医療保険の死角③:リスク管理体制の整備とその影響。

前回は、明らかになった今後の課題について触れました。

今回は、内部のリスク管理体制整備が現在の終身医療保険に及ぼすであろう影響についてご案内していきます。その影響は契約者・保険会社にとって決して軽視できないものです。

「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チーム」はその報告書の「内部リスク管理体制整備の重要性」という項目で、終身医療保険に及ぶであろう影響を以下のように述べています。

以下、報告書からの転用です(一部加筆)。

【2・内部リスク管理体制整備の重要性】
 第三分野保険商品に係るリスク管理については、商品開発時から支払い時まで発生するリスクがそれぞれ相互に関連しあうことや、商品種類によって内在するリスクが異なり、保険事故発生時において外的要因や*契約者の想定外の行動といった不確実性が実現する危険性があることから、商品種類別に募集・引き受けから支払いまでを一連のものとして管理するとともに、これらの不確実性について注意深く観察・分析していく必要がある。

*契約者の想定外の行動:保険契約者が契約上の支払い限度日数まで入院期間を延ばす、といった行動のこと。

 その結果、例えば、終身医療保険の場合は、

①販売制限(保険会社の保険料収入減少)、追加責任準備金の積立(保険会社の負担増・財務悪化)。

②価格改定(新契約分からの保険料アップとなり、新規契約者は不利。保険会社は“販売”戦略変更を余儀なくされる)。

③基礎率変更条項の発動(既契約者の保険料アップによる負担増)、資本取り崩し(保険会社の財務悪化)。


など経営政策の変更を余儀なくされることもあり得る。

 したがって、適切なリスク管理を実施し、その結果を随時経営陣へ報告する、その報告を受けた経営陣はそれに基づき適切な経営政策を意思決定するというシステムを整備することが重要である。つまり、経営陣を含めた内部統制のあり方を踏まえたリスク管理体制の整備を図っていくことが必要と考えられる。
 
 また、併せて、必要に応じ社外アクチュアリーを活用することも含め、会計監査人による外部監査の一層の強化を図ることが必要である。


今回で医療保険の死角についての連載は終了です。ありがとうございました。
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この記事へのコメント

2006年01月23日 14:02
こんにちは。
す、すごい。前回の記事も、たった今読みましたが・・・。深いですねぇ~。私感を述べるどころか、勉強させられっぱなしです。
「終身医療」。加入者にとっては「安心」材料ではあるんでしょうが、引き受け会社にとっては、ちょっと不確定リスクが多いですもんね。
個人的には「ダックさん」こんなに安くて大丈夫・・・!?って印象強いんですけど。
2006年01月23日 15:00
この前、保険の歴史について、ちょっと考えたことがあったんですが、医療保険の歴史は、死亡保険にくらべてもずいぶんと浅いですよね。
保険会社の設定している保険料、どの水準なら適正なのか、そこまでは勉強不足で私は語ることはできませんが、ここで提起されている問題に対して、各社がどう対応していこうとしているのか、また、しようとしないのかについては注視しておかなくてはならないと思います。
現役保険営業マン
2006年01月23日 18:13
たいちょーさん、一番コメントありがとうございます。
終身医療保険は確かに保険会社にとって不確定な要因が多いのが気になります。また終身型だけではなく、定期型の医療保険も不確定な要因にさらされています。
アヒルさんのとこもそうですが「上戸パンダ」の「Drジャ○ン」はもっと気になります。
金利が上昇したら予定利率を所定の範囲で引き上げて、支払い保険料を安くする。
保険料の払い込み免除特約も付加できる。
男女同一の保険料。
告知基準が緩過ぎ(あまりに恐ろしい)。
…損保Jさん、本当に大丈夫?
現役保険営業マン
2006年01月23日 18:21
てつおさん、コメントありがとうございます。
確かに保険料の水準がどこまでが「適正」なのかは分かりかねます。
ただ、私個人の判断では極端に安い保険料をPRする保険やマネー誌“御用達”FPがお勧めする「安くていい医療保険」は危険であると考えております。
追伸:確かに、保険会社の今後の動向は本当に注目ですね。
2006年01月23日 18:45
ありがとうございます!
コメントをしようと思ったのですが、まずこの言葉が思いつきました。今回の一連の記事は勉強になりました。
現役保険営業マン
2006年01月23日 19:15
ともさか保険事務所さん、コメントありがとうございます。
ここまでおっしゃっていただけるとは、正直びっくりしております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
はまつひろみ
2007年03月04日 22:00
時を経ていまさらコメントですが、、単体医療や各種共済商品等、安価なP(まあ決して安いわけではないのですが、、)やお手軽性が評判な分、私は猜疑心からか「変わりに何があるのだろう」といつも考えていました。この世に完璧なものなど存在しませんし(保険のみならずです)、、ブログの記事とても参考になります。
現役保険営業マン
2007年03月04日 22:11
はまつひろみさん、コメントありがとうございます。
>単体医療や各種共済商品等、安価なP(まあ決して安いわけではないのですが、、)やお手軽性が評判な分、私は猜疑心からか「変わりに何があるのだろう」といつも考えていました。この世に完璧なものなど存在しませんし(保険のみならずです)、、
>>はい、確かにこの世に完璧なものなど存在しません。保険も然りです。
…お褒めいただき恐縮です。

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