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help RSS 一時払個人年金保険の高齢者契約を巡る裁定事案―適合性原則違反?

<<   作成日時 : 2010/03/19 19:42   >>

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生命保険協会が取りまとめた、平成20年10〜12月の苦情受付状況(「ボイス・リポートNo.17」)に、一時払個人年金保険の高齢者契約を巡る裁定事案がありました。

リポートによりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 証券会社職員が高齢者に対し、適合性のない商品を不適切な募集行為により販売したとして契約を取り消し、既払込保険料の返還を求め申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成19年2月、証券会社職員(募集人)が積立利率金利連動型年金契約(一時払保険料200万円)を申し込み、さらにその2ヵ月後に追加(同800万円)で同年金契約を申し込んだ。

 しかし、当該保険は平均寿命を無視した保険で高齢者にとって極めて不利な商品であり、その募集行為は不適切なものであったので、2つの契約を取り消し、既払込保険料から既受取年金額及び年金一括受取額を差し引いた金額を返還して欲しい。

(1)契約の異常性
 満85歳の誕生日前後に2つの年金保険に合計1000万円の一時払保険料を支払契約したが、定額の年金以外は死亡給付金を含め一切の保証はないため、元金全額を取り戻すには約14年かかり、99歳まで生きてやっと元本が返ってくる。平均寿命を完全に無視した、高齢者にとって極めて不利な商品であり、適合性に反した商品である。

(2)不適切な募集行為について
 募集人は、亡くなった夫の担当者で、夫の遺産相続後も資産運用と管理を任せていた。生命保険には全く興味もなく必要性もなかったが、「80歳を超えても入れる生命保険がある」と勧められ、担当者を信用していたので内容もよく分からないまま契約した。99歳まで長生きして初めて元本が戻るような不利な保険とは知らなかったし、最初の年金契約についてはなんとなく加入した記憶があるが、後の年金契約については後から保険証券が送られてきて驚いた記憶がある。また、1000万円の保険料の資金は、証券会社が管理している別の金融商品を売却し充当したが、全て任せていたため何を処分したかさえ記憶にない。

…この事案は既に裁定が終了しています。

申立人の主張を読むと、証券会社職員(募集人)に非がある事案と思われますが、引受先である保険会社の主張を読むと、

@募集人はニード喚起とヒアリングを行ない、かつフォードバックをしているなど丁寧なコンサルティングを行った

A申立人が保険種類や保険の内容を承知して契約した


―ことが伺えます。

このことから、管理人は募集人に「適合性原則違反」「不適切な募集行為」はなかった事案であると考えています。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(ボイス・リポートNo.17・P23〜24より転載)。

[事案21-5] 契約無効確認・既払込保険料返還請求
・平成21年4月14日 裁定申立受理

・平成21年10月27日 裁定終了

<事案の概要>
 証券会社職員が高齢者に対し、適合性のない商品を不適切な募集行為により販売したとして契約を取り消し、既払込保険料の返還を求め申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成19年2月、証券会社職員(募集人)が積立利率金利連動型年金契約(一時払保険料200万円)を申し込み、さらにその2ヵ月後に追加(同800万円)で同年金契約を申し込んだ。

 しかし、当該保険は平均寿命を無視した保険で高齢者にとって極めて不利な商品であり、その募集行為は不適切なものであったので、2つの契約を取り消し、既払込保険料から既受取年金額及び年金一括受取額を差し引いた金額を返還して欲しい。

(1)契約の異常性
 満85歳の誕生日前後に2つの年金保険に合計1000万円の一時払保険料を支払契約したが、定額の年金以外は死亡給付金を含め一切の保証はないため、元金全額を取り戻すには約14年かかり、99歳まで生きてやっと元本が返ってくる。平均寿命を完全に無視した、高齢者にとって極めて不利な商品であり、適合性に反した商品である。

(2)不適切な募集行為について
 募集人は、亡くなった夫の担当者で、夫の遺産相続後も資産運用と管理を任せていた。生命保険には全く興味もなく必要性もなかったが、「80歳を超えても入れる生命保険がある」と勧められ、担当者を信用していたので内容もよく分からないまま契約した。99歳まで長生きして初めて元本が戻るような不利な保険とは知らなかったし、最初の年金契約についてはなんとなく加入した記憶があるが、後の年金契約については後から保険証券が送られてきて驚いた記憶がある。また、1000万円の保険料の資金は、証券会社が管理している別の金融商品を売却し充当したが、全て任せていたため何を処分したかさえ記憶にない。

