昔話:不正契約の果てに…組織が崩壊。

保険の営業は大抵は固定給が存在しない成果主義システムです。そのため、一定期間成績が出なければ給与が一気に下がりワーキングプアの状態に…。

そのためか成績が出ない時期が続くと「不正契約」に手を染める者がでてきてしまいます。

しかし、時には固定給が支給される法人代理店でも「不正契約」に手を染める者が出てきてしまうことがあります。

今回は、かつて管理人が在籍していたとある法人代理店で起こった大規模(100件を超える)な不正契約により、組織が崩壊してしまったエピソードをご案内します。

【かつての所属先について】
管理人は、今から4年ほど前に株式会社中央T(実名はさすがにまずいので一部伏せます)という旧東大○(現・さいた○市)にあった、がん保険でとても有名な外資系生保の専属法人代理店にいました。

その中央Tは、本社が北海道の札○にある株式会社T社の一営業所が、独立する形で立ち上げられた会社でした。

後に聞いたのですが、その際にT社と「2年間一定規模の募集先(主に官公庁)を借りるが、既にT社を通じて契約した人の保険を解約させて新規の保険契約を結ばせる行為をしない」という覚書を交わしていたそうです。

人員構成は管理人を含めた営業が6名、部長、次長がそれぞれ1名、事務(正社員)が2名に社長、というものでした。

では、ここから本題です。

【きっかけは1本の苦情電話】
100件を超える不正契約が明るみに出て組織が崩壊、幹部(部長、次長、社長)がすべて追放となる事態のきっかけは、星谷部長(仮名)にかかってきた1本の苦情電話でした。

その電話がかかってきたのは2002年の9月下旬だったと記憶しております。

群○県にあるK信用金庫の行員からの苦情でした。

その苦情は、

「がん保険に付加していた医療保障特約を、10年更新型から終身型に切り替えた際に、“変更”ではなく、更新型特約を解約→終身型特約へ新たに加入する、という方法を取ったために保障開始までに空白期間が生じたことで入院の保障を受けられなかった。どうしてくれるのか?元の状態に戻してほしい」

という内容でした。

しかも、苦情を訴えてきたお客様は元親会社のT社が保有していたお客様だったのです。

これは中央T社立ち上げの際に交わした覚書に反する行為でした。

また、お客様に「変更」という手続きを説明せずに解約→新規契約という募集活動を行なっていますので、不正契約と断定されて当然のことでした。

当然、この苦情は元親会社のT社とその担当営業所、およびT社を担当する保険会社の管轄支社にも連絡が行き、星谷部長がそれまで獲得してきた保険契約の内容を調査することになりました。

その結果…K信用金庫で「T社が保有しているお客様の更新型医療保障特約を解約→終身型医療保障特約に新規加入」という手法で、中央T社の成績としていた契約が数十件も出てきたのです。

【幹部同士の衝突、社内での対立】
規模が規模だけに事態は重大で組織的にかつ意図的に行なった疑いがある、と判断したT社と保険会社は、本田社長(仮名)、武山次長(仮名)からも事情聴取を行ない、さらに社長と次長の営業先での契約内容を調査しました。

その結果…星谷部長と同様の手法で契約を獲得していた件数がそれぞれ数十件もあることが発覚しました。

もはや組織的かつ意図的であると判断されてもやむを得ません。保険会社は中央Tと3名に対する処分を検討し始めました。

また、保険会社とは別に元親会社のT社は、誰が主導して今回の不正契約を勧めたのか、ということを3名に問いただしました。

そこで3名が異なる主張を始めたのです。管理人は後日その内容を本人たちから教えてもらいました。その内容は次のようなものだったと記憶しております。

星谷部長・「私は何度も大丈夫なのか?と確認したが、大丈夫だと次長と社長が言い切ったのでやった。自分が主導したのではない」

武山次長・「今回問題視された契約手法は、保険会社も認めた方法であり、不正契約とされること自体に納得できない」

本田社長・「星谷君は僕が主導したといっているが、僕は代理店会の会長をやったこともある人間。そんなことを主導したことはないし、するはずもない」

会社内でも部長と社長+次長との間で衝突が頻発…もうこうなると、組織は大混乱。

10月の下旬(と記憶)にもなると、中央Tそのものが業務廃止となり全員が解雇されるのではという憶測も流れ、部長と部長を支持する社員VS.社長・次長という構図が出来上がり、雰囲気は最悪でした。

【処分下る…法人としての中央Tは消滅、T社の一営業所に降格。3名の幹部は全員追放】
11月…ついにその時が来ました。T社の顧問を務める草本さん(仮名)から、以下の処分内容が伝えられました。

1.法人としての中央Tを業務廃止とし、T社の関東営業所として事業を継続する。

2.東京の営業所と組織再編を行い、これまでの営業先を合議制で振り分ける。

3.社長と次長は、A社の募集人としての登録を廃止する(業務廃止処分)。

4.部長はT社を解雇。ただし、個人代理店としての活動ができるように配慮し募集人としての登録は存続する。

5.営業および事務は全員在籍させる。

【新たな抗争の幕開け、東京派と旧中央T派による対立と組織の崩壊】
…とりあえず、解雇されずに済みホッとしたのもつかの間。今度は社員同士の派閥抗争が勃発し冷戦状態に陥りました。

原因は営業先の合議の最中に、東京の営業所から合流した2名の営業マンが、「募集環境が恵まれている団体をこちらに全部よこせ」と主張したことでした。

草本顧問は、東京営業所出身の営業マンが、中央T立ち上げの際に追われた身である事やろくな営業先がなかったため苦労してきたことを挙げ、彼らの主張をほぼ全面的に認めていました。

