金融庁、動く!!保険商品の販売・勧誘時の新ルールについて②

前回*は、金融庁がなぜ新ルールの制定に動いたのかについてご案内してまいりました。

*その時の記事はこちらです。
  • 金融庁、動く!!保険商品の販売・勧誘時の新ルールについて①

    今回は、金融庁が発表資料で触れている諸外国の情報提供規制の特徴について取り上げてまいります。

    金融庁の検討チームが参考にしているのは英国・米国・EUの情報提供規制の仕組みです。わが国の保険業界が取り入れるべき仕組みが非常に多いといえるでしょう。

    2)金融庁の検討チーム(以下、検討チーム)が「参考」とした諸外国の情報提供規制について。
    検討チームが、参考にした諸外国の情報提供規制について、発表資料には以下のように記述されています。

    【Ⅱ・諸外国の例】
     1.諸外国における情報提供規制の特徴
     諸外国においては、保険商品の販売・勧誘のプロセスに沿って、提供すべき情報を具体的に定めている。すなわち、提供すべき情報について、必要な情報を絞り込む、記載方法を工夫する等により、消費者の商品内容の理解を高めようとしている。

      2.諸外国における具体的な規制内容
     (1)英国
     英国においては、2002年12月から2004年1月にかけて、損害保険、保障性生命保険(定期保険、医療保険など)について、①顧客ニーズに合致した商品の推奨、②顧客の商品内容の理解の向上(「過大な情報提供はかえって消費者の理解を妨げる(less is more)」)、③商品比較の促進等の観点から、募集規制全般の見直しが行われた*1。
     
     この見直しの結果、契約締結前に交付される書面として、「契約概要」(Policy Summary)*2が導入された。契約概要は、過度に情報を提供すべきではないとの考えのもと導入されたものであり、情報を提供する有益な書面と位置づけられている。
    交付時期については、契約締結前の「十分な時間の余裕を持って」顧客に提供することとされている。

     記載方法としては、他の書面からの独立した文書であることが求められ、独立した文書としない場合には、目立つ場所に掲げ、重要な情報として明確に他の情報と識別できるようにすることとされている。
     
     説明方法としては、契約概要を読むことの重要性、契約概要のうち特に重要で異例な適用除外または制限条項に関する部分を読むことが重要である旨、口頭にて注意を促すことが求められている。


    *1:2005年1月から施行。なお、投資性生命保険については、従来から金融サービス市場法の中で、損害保険、保障性生命保険よりも厳しい規制が定められていたという違いがある。

    *2:契約概要の記載事項は以下のとおり(ICOB5.5.5R)
    ①契約概要には保険契約の全部の条件は含まれていない旨の説明
    ②保険引受業者の名
    ③付保内容の種類及び範囲
    ④重要な特徴と給付金
    ⑤重要かつ異例な適用除外または制限事項
    ⑥⑤から保険契約文書の関係箇所への相互照会
    ⑦契約期間
    ⑧(期間1年を超える保険契約の場合)場合に応じて、補償状態を適切に保つために個人顧客が定期的に自分の補償状況を再検討、更改する必要性に関する書面
    ⑨クーリングオフの有無および場合に応じてクーリングオフ期間の長さ
    ⑩保険金請求通知のための電話番号または住所
    ⑪保険引受業者への苦情提起方法および苦情がその金融オンブズマンサービスまたは他の指名苦情処理制度に付託されること
    ⑫適用される補償制度、又は、補償制度が存在しないこと
    ⑬重要事実のロゴ

     (2)米国
     全米保険監督官会議(NAIC)においては、生命保険ディスクロージャー・も出る規定を定め、生命保険商品を募集する際には、「購入者手引」(Buyer's Guide)、「契約概要」(Policy Summary)の交付を義務付けている*1。
     
     購入者手引とは、顧客が生命保険を購入するにあたって留意すべき事項や生命保険の基礎的な事項が平明な言葉で説明されたものであり*2、NAICが定めるモデルを参考に各州の監督官庁が作成することとなる。交付時期としては、契約締結前に、すべての見込み客に交付することとされている。

    契約概要とは、契約内容のうち、代表的年度の年間保険料、保険金、解約返戻金など限定した情報が記載された書面であり、購入者手引と同時に交付することとされている*3。
     
     なお、契約代わりに、「契約例示」(Illustration:保険契約の将来の運用成績を数字又は図表で示したもの*4)を使用する場合には、別途、契約概要を交付する必要はないとされる。

    *1:生命保険分野に関しては具体的な情報提供規制が置かれている一方で、ほとんどの州では損害保険分野に関しては、不公平取引を禁止する規制を除けば特段の規制が設けられていない。