<保険会社の主張>
 下記のとおり、適合性原則の観点からも募集経緯に特段の瑕疵はなく、申立人の主張する「契約の異常性」及び「不適切な募集行為」に該当しないことから、契約は有効に成立しており、契約の取消請求に応じることは出来ない。

(1)契約の異常性について
 本契約は終身年金保険であり、長生きした場合の経済的リスクに備えて自分自身が生涯年金を受け取ることが出来る。人の寿命は個別不確定なものであり、平均寿命に拘わらず存命中は一生涯にわたり年金が受け取れる安心をポイントにしたプランであり、商品選択における適合性の点からも問題はない。

(2)不適切な募集行為について
 @本件契約募集の端緒は、申立人本人から「自分が自由に使えるお金が欲しい」との相談を受けたことから、契約者が高齢であり、証券投資に不慣れであったことを考慮し、長期保有目的で安全な保険商品への案内を行ったことがきっかけであった。

 募集人は、契約取扱いにあたり、当該年金商品の説明用パンフレットとご契約のしおり・約款を示して、商品内容を具体的に説明し、設計書を使い契約者の知識・理解度に合わせて指差し、声に出して丁寧に説明した。申込書類については、契約者が自署しており、2回目の申込みにあたっては、意向確認書のチェックをいただいた上で、申込書・年金振込口座に自署・捺印をいただいている。以上から、「内容もよく分からないまま契約した」との主張は受け入れられない。

 A年金種類の選択にあたり、「受け取り金額が多い方が良い」との発言や、生前に自分が受取れる金額の方が重要で、死後に遺族にお金が残るか否かは気にされていない様子であったことから、「10年保証期間付終身年金」での申込みを受けた。年金資産設計書には、保証期間および経過年数5 年毎の年金受取累計額の推移が記載されており、「99歳まで長生きして初めて元金が戻ってくる不利な保険とは知らなかった」との主張は受け入れられない。

 B契約申込および保険料の手当ての経緯については、1件目は家の改築資金のために預かり資産を売却したところ200万円余ったことから、申立人からその運用方法について「何かお勧めはあるの?」と聞かれ、当該年金商品を案内し成約に至った。また、2件目は、自宅改築のためまとまった資金が必要との要請を受け、有価証券の売却を行ったところ、「その話がなくなったので必要な資金以外の資金の運用について相談したい」との依頼を受け、
年金型の方がいいとの要望もあったことから、初回と同じ商品内容で追加申込みし成約に至っている。以上から、「2回目の契約については記憶がない」との主張は受け入れられない。

<裁定の概要>
 申立人の主張する適合性原則違反、不適切な募集行為は直ちに契約の取消原因となるものではないが、申立人の主張を善解すると、公序良俗違反による無効(民法90条)もしくは錯誤による無効(同95条)を主張するものと解される。

 裁定審査会では、申立人・保険会社から提出された書面、申立人および募集人からの事情聴取の内容にもとづき審理した結果、以下により、申立契約が公序良俗に反する事実は認められず、申立てには認める理由がないので、生命保険相談所規程第44条により裁定書をもってその理由を明らかにして、裁定手続きを終了した。

(1)契約締結当時、申立人は「自分の自由になる現金がほしい」と募集人に相談し、年金総額保証付終身年金ではなく、生存中の年金受取額が多い10年保証期間付終身年金を選択している。また、新遺族年金支払特約について「付加しない」を選択していることから見て、申立人は保険料全額が戻ってくることは重視していなかったことが窺われる。

 そうであれば、募集人が申立人に対し本件商品を勧めたことが適合性原則に反するとまでは言えず、申立契約が公序良俗に反するとまでは言えない。

(2)申立人は、事情聴取において、@パンフレットは「もらっただけで何も見ていない」、A保険の説明については「一生5万円もらえる」というのは聞いたが、募集人を信用していたから一所懸命聞くことはなかった、B募集人に対し、常に使えるお金がほしいとは言った、と述べている。また、夫から相続した株を売却して保険料を工面することを募集人に頼んだことも認めている。そうすると、申立人のこのような供述は、(1)の判断の障害となるものではない。(なお申立人は、800万円については後で保険証券が送られてきて驚いた記憶があると主張しているが、他方で、事情聴取においては、1000万円を払い込めば月5万円をもらえるという話をされたとも供述しており、主張全体の信用性に疑問を抱かざるを得ない。)


以上です。

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