現役保険営業マンの「生命保険徒然日記」

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zoom RSS がんに対する放射線治療の一つ、「新しいRI内用療法」への対応が遅れているそうです。

<<   作成日時 : 2017/05/02 23:58   >>

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5月1日の日本経済新聞・朝刊に、がんに対する放射線治療の一つ、「内用療法」に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 放射性物質を体内に投与し、その放射線でがんを治療する「内用療法」が海外に比べて立ち遅れている。専用設備での厳重な管理が負担となり、近年、不採算とみて取りやめる病院が出ているためだ。学会や患者らが規制の見直しなどを求めた運動を始めた。>

とのことです。

【管理人の感想】
がんに対する放射線治療といえば、重粒子線や陽子線を含めた外部からの照射と、前立腺がんに対する密封小線源療法といった内部からの照射は知っていましたが、放射性同位元素やそれを組み込んだ薬剤を服用または、注射することで、がんを叩く「内用療法」は全く知りませんでした(汗)。

こんな放射線治療があったのですね。がん保険の商品研修では、一度も取り上げられたことがないと記憶しています。

日経の記事は、2016年6月16日に行われた厚生労働省「第6回・がん診療提供体制の在り方に関する検討会」の、資料5・「核医学治療(RI内容療法、RI治療、標的アイソトープ治療)に関する現状」(PDF)および、2016年に発表された核医学53巻1号・「RI 内用療法の将来展望と提言―J-Stage」(PDF)が基になっているようですが、記事には不正確あるいは誤解を招く箇所が見られました。

1.背景の説明が不十分
日経は記事冒頭で、内用療法を不採算とみて取りやめる病院が出ている、と報じていますが、核医学53巻1号には次のように記述されていました。

◇RI内用療法に関わる医療収支
 RI治療病室のベッド数減少には種々の要因が挙げられるが、最大の要因は医療経済の問題と考えられる。RI治療病室は、医療法施行規則等により厳しい規制の管理下にあり、事業所境界に漏洩する放射線量の規制、
排気・排水設備の設置、汚染防止のための管理区域の設定、汚染物の廃棄施設の設置など、建設時の初期投資が高額である。さらに排気・排水設備の運転、フィルター交換、汚染物の引き取り費用など維持費も大きく嵩む。さらに、多くの施設で次の入院患者への被ばく防護の観点から、前週入院した患者の退院後に放射性同位元素で汚染した病室を1週間程度空ける必要があること(2週刊で1入院患者の割合)や、施設内で使用可能な放射性同位元素の量的規制等により、年間に治療可能な患者数が制限されるため、一般的に採算性はよくない。したがって医業収支に厳しい民間医療機関よりも、主として国公立病院などが「非採算部門」であるRI 治療病室を支えてきたという歴史的経緯がある。

 その後、2003年度からの診療報酬制度での診断群分類包括評価制度(DPCシステム)の導入(当初は特定機能病院82病院のみ)と2004年の国立大学の独立行政法人化をきっかけに、国公立病院等でも医業収支を考慮して、新病棟の立て替えなどの機会にこの「非採算部門」を廃止する例が後を絶たなくなった。DPCシステムは診断群分類(DPC)に基づいて入院一日あたりの定額で支払われる制度である。この制度に伴う一日あたりの点数はこれまで低く抑えられており、日本核医学会分科会腫瘍・免疫核医学研究会の試算では平均的な医療機関において現在年間800万円近い赤字と推定されている。現状ではRI治療病室の運営は経営的に難しいと言わざるを得ない。さらに、独立行政法人化を受けて、国の運営交付金等は年々削減されており、赤字部門の存続に否定的な国公立の医療機関が増えるのは当然の流れであった。


…日経の記事を読むと、単純に「非採算部門だから撤退」という印象を受けかねませんが、実際にはそう単純な話ではなく、もともと採算が取れない部門を支え続けてきた国立病院などが、2003年の包括医療費支払い制度の導入と、2004年の国立大学の独立行政法人化をきっかけに、収支を考慮して廃止せざるを得なかったようですね。

2.内用療法全般で立ち遅れているわけではない
記事を読むと、日本は内用療法全般で立ち遅れているかのような印象を受けますが、厚労省資料には次のように記述されていました。

◇RI内用療法 国内の現状

・我が国で保険診療として行われるRI内用療法は3つのみ(であった)

