金融庁、動く!!保険商品の販売・勧誘時の新ルールについて⑨
連載*の再開です…。12月6日の日本経済新聞・朝刊に、金融庁が来年の4月から、新たに導入する保険商品の販売時におけるルールについての記事がありました。
*前回の記事はこちら。
金融庁、動く!!保険商品の販売・勧誘時の新ルールについて⑧
記事によりますと、新たに導入されるのは保険契約を結ぶ際、事前に商品ニーズを書面で確認する規制で、投資性の高い変額年金保険や死亡保険などが対象、とのことです。
…営業パーソンである管理人は、「う゛…また新しいルール?
今年の4月に契約概要と注意喚起情報を導入したばかりでしょうが…」とげんなり
しつつ、金融庁のHPで詳細を確認しました。
変額保険や、死亡保険などが対象って…日経さん大雑把過ぎますって。金融庁が公表した「保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」には、医療保険などのいわゆる第三分野もしっかりルールの適用範囲に入っていますよ。
そういうことは「正確に」報道していただきませんと…自称・経済の専門紙(爆)なのですから。
さて今回、日経がある意味とてもシンプルに報じてくれたのは、金融庁が公表した3つの「保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」(以下、指針の改正案)のうちのひとつ、「契約の申込みを行なおうとする保険商品が、顧客のニーズに合致した内容であることを確認するための体制整備の明確化」です。
その内容は、「意向確認書面(保険に加入する前に、保険商品が顧客のニーズと合致しているかを確認するための書面)」の作成と、その書面に記載すべき事項と掲載方法について、保険会社に求められる体制整備の内容を明確化にする、というものです。
…確かに、意向確認書面はお客様が保障内容を充分確認して契約するには有効な手法であると考えられます。
既に適用された、〈重要事項を説明し、約款をお渡しして記載されている「注意喚起情報」と「契約概要」を契約前に十分な時間の余裕を持ってお客様に理解していただく〉というルールと併用すれば、契約後のトラブルが減少することは十分考えられます。
ただ…もっとも肝心な生命保険の営業体制は「ノルマによる成果主義」「一定期間で簡単に人を使い捨てる」「新規契約至上主義」「営業職員はいつまでたっても下っ端」「お勧めプランの押し売り」「コンサルティングなんて奇麗事」という仕組みのまま…
。
顧客本位のルールを適用しようにも、顧客本位から大きく乖離している体制であると管理人は考えております。今のままではどんなにお客様にとって有利なルールを適用しても「しょせんは奇麗事」となり、1~2年で形骸化してしまう恐れがあります。
本当に生命保険の契約トラブルを解決するには、「ルール策定だけでは意味がない、生命保険会社の営業および雇用体制の大改革が必要である」と管理人は考えております。
【記事の内容】と【監督指針改正の概要】
以下、記事の内容と監督指針改正の概要です。まずは、記事の内容です。
【保険契約で金融庁、商品ニーズ確認来春に義務付け】
金融庁は5日、保険会社が顧客と保険契約を結ぶ際、事前に商品ニーズを書面で確認しておくよう義務づける規制を2007年4月から導入すると発表した。顧客が必要としていない商品の押し売りを防ぐ狙いで、変額年金保険など投資性の高い商品や死亡保険などが対象。行政監督上の着眼点を示す指針(ガイドライン)に盛り込む。
…続いて、監督指針改正の概要です。
【監督指針改正の概要(金融庁公表文書より抜粋)】
1.改正の趣旨
契約の申込みを行なおうとする保険商品が、顧客のニーズに合致した内容であることを確認する機会を確保するための体制整備の明確化、保険持ち株会社の子会社等にかかる業務範囲の明確化、および保険商品審査上の留意点等に関する所要の手当てのため、保険会社向けの総合的な監督指針および小額短期保険業者向けの監督指針につき、所要の改正を行なうもの。
2.主な改正点
(1) 契約の申込みを行おうとする保険商品が、顧客とのニーズに合致した内容であることを確認するための体制整備の明確化。