    *2:例えば、留意すべき重要な事項として以下のような記載がある。
    ①自分の保険ニーズと状態を再検討してください。あなたのニーズに最も適した給付のある種類の保険を選択してください。代理店又は保険会社に手助けを頼んでください。
    ②あなたが支払い可能な保険料であることを確認してください。第1回目の保険料を支払う余裕がありますか。もし、後に保険料が高くなり、それでも保険が必要な場合、保険料を支払う余裕はありますか。
    ③すべての回答が完全になされ、納得のいくことが確認できるように注意深く検討するまでは、申込書に署名をしないでください。
    ④あなたのプランに組み込むつもりがなければ生命保険を購入しないでください。契約の初期の段階でやめる場合、非常にコストがかかる恐れがあります。
    ⑤新しい契約と現在の契約について十分に検討しないで、ある契約をやめて別の契約を購入しないでください。あなたの契約の『乗換』は非常にコストがかかることがあります。
    ⑥あなたの保険証券を注意深く読んでください。不明な点は代理店又は保険会社に尋ねてください。
    ⑦あなたの収入とニーズの変化に合わせるために、数年ごとに代理店または保険会社とともにあなたの生命保険プログラムを見直してください。

    *3:申し込みを受けた保険契約に少なくとも10日間のクーリングオフ期間がある場合には、保険証券の交付時までに交付すればよいこととなっている。

    *4:我が国の保険設計書に相当するものであるが、様式はかなり異なっている。

     (3)その他
     EUでは、EC第三次生命保険指令において、保険会社は契約締結前に、顧客に対して指令の別表に掲げた事項*1については少なくともそのような情報を提供することが求められている。これに基づきEU加盟国がそれぞれ情報提供ルールを定めている。一方、EC第三次損害保険指令においては、損害保険商品の内容等について提供すべき情報は定められていないが、ドイツなど主要国においては損害保険の商品情報の提供ルールを定めている。

    *1:例えば、提供すべき情報として以下の事項が別表に掲げられている。
    ・各給付および各特約の定義
    ・保険期間
    ・解約方法
    ・配当方法
    ・解約返戻金
    ・主契約および特約に係る保険料
    ・クーリングオフ期間
    ・苦情受付・処理に係る情報 等


    以上です…ふうε=(-.-;)。

    次回は、検討チームから様々な意見が出された「販売・勧誘時における情報提供のあり方」についてご案内します。

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    この記事へのコメント

    2006年03月23日 18:25
    ともさかさん、ごめんなさぁーい(*'-'*)
    米国の「契約例示」どのようなものなんでしょう。見てみたいですね。
    これからは、生保のみならず損保会社にも共通するキチンとしたルールが必要ですよね。
    2006年03月23日 23:44
    うわっ~やられた~
    さすが記録保持者ですね!

    いろいろな条件だ出されるのでしょうけれども、基本的には本来しなくてはいけない事ですから、書類は増えるでしょうが特段問題は無いですよね!
    特にこのブログに集まっている方々は…
    現役保険営業マン
    2006年03月24日 00:32
    とことこママさん、一番コメントありがとうございます(ともさかさんを阻止するのはあなただと予想しておりました)。
    共通のルール…確かに必要でしょう。
    ただ、米国や英国の事例を適用したら国内大手生保の保険商品は売れなくなるのでは?と思います。
    現役保険営業マン
    2006年03月24日 00:35
    ともさか保険事務所さん、コメントありがとうございます(4連続でストップ!!残念!!)。
    おっしゃるとおり基本的には本来しなくてはならないことです。今までの取り組み方が異常だったとしか思えません。
    今後本当の意味で契約者保護のためにどのようなルールが制定されるか注目です。
    むう
    2006年03月25日 14:11
    ど素人から一言
    3/22日経新聞「保険販売わかりやすく,事前説明来月から強化」を何度も読み返しました。
    <4月から>①商品の説明
    「契約概要書」A3判1枚で説明
    保障内容や保険期間,解約した場合返戻金があるかどうかなど商品の基本的な仕組みや特徴を掲載
    「注意喚起情報」A3判1枚で説明
    保険金が支払われないケース,クーリングオフ制度が適用できないケースなど商品の短所を明記
    ②広告宣伝を適切に
    ③トラブル処理,幅広い視点で
    <来春にも>
    確認書へのサイン義務付け
    契約者と販売員が「意向確認書」にサインしないと契約できない仕組みに。保障に内容や保険料の水準がニーズに合っていることを双方が確認。
     複雑な商品内容を理解できずに契約したり,保険会社が自社に有利な商品だけを勧める事例を未然に防いで欲しいです。特に不利益な転換を防ぐ効果を期待します。 
     とにかく、よくわからない人に契約させるわけですから、悪意があってはこれらの書類も役に立たないと思います。罰則をもっと強化すべきでは?明かに契約者に不利益となる転換設計すると,資格剥奪。とか。
    現役保険営業マン
    2006年03月25日 18:36
    むうさん、コメントありがとうございます。
    >複雑な商品内容を理解できずに契約したり,保険会社が自社に有利な商品だけを勧める事例を未然に防いで欲しいです。特に不利益な転換を防ぐ効果を期待します。
    >>おっしゃるとおりです。とかくわが国の保険会社(国内大手は特に)は契約する前に行うべき重要事項の説明が不完全のようです。
    この新ルールの適用でむうさんのような被害者がいなくなることを望みます。
    また、罰則に関しては厳罰化に併せて処罰規定をオープンにすることでも必要ではないでしょうか?

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