・1:戦後すぐから行われていた甲状腺癌に対する放射性ヨウ素(ガンマ線+ベータ線核種)内用療法は、「退出基準」と呼ばれる放射線防護規定で専用治療病室への入院が義務づけられているが、国内では治療病床不足、長期の入院待ちを来たしており、大きな社会問題となっている

・2、3:ベータ線核種を用いたストロンチウム、イットリウムを用いたRI内用療法は国際的な保険承認には大きく遅れたものの、2007、2008年に相次いで国内でも承認され、入院不要であることから、全国で順調に普及している

・4:1980年代から国内でも散発的に行われていた内分泌系腫瘍に対する放射性ヨウ素MIBG内用療法は、2005年国内生産が中止となり、個人輸入(保険未収載)の形で国内数施設(専用治療病室への入院)のみで行われて
いたが、2016年金沢大学が一部腫瘍(悪性褐色細胞腫)で先進医療Bの承認を得た

・5:諸外国ではTheranostics = therapeutics 治療+diagnostics 診断という新語が脚光を浴びるなど、多種多様な新しいRI内用療法が盛んになっており、アルファ線核種(入院不要)も登場、米国ではその薬剤市場規模が数百億円(2014年)となっている

・新しいRI内用療法への国内の対応は未だ遅れている

◇RI内用療法の現状と展望 まとめ

・我が国で現在保険診療として行われるRI内用療法はアルファ核種製剤も加えて、4種となった

・甲状腺癌に対する放射性ヨウ素(ガンマ線+ベータ線核種)内用療法は、「退出基準」で専用治療病室への入院が義務づけられており、長期の入院待ち解消のために、入院施設の増設、退出基準等の規制緩和など、早急な
対策が必要である

・ストロンチウム、イットリウムははじめとする入院不要のベータ線核種を用いたRI内用療法のさらなる普及が必要である

・内分泌系腫瘍に対する放射性ヨウ素MIBG内用療法では先進医療Bをさらに進め、新規の入院不要のアルファ線製剤などの導入も期待される

・諸外国ではTheranostics = therapeutics 治療+diagnostics 診断という言葉もが脚光を浴びるなど、多種多様な新しいRI内用療法が盛んになっており、国内でも新規のアルファ線核種、ベータ線核種製剤(入院不要)の臨床試験、保険承認への進展拡大が期待される

・一方、新しいRI内用療法への国内の対応は未だ遅れており、各核種別に「適正使用マニュアル」の整備、臨床試験、治験への法的整備などの対応が必要である


これを読む限り、解消すべき課題を抱えている一方で、改善されてきているところもあることがわかります。

3.欧州への治療渡航は横浜市立大学の試み
日経は、ルテチウム177という放射性薬剤による神経内分泌腫瘍などに対する内用療法について

< 企業が製品化に向けて実施する臨床試験は厚生労働省の通知などに従っている。それに沿う病院はあるが病床は甲状腺がんの患者でいっぱいで、臨床試験に病床を用意するのが難しい。核医学診療推進国民会議代表を務める金沢大学の絹谷清剛教授は「病床数が足りないと、新薬の導入も進まない」と警鐘を鳴らす。

 影響は出ている。国内未認可の放射性物質のルテチウムを使った膵臓(すいぞう)や消化管の神経内分泌腫瘍の治療を求めて、ドイツやスイスに行く患者が後を絶たないという。>


と書いていますが、厚労省資料には

◇ソマトスタチン受容体イメージングの世界的な潮流

○111In標識製剤を投与→SPET/CTを撮る
          ↓
○68Ga標識製剤を投与→PET/CTを撮る
          ↓
○90Y(177Lu)標識製剤を投与→RI内用療法を行う

■横浜大学の試み:すでに多くの患者が海外渡航し、治療を受けている
・ソマトスタチン受容体シンチグラフィ製剤を個人輸入、国内で診断の上、適応患者をスイスやドイツの大学病院へ紹介し、治療(入院要す)

・平成27年10月には国家戦略特別区域として指定


とあります。全然違いますね…。

※横浜大学の試みについての詳しい情報はこちらをどうぞ。

【記事の内容】
以下、記事の内容です。

―日本経済新聞 2017年5月1日朝刊―

【がん 「内用療法」立ち遅れ】

 放射性物質を体内に投与し、その放射線でがんを治療する「内用療法」が海外に比べて立ち遅れている。専用設備での厳重な管理が負担となり、近年、不採算とみて取りやめる病院が出ているためだ。学会や患者らが規制の見直しなどを求めた運動を始めた。