保険分野においては、販売勧誘に関する苦情が依然として多いこと、保険商品の多様化・複雑化により消費者に商品内容が理解しづらいものとなっていること等の指摘がなされていることを受け、本年3月に「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」(座長・野村修也・中央大学法科大学院教授)において公表した「中間論点整理~適合性原則を踏まえた保険商品の販売・勧誘のあり方~」を踏まえ、契約の申込みを行なおうとする保険商品が顧客のニーズに合致しているものかどうかを、顧客が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、顧客のニーズに関して情報を収集し、保険商品が顧客のニーズに合致することを確認する書面(「意向確認書面」)に記載すべき事項、その記載方法について、保険会社に求められる体制整備の内容を明確化する(保険会社向けの総合的な監督指針Ⅱ-3-5-1-2(15)、少額短期保険業者向けの監督指針Ⅱ-3-5-1-2(15))。
…
3.実施時期
(1) 2.(1)については、平成19年4月1日より適用する。ただし、各保険会社等においてこの日までに対応できない事情がある場合には、対応できない部分につき平成19年9月30日までその実施の猶予を認める。
…
以上です…ふうε=(-.-;)。
次回からは、「保険会社向けの総合的な監督指針の改正(案)」に新設された、「意向確認書面」についての内容について連載をする予定です。
皆様の一票をお待ちしております。
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記事によりますと、新たに導入されるのは保険契約を結ぶ際、事前に商品ニーズを書面で確認する規制で、投資性の高い変額年金保険や死亡保険などが対象、とのことです。
…営業パーソンである管理人は、「う゛…また新しいルール?


変額保険や、死亡保険などが対象って…日経さん大雑把過ぎますって。金融庁が公表した「保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」には、医療保険などのいわゆる第三分野もしっかりルールの適用範囲に入っていますよ。
そういうことは「正確に」報道していただきませんと…自称・経済の専門紙(爆)なのですから。
さて今回、日経がある意味とてもシンプルに報じてくれたのは、金融庁が公表した3つの「保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正(案)」(以下、指針の改正案)のうちのひとつ、「契約の申込みを行なおうとする保険商品が、顧客のニーズに合致した内容であることを確認するための体制整備の明確化」です。
その内容は、「意向確認書面(保険に加入する前に、保険商品が顧客のニーズと合致しているかを確認するための書面)」の作成と、その書面に記載すべき事項と掲載方法について、保険会社に求められる体制整備の内容を明確化にする、というものです。
…確かに、意向確認書面はお客様が保障内容を充分確認して契約するには有効な手法であると考えられます。
既に適用された、〈重要事項を説明し、約款をお渡しして記載されている「注意喚起情報」と「契約概要」を契約前に十分な時間の余裕を持ってお客様に理解していただく〉というルールと併用すれば、契約後のトラブルが減少することは十分考えられます。
ただ…もっとも肝心な生命保険の営業体制は「ノルマによる成果主義」「一定期間で簡単に人を使い捨てる」「新規契約至上主義」「営業職員はいつまでたっても下っ端」「お勧めプランの押し売り」「コンサルティングなんて奇麗事」という仕組みのまま…

顧客本位のルールを適用しようにも、顧客本位から大きく乖離している体制であると管理人は考えております。今のままではどんなにお客様にとって有利なルールを適用しても「しょせんは奇麗事」となり、1~2年で形骸化してしまう恐れがあります。
本当に生命保険の契約トラブルを解決するには、「ルール策定だけでは意味がない、生命保険会社の営業および雇用体制の大改革が必要である」と管理人は考えております。
【記事の内容】と【監督指針改正の概要】
以下、記事の内容と監督指針改正の概要です。まずは、記事の内容です。
【保険契約で金融庁、商品ニーズ確認来春に義務付け】
金融庁は5日、保険会社が顧客と保険契約を結ぶ際、事前に商品ニーズを書面で確認しておくよう義務づける規制を2007年4月から導入すると発表した。顧客が必要としていない商品の押し売りを防ぐ狙いで、変額年金保険など投資性の高い商品や死亡保険などが対象。行政監督上の着眼点を示す指針(ガイドライン)に盛り込む。
…続いて、監督指針改正の概要です。