合議とは名ばかり…管理人ら旧中央T出身者の主張は追放された3名の行為を理由にほとんど受け入れらない状態に追い込まれていたのです。

こうなると協力しようとは思わなくなりました。4名の営業マンのうち管理人とベテラン営業マンの岩本さん(仮名)は徹底抗戦すべく結託しました。

そして現実派の鈴本さん(仮名)と大林さん(仮名)は、東京派との協調路線をとりました。

お互い挨拶や雑談はするが営業の情報交換は一切しない、調整役も強力な指導力を持つ上司も不在…完全に組織は崩壊しました。

【行き着く先は…退職という決断】
そして年も明けて03年3月、管理人が退職を決意することが起こりました。

それは、本社からの役員が営業所に来た折に、会議が開かれ時のことです。

席上、今後の営業活動について意見を述べる機会がありました。管理人はこれまでの経験から「既契約者へのフォローを徹底し顧客の離脱防止を図り、継続率を向上させ追加契約の機会を作り出すことが重要である。また、地元法人会への営業をもっと重視すべき」と意見を述べました。

しかし、返答は…「当社は(契約を)取ったら取りっぱなしできた会社だから、契約者に対するフォローは考えていない。法人会もすぐに成績が出るのであればいいが、そういう保証がない以上重視することもない」というものでした。

この本社の見解に管理人は大いに失望し、3月末を持って退職…管理人と共闘してきた岩本さんも6月に退職しました。

そして管理人は現在の乗合募集代理店に、岩本さんも別の代理店に移籍しました。

…たった1本の電話がきっかけで始まった組織の崩壊。不正契約がもたらす大きな代償をまざまざと見せ付けられました。

管理人はこの事件を教訓にフェアな営業活動にまい進しております。


以上です…ふうε=(-.-;)。

皆様の一票をお待ちしております。
人気blogランキングへ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2006年11月20日 15:01
ここに登場する幹部の連中は、お客様の保障が途切れた時に、なにかが起きたら...などとは考えもしなかったんでしょうね。

10年更新型から終身型への切り替えは、取り扱った代理店には、一切手数料は支払われませんから、切り替えではなく、解約→新規申込みとしたんでしょうね。

お客様は切り替える方法があることすら、ご存知ないでしょうから、単純に10年更新を終身保障にしませんか? というセールストークで、このような募集をしていたんでしょう。

しかし、こんな乗換え案件が多発していれば、支社のチェックで分かるはずです。
その支社の支社長が黙認していたとしか思えませんね。支社の成績にもなるしね...
現役保険営業マン
2006年11月20日 15:28
てつおさん、一番コメントありがとうございます。
>ここに登場する幹部の連中は、お客様の保障が途切れた時に、なにかが起きたら…などとは考えもしなかったんでしょうね。
>>はい、その通りだと思います。一番大事なのはお客様という視点が欠落していたとしか思えません。

>10年更新型から終身型への切り替えは、取り扱った代理店には、一切手数料は支払われませんから、切り替えではなく、解約→新規申込みとしたんでしょうね。

お客様は切り替える方法があることすら、ご存知ないでしょうから、単純に10年更新を終身保障にしませんか? というセールストークで、このような募集をしていたんでしょう。
>>…正解です。追放された次長が「変更では手数料がゼロだから新規契約にした」とポロリとこぼしました。

>しかし、こんな乗換え案件が多発していれば、支社のチェックで分かるはずです。
その支社の支社長が黙認していたとしか思えませんね。支社の成績にもなるしね…
>>保険会社の人間はお咎めなしでしたが、次長の証言からすればその疑いは十分考えられます。なんとも情けないですよ。
2006年11月20日 16:41
こんにちは!

現役保険営業マンさんもお若いのにいろいろ修羅場をご経験なさっているんですね…

団体オンリー、がん保険オンリーで今の地位を築いた法人代理店は、結局そんな営業手法しか取れないんでしょうね…

アヒルのA社代理店には、こんな話はごろごろあるんでしょうね…
現役保険営業マン
2006年11月20日 17:04
ともさか保険事務所さん、コメントありがとうございます。
…確かにいろいろと修羅場を経験してますね(苦笑)。
記事の件は、今度こそコンサルティング営業を!!と意気込んでいた最中に起きましたのでショックでした。
>アヒルのA社代理店には、こんな話はごろごろあるんでしょうね…
>>まじめなのは佐藤さんや、ともさかさんのような個人代理店でしょうね。
業歴の古い法人代理店は昔のずさんなルールしか知らないから…叩けばほこりがわんさと出るでしょうね。

この記事へのトラックバック

  • がん保険が必要な理由

    Excerpt: がん保険は「がん」と診断された際に診断給付金が給付され、「がん」で入院・手術をした際に給付金が支払われる等、がんに関する保障に特化した医療保険です。「がん」による入院の場合入院給付金が無制限で給付され.. Weblog: がん保険NAVI【あなたのがん保険は大丈夫?】 racked: 2006-12-04 22:44
  • 肝がんと肝炎ウイルス感染

    Excerpt: 肝がんは、肺がんや子宮頸がんと並び、主要な発生要因が明らかになっているがんの1つです。重要なのは、肝炎ウイルスの持続感染です。肝炎ウイルスには肝炎ウイルスが存在しています。肝がんの約75%は、B型肝炎.. Weblog: がん情報研究所 癌(がん)は治る病気です! racked: 2006-12-15 13:23