医療保険の死角①:「医療保険ブーム」に潜むリスク

ここ数年は、死亡保障分野の新規契約率が悪化しており、各生命保険会社はそれまでの方針を転換し、医療保障分野に相次いで進出しています。

昨年は医療保障分野への進出にもっとも「慎重」だった国内最大手の日本生命保険が「医療名人」という商品名で、50歳以上の方を対象にした「単体の医療保険」を投入しました。

かつて、医療保障分野といえばアメリカンファミリー生命保険などの外資系生保が圧倒的なシェアを占める、いわば独占状態の分野でした。

それが2001年以降は国内の大手生保や損害保険会社が次々に医療保障保険商品は投入し、収益の柱とするべく、「販売」に注力しております。

事実、大手国内生保は「主戦場は第3分野(医療保障や介護保障の分野の名称)である」という考えで一致しているようです。

ここまで来ると一種の「ブーム」といっても過言ではないでしょう。以前とは様相が完全に違ってきております。

しかし、医療保障保険には以下に挙げる思わぬリスクが潜んでいます。

①将来のリスクを合理的に見積もるのが難しい。
例えば医療技術の発達に伴い、心筋梗塞や脳卒中など、かつては死亡していた確率が高かった患者が入院・治療をすることで治癒したり、日常生活に支障をきたさない程度に回復したりするようになったり、がんの早期検診や治療技術が発達した結果、がん保険の給付が急増したりするなど、医療保障保険は過去のトレンドに基づかない外的要因に伴うリスクがあります。

②データが不安定。
①に密接に関係しております。死亡保障保険の「標準死亡率」という安定したデータに対して、手術や入院の発生率は安定していないということが挙げられます。事実、疾病の種類や年齢、性別ごとにデータにはかなりのばらつきが生じています。

③将来の予測困難なリスクに対する備えは各保険会社バラバラ。
死亡保障保険は「標準死亡率」という業界共通のデータを使用することが義務付けられており、各保険会社の健全性を確保しております。

しかし、医療保障保険などの「第三分野」には業界の統一的な「標準発生率」はなく、予測困難なリスクへの対応は各保険会社の判断に委ねられています。

そのため、将来給付金や保険金の支払いが急増した場合、保険会社の財務を圧迫する恐れがあるのです。


…以上のように医療保険には死亡保障保険とは異なり、特有のリスクが潜んでいます。

安易に保険料を引き下げる「価格競争」を行えば、将来の給付金に支払いに備える積立金(責任準備金)の不足を招きかねず、保険会社は自らを追い込みかねないのです。

また、契約する側も安易に「安い」という理由のみで保険商品を選択すべきではないということを認識すべきです。


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この記事へのコメント

2006年01月20日 20:41
そうですね!今は損保も第三分野に進出してきています。
私の取扱保険会社(もうお解かりだと思いますが…)も第三分野中心です。一般的な代理店の収保比率も約7割が第三分野です。私はコンサルティング提案を中心としているので、まったく逆の7割が第一分野です。社内では異質のようです。
ご指摘のように医療は日々進化しています。一生涯の保障として販売していますが、将来的に対応できるのか疑問が残りますね…
因みに私のブログで書いている新商品は第一分野です!
現役保険営業マン
2006年01月20日 23:12
ともさか保険事務所さん、一番コメントありがとうございます。
医療保険は保険会社にとって収益の柱どころか財務圧迫の元凶になりかねない仕組みを抱えていることを踏まえるべきでしょう。
そのような事態を回避するために、今後は責任準備金の積立ルールの変更などが考えられます。保険料の安さだけの終身医療保険はその時に間違いなく淘汰されるでしょう。
保険会社は医療保険で価格競争をすべきではないと考えます。
2006年01月20日 23:19
価格競争と返戻率競争ってのは、共に不毛な気がします。会社によってそもそも税率が40%だったり42%だったりで、元もとの根拠の計算に使う数字が違ってるのなんてザラですからねー。
我が家は風邪が蔓延しています。
皆様も気をつけてくださいね!

現役保険営業マン
2006年01月21日 01:26
竹○嫌いのメリーさん、コメントありがとうございます(爆)。
おっしゃるとおり価格競争と返戻率競争は不毛なもので、最終的には一部の保険会社を除いて全社が負け組みに転落でしょう。
保険会社が果たす使命は「約束した保険金・給付金を約束どおり被保険者や受取人に支払うこと」であるはずです。
お馬鹿な競争をしている場合ではないはずです。まぁ、独自性を持たない常に2番手3番手にいる保険会社は「価格競争」でしか業績を伸ばせないというのも事実ですが…(-_-;。
現役保険営業マン
2006年01月21日 01:32
Gotz BLOG for LOHASさん、TBありがとうございます。
そちらに伺い記事を拝見しました。
最低な営業ですね。同じ業界の人間として情けない限りです。
2006年01月21日 13:32
今後、医療しか売れない営業が増えてしまうのでは・・・と少し心配です。たいしたライフプランニングをせずとも、売れますもんね(^_^;)
現役保険営業マン
2006年01月21日 13:48
とことこママさん、コメントありがとうございます。
>今後、医療しか売れない営業が増えてしまうのでは…
>>現状ではその傾向にあるでしょう。死亡保障は長期にわたってニーズを拾い上げ、お客様と共同作業でプランニングしていく必要がありますが、医療保障保険は比較的短期間で成約に結びつきますからね。
2006年01月22日 01:27
こんばんは。
き、昨日の記事に参加できませんでした・・・。久しぶりの宴会で泥酔。帰宅後PC立ち上げ待ち(これが遅い)の間に寝てました・・・。
さて、医療保険の話題ですか。
確かにブームと呼べる状況ですね。某社のCMの効果は絶大といったところでしょうか・・・。
とことこママさんのお話のように、この商品を販売するのに「提案力」「ライフプラン分析能力」は、結構不問ですものね。これに特化してる営業パーソンは、ちょっとジリ貧かなぁっていう気もします。
そのうち介護保険ブームかな・・・。
現役保険営業マン
2006年01月22日 04:24
たいちょーさん、コメントありがとうございます。
パソコン起動の最中に寝てしまうとは…よっぽどお酒が入っていたのですね?風邪をひかないよう気をつけてくださいね。
さて、医療保険に特化している営業パーソンですが、ちょっとどころではなく本当にジリ貧になっていくでしょうね。
>そのうち介護保険ブームかな・・・。
>>大いに考えられますね。日生が単体の介護保険を出したら他の大手生保がこぞって商品を投入してくるでしょう。その時にまた「転換」の悲劇が起こるのでしょう。想像しただけで恐ろしい…。

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