか?

…なるほど、アメリカの保険事情は結構複雑なのですね。勉強になります。

>ここで間違えてはいけないのは、なんでも自由というのではなく、<機会の自由>であって、実は日本より厳しい販売者の責任を負いながら市場で競争を戦っている点を忘れてはいけないと思います。
>>機会の自由…なるほど!!同感です。
現役保険営業マン
2007/06/30 01:49
この内容には素直にうなずくことが出来ません。なぜなら商品認可のなかで金融庁は価格の横並びを指示してきたからです。外資の算入はアメリカの圧力、ともいえます。ガン保険はアフラックが専売だったのも日本の保険業界に喝を入れるためだったのでしょうか?医療保険は?
まぁ、日本の生保がだらしなく堕落していたのが問題なのですが。
クロベエ
2007/07/02 14:17
クロベエさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
…確かに、アフラックのがん保険専売という「開発利益の保護」などに代表される利害調整を重視した「保護行政」も行ってきました。おっしゃっていることも事実です。
…医療保険は、契約者の要望が強まったことで、大蔵省主導の下、30年以上前に一旦は商品化が計画されたものの、疾病入院特約の不正受給が多発していたことが主な原因で中止されました。
ですので、喝を入れようとしていたことも事実と考えております。
現役保険営業マン
2007/07/02 16:22

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文