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zoom RSS 個人年金保険の配当金支払を巡る裁定事案。

<<   作成日時 : 2015/11/18 19:34   >>

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生命保険協会が取りまとめた、平成27年4〜6月の裁定概要集(PDF)に、個人年金保険の配当金支払を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 パンフレットに記載されたとおりの増額年金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 昭和63年12月に契約した終身年金保険について、以下の理由により、パンフレットに記載されたとおりの増額年金を支払ってほしい。

(1)パンフレットの「支払配当率がその後変動(上下)することがある」という記載は、見込額よりも増える可能性も期待させる表現であり、必ずしも減額のみのリスクを示したものではない。経済事情が厳しかったとしても、見込額の年約50万円に対して、実際は年約1000円というのは、あまりに少なく無いに等しい金額である。

(2)当初より配当金の分配はかなり厳しい状況であったことから、元々この保険商品の設計は無理があり、いわゆる誇大広告、詐欺まがいであったと思わざるを得ない。

(3)契約者に対して増額年金の厳しい見通しに対する情報が提供されていない。早期に情報提供されていれば、契約者には様々な選択肢があった。

…この事案は既に裁定が終了しています。

申立人の感情は理解できますが、配当金は金融市場の情勢により増減するため、パンフレットに記載されている予想額をはるかに下回る金額となってもどうしようもありません。

<参考>を読む限り、申立人が契約したのは、

「保険料を銀行から借り入れて、高い予定利率の個人年金保険に加入する」

―という、契約形態の個人年金保険のようです。この契約形態の高予定利率の個人年金保険は、バブル崩壊後に日産生命保険が破綻する原因のひとつとなった、多額の利差損失(逆ザヤ)を生み出しました。

保険料を銀行から「保険料ローン」という名称で借り入れて、保険契約を締結するという形態の保険は、高い予定利率の個人年金保険だけでなく、一時払養老保険や変額保険でも採用されていました。

変額保険は「融資一体型変額保険」として大手生保と大手銀行が協力して契約を獲得していたことで知られています。

こうした契約形態の保険は、保障を確保するためのものではなく、いわゆる財テク商品や節税商品として財テクブームからバブル期にかけて登場しました。

財テク商品としての保険商品は財テクブームからバブル期にかけて、規模拡大に邁進していた中小生保が金融機関をタイアップして契約獲得に注力しました。

今から考えるとかなり異常ですが、当時、金融機関は貸し出し実績を伸ばすことに邁進していたため、保険料を銀行から借り入れる、という契約形態の保険商品は大変あり難かったのです。

しかし、バブル経済崩壊とともに保険料ローンによる契約は貸し手、借り手、保険会社に深刻な打撃を与えることになります。

融資一体型変額保険では、保険料を借り入れた契約者には悲惨な借金地獄をもたらし、自殺者を相次いで出す事態に至りました。

また、財テク商品に注力した中小保険会社は、深刻な財務上の打撃を受け、その後の経営陣の不適切な対応により破綻に追い込まれるなどしました。

金融機関はその後に訴訟を起こされ、融資一体型変額保険の契約募集の杜撰さが明らかになりました。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(平成27年4〜6月裁定概要集・P34〜36より転載)。

[事案26-158]配当金支払請求
・平成27年4月28日 裁定終了

<事案の概要>
 パンフレットに記載されたとおりの増額年金の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 昭和63年12月に契約した終身年金保険について、以下の理由により、パンフレットに記載されたとおりの増額年金を支払ってほしい。

(1)パンフレットの「支払配当率がその後変動(上下)することがある」という記載は、見込額よりも増える可能性も期待させる表現であり、必ずしも減額のみのリスクを示したものではない。経済事情が厳しかったとしても、見込額の年約50万円に対して、実際は年約1000円というのは、あまりに少なく無いに等しい金額である。

(2)当初より配当金の分配はかなり厳しい状況であったことから、元々この保険商品の設計は無理があり、いわゆる誇大広告、詐欺まがいであったと思わざるを得ない。

(3)契約者に対して増額年金の厳しい見通しに対する情報が提供されていない。早期に情報提供されていれば、契約者には様々な選択肢があった。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)契約当初の募集資料には資料作成時の配当を記載しており、「将来のお支払額を約束するものではない」旨の注釈をつけている。

(2)「積立配当金のお知らせ」は、一定期間を除き送付していたので、申立人は確認することができた。

<裁定の概要>
1.裁定手続
(1)裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづき審理を行った。

(2)パンフレットの記載について、一般消費者が通常どのように理解するかを考慮した。

2.裁定結果
 上記手続の結果、パンフレットの記載や保険商品の設計について問題があるとまでは言えず、保険会社の情報提供の不備によって申立人に何らかの損害が発生したとは認められないこと、その他保険会社に指摘すべき特段の個別事情も見出せないことから、和解による解決の見込みがないと判断して業務規程第37 条にもとづき手続を終了した。

<参考>
○申立人の主張(1)(2)について、パンフレットの記載や保険商品の設計について問題があるとまでは言えない理由は以下のとおり。

(1)約款によると、増額年金は、剰余金である契約者配当準備金を原資とするものであり、契約上、確定した金額が支払われるものではない。

 また、申立人が契約の判断資料にしたことを認めているパンフレットにおいても、明確に注意書きが記載されている。

(2)パンフレットの注意書きは、減額のリスクがあることを意味していることも確かであり、この記載が不適切で、違法とまでは評価できない。

 また、増額年金に関するパンフレットの記載額と実際の支払額との差は、契約後の経済環境等の予測不可能かつ急激な変化によるものであり、その配当率に基づいて増額年金の支払いがなされる以上、契約上問題があるとまでは言えない。

 さらに、パンフレットは契約時の状況を基準として作成されている以上、この記載が誇大広告等とは評価できない。

○申立人の主張(3)について、保険会社の情報提供の不備によって、申立人に何らかの損害が発生したとは認められない理由は以下のとおり。

 申立人は、いかなる選択をして、どのようにして、どの程度の損害の軽減をすることができたかなどの具体的な主張をしていない。申立人は、全期前納払込保険料として約198万円を保険料ローンで支払い、元利合計約260万円の支出をしているが、予定利率が、5.5%と高率であること(平成25年12月現在の解約時受取額は約592万円)、昭和63年以降の経済環境等の変化からすると、保険会社の情報提供の不備によって、申立人に何らかの損害が発生したと認めることは困難である。


以上です。

画像
↑、川原で吸水中のアサマイチモンジ・オス(5月撮影)。

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