 福島県立医科大学が1月、内用療法に使う専用の病室を稼働した。9床あるのは国内最大級になる。政府の東日本大震災の復興予算で建設した。織内昇教授は「支援なしで自前で設置するのは難しかった」と話す。

 内用療法は放射性物質をがん周辺に送り込み、その放射線でがん細胞などを倒す療法だ。放射性物質にはがんに集まる工夫がしてあり、飲んだり注射したりすると患部で働く。がんの種類によって使い放射性物質は異なり、多くは外来で治療できる。

 甲状腺がんの治療に使われることが多い。甲状腺を全て摘出する手術を受け、転移もあるといった条件のときに欠かせない治療法だ。放射性物質のヨウ素をたくさん飲む治療を受ける場合には、入院が必要になる。年間約3000例の実績がある。

◇扉や壁は鉛入り
 福島県立医科大の新病室も甲状腺がんの治療に使う。病室は厳重で、病室の出入り口には前室があり、扉や壁には放射線を通さない鉛が入っている。ヨウ素は体内に取り込まれ、しばらく患者から放射線が出るためだ。その放射線が弱まるまでの数日間、隔離しなければならない。排気や排水でも放射性物質が漏れない構造になっている。

 運用も厳しく、退出時には専用装置で手や衣服の線量を測る。患者が入院中でも家族は中に入れず、モニターを使って会話する。ちり紙など患者が出したごみは特別に処理する。被ばく防止のために、退院後1週間は空室にする必要がある。

 放射線医学総合研究所の東達也部長は「施設の建て替えなどでのタイミングで内用療法をやめる病院が増えた」と指摘する。この治療は初期投資だけでなく、維持費もかかる。病室を退院後約1週間あけるのも負担だ。治療期間と合わせると、1つの病床で約2週間で1人しか受け入れられない。病院経営の「お荷物」となっており「ある程度の病床数がないと採算を取ることは難しい」(織内教授)。

 日本格医学会がまとめた調査によると、2015年の国内の病床数は135。滋賀や奈良など1床もない県もあり「地域格差が大きい」(東部長)。ベッドはフル回転に近い状態だ。

 13年に関係学会が患者にしたアンケート調査では、半数以上が「治療まで1年以上待った」という。半年以上治療が遅れると、死亡リスクが約4倍増えるという報告もあり大きな問題だ。甲状腺がんで内用療法の入院治療を必要とする患者の半数しか受け入れられていないという指摘もある。

 改善に向けて医師や患者団体、企業が連携して動き出した。患者の支援団体や関係する医師が中心となり昨年12月、「核医学診療推進国民会議」を立ち上げた。今年1月に厚生労働省、2月には原子力規制庁に要望書を提出した。

 要望のひとつは診療報酬の増額だ。医療機関にとって赤字部門となり病床不足となっていることから、診療報酬を改善して病床を増やす体制づくりを訴えた。

 もうひとつは規制の緩和だ。日本は海外に比べて放射性物質の使用の制限が厳しい。専用施設がなくても、一般の病床で治療できるように求めた。

 新薬開発に向けた法整備の必要性も指摘した。海外では、前立腺がんなどで新たな放射性物質の創薬が進む。国内では、海外で未承認の新薬を患者で試す医師主導の臨床試験をする場合、放射線障害防止法の対象になる。この規制に沿う医療施設がほとんど無いという。

◇治療求め欧州へ
 企業が製品化に向けて実施する臨床試験は厚生労働省の通知などに従っている。それに沿う病院はあるが病床は甲状腺がんの患者でいっぱいで、臨床試験に病床を用意するのが難しい。核医学診療推進国民会議代表を務める金沢大学の絹谷清剛教授は「病床数が足りないと、新薬の導入も進まない」と警鐘を鳴らす。

 影響は出ている。国内未認可の放射性物質のルテチウムを使った膵臓(すいぞう)や消化管の神経内分泌腫瘍の治療を求めて、ドイツやスイスに行く患者が後を絶たないという。

 この薬剤は今年度にも国内で臨床試験が始まる予定だが、対象患者が少なく、実施する企業が長らくいなかったのが現状だ。他にも同じような状況の薬があるという。絹谷教授は「不利益を被っている患者がいる。解消に向けて関係省庁は取り組んでほしい」と訴える。


以上です。

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↑、羽化を終えて間もないダビドサナエのオス(先月撮影)。

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