【監督指針改正の概要(金融庁公表文書より抜粋)】
1.改正の趣旨
契約の申込みを行なおうとする保険商品が、顧客のニーズに合致した内容であることを確認する機会を確保するための体制整備の明確化、保険持ち株会社の子会社等にかかる業務範囲の明確化、および保険商品審査上の留意点等に関する所要の手当てのため、保険会社向けの総合的な監督指針および小額短期保険業者向けの監督指針につき、所要の改正を行なうもの。
2.主な改正点
(1) 契約の申込みを行おうとする保険商品が、顧客とのニーズに合致した内容であることを確認するための体制整備の明確化。
保険分野においては、販売勧誘に関する苦情が依然として多いこと、保険商品の多様化・複雑化により消費者に商品内容が理解しづらいものとなっていること等の指摘がなされていることを受け、本年3月に「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」(座長・野村修也・中央大学法科大学院教授)において公表した「中間論点整理~適合性原則を踏まえた保険商品の販売・勧誘のあり方~」を踏まえ、契約の申込みを行なおうとする保険商品が顧客のニーズに合致しているものかどうかを、顧客が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、顧客のニーズに関して情報を収集し、保険商品が顧客のニーズに合致することを確認する書面(「意向確認書面」)に記載すべき事項、その記載方法について、保険会社に求められる体制整備の内容を明確化する(保険会社向けの総合的な監督指針Ⅱ-3-5-1-2(15)、少額短期保険業者向けの監督指針Ⅱ-3-5-1-2(15))。
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3.実施時期
(1) 2.(1)については、平成19年4月1日より適用する。ただし、各保険会社等においてこの日までに対応できない事情がある場合には、対応できない部分につき平成19年9月30日までその実施の猶予を認める。
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以上です…ふうε=(-.-;)。
次回からは、「保険会社向けの総合的な監督指針の改正(案)」に新設された、「意向確認書面」についての内容について連載をする予定です。
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この記事へのコメント
老眼の方はなかなかに大変なんですよね~。
口頭でも読み上げて説明しますが、それでも目が疲れると言われます・・・。
…はい、増えますね。それに伴い、おそらく申込書の契約者印と被保険者印の捺印欄も変更されることが考えられます。つまり申込書の差し替えも発生すると考えられます…。
…ということは、昨年明らかになった不祥事の被害に遭われた方でしょうか?
文面から察するに、今なお不誠実な対応を繰り返されているということでしょうか?
同じ業界の者として恥ずかしい限りです。
そうですか…また書類が…
お客様のためなので、我々は粛々と遂行していきますが、お客様の方が結構嫌がるんですよね…
…はい、そうなんです。またまた書類が増えることに…。
ただ、書類を増やすだけでは顧客本位にならないと思うのですが…、行政はそこまで細やかなことはできませんからね。
我々が智恵を絞って対応するしかないでしょう。
んー、まぁ、行政が行う事はこの程度だと思います。
金融庁は「僕たちこんな規定整備したもんね」⇒「僕たちに責任なんてないもんね」
という責任逃れの図式だけですネ・・
本当に保険会社を含む金融機関を正しい方向に導こうとするなら、おっしゃるように
「ノルマによる成果主義」「一定期間で簡単に人を使い捨てる」「新規契約至上主義」「営業職員はいつまでたっても下っ端」「お勧めプランの押し売り」「コンサルティングなんて奇麗事」
なんていう、「営業、人事体制」をどうにかすべきですね。
おっしゃるとおり本当の「顧客本位」からは離れていきますね。
おっしゃるとおり、今回の新ルールも後で行政の不作為を指摘されないためのものである、という一面は当然あるでしょう。
注意喚起情報、契約概要、そして今度の意向確認書面…結局は顧客無視・軽視の営業・人事体制が生み出したルールです。
原因を解決することをしないでとにかくルールを策定する…こんなことでは問題が隠れるだけです。