生命保険の支払い漏れ・全38社で12万件超。金額は約263億円

4月14日の日本経済新聞に、13日に公表された、生命保険全38社の保険金・給付金等の支払い不足、および未払い(いわゆる「支払い漏れ」)の件数と金額についての記事がありました。

記事によりますと、〈生命保険各社は13日、金融庁の命令に基づく保険金支払いの調査結果を公表した。全38社の保険金や給付金の不払いは、同日時点で確定した分で計12万4000件、約263億円。…〉とのことです。

…主要12社(日生第一住友明治安田大同太陽富国三井朝日ソニーアリコアメリカンファミリー)だけでも、支払い漏れの件数は10万6338件、金額は247億4300万円と膨大なものでした。

損保の支払い漏れに匹敵する規模でしょう。以前の記事*で述べた不安が現実のものとなってしまいました。

*その記事はこちら

それにしても、なぜこうも膨大な件数と金額の支払い漏れが発生したのか?

その原因の大半は「お客様の請求漏れ」と「事務処理上の判断ミス」であると考えられます。

今後、全保険会社に再発防止の徹底と請求漏れの発生要因解明が要求されることは間違いないでしょう。

…管理人はお客様の請求漏れが発生した要因を以下のように考えております。

①お客様が、各特約給付金及び保険金の支払い条件を把握していなかった。

②被保険者が、がんであることを告知されておらず請求できなかった。あるいは家族が本人にがんであることを知られることを恐れ、代理請求もしなかった。

③指定代理請求制度が付加されていることに家族が気付かなかった。

④他に請求できる可能性がある特約があることを、給付金支払時に案内する。契約後、入院や死亡した際に請求可能な特約を、ケースごとに解説した書類を案内する―など、お客様が複雑化した保険商品に対応して請求できるサポート体制が整っていなかった。

⑤指定代理請求制度が付加されておらず、家族が請求できなかった。


【記事に対する反論】

記事の内容に入る前に、反論しておきたいことがあります。

1.「不払い」とは非常に心外。請求漏れに伴う保険金等の支払い漏れは「未払い」、事務処理ミスに伴う支払い漏れは「支払い不足」とすべきで、字数制限があるなら「支払い漏れ」と統一すべき案件である。

事務処理ミス及び請求漏れに伴う支払い漏れを「不払い」と表現し、問題であるかのように報じておりますが非常に心外です。

そもそも不払いとは、「お客様から保険金等の請求があったものの、約款と照合した結果、支払条件を満たしていない、あるいは、お支払できないケースに該当したため、保険金等を支払わない」ということです。

つまり、不払いとは保険金支払いにおける保険会社の正当な行為です。

請求漏れに伴う保険金等の支払い漏れは、請求がなかったためお支払いできなかったのであり、「未払い」とすべきです。

そして、事務処理ミスによる支払い漏れは、多くは支払い額が不足していたのですから「支払い不足」とすべきです。

紙面の字数制限があるのなら「支払い漏れ」と統一すべきでしょう。

報道するのであれば、もっと保険金等の支払いに関してしっかりと勉強してからにしてほしいものです。

2.三大疾病特約保険金の支払条件についての説明が不正確である。誤解を招くので不正確な説明はやめよ!!

3面記事で、三大疾病特約保険金の支払事例を、〈脳卒中になり100日間入院し、医療保険で入院給付金を約50万円受け取った。ところが三大疾病(がん、急性心筋こうそく、脳卒中)になると保険金が支払われる特約にも加入していた。この場合は入院給付金とは別に最高で2000万円を受け取れる。〉と脳卒中の例で解説しておりますが、あまりに不正確な内容です。

脳卒中での保険金支払条件は「初診日からその日を含めて60日以上、言語障害や運動失調や麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師が認めた場合」です。

ただ入院しただけでは、特約保険金を受け取ることはできません。「請求ありき―不作為の罪」などと偉そうに説教する以上、もっと正確に説明をしていただきたいものです。

【記事の内容】

以下、記事の内容です。

・1面記事
【生保不払い263億円・2001~2005年度、全38社で12万件超す】
 生命保険各社は13日、金融庁の命令に基づく保険金支払いの調査結果を公表した。全38社の保険金や給付金の不払いは、同日時点で確定した分で計12万4000件、約263億円。三大疾病、通院など主契約に上乗せする特約の不払いが多かった。さらに不払いの可能性がある100万件超の調査を進めるため、最終結果は今夏ごろにずれ込み、不払い額も膨らむ見通しだ。

 金融庁は2月、追加で支払うべき保険金の調査を生保全社に命じた。各社は2001~05年度に保険金を払った契約を対象に調べた。このような調査は生保では初めてで、期限の13日に同庁に報告した。一連の保険業界の不払い問題では、損保の自動車保険などで約230億円の支払い漏れが現時点で判明。生保の不払いは既に、これに匹敵する規模になる。

 今回分かった不払いのうち、契約者から保険金の請求があったにもかかわらず、事務作業ミスなどで支払いが足りなかった契約は9万4000件、88億円あった。入院給付金を払ったが、診断書で手術の記載を見落とし、手術給付金を払わなかった例などが多い。日本生命保険の岡本圀衛社長は「顧客の立場にたった事務や支払いの体制をつくっていなかった」と陳謝した。これとは別に、医療保険の「通院特約」などで保険金の支払い漏れ可能性がある契約も150万件見つかった。

 263億円の不払いが判明した保険金や給付金とは別に、失効した保険契約を解約すると戻ってくる「失効返戻金」や、保険金の支払いが遅れた場合の「遅延利息」の支払い漏れも12万7000件、20億円あった。

 ほとんどの生保は13日時点で調査が終わっておらず、今後は支払われる可能性がある契約を精査する。6月までに不払い額を確定し、9月末までに支払いを終える。

・3面記事
【生保不払い・「手厚い保障」機能不全。115万件調査継続。特約など請求できる保険金、受取人に連絡せず】
 「まさか」のために加入している保険で、「特約」という手厚い保障が機能していない実態が、損害保険会社に続き生命保険会社でも明らかになった。13日に判明した保険金不払いは氷山の一角。確認された不払いとは別に、支払いが埋もれている可能性がある契約は115万件を超える。

 生保は顧客に払える保険金を案内せず、顧客も受け取れる保険金に気づかず請求していなかった。生保全38社で約12万4000件、約263億円に達した保険金・給付金の不払いは、さらに増える見通し。不払いの可能性がある契約は、顧客に病気や通院など支払い対象になることがなかったかを確認してもらい、該当すれば保険金を追加して支払う。

 代表的な2つの契約パターンをモデルケースで示してみる。

 ▽三大疾病特約 脳卒中になり100日間入院し、医療保険で入院給付金を約50万円受け取った。ところが三大疾病(がん、急性心筋こうそく、脳卒中)になると保険金が支払われる特約にも加入していた。この場合は入院給付金とは別に最高で2000万円を受け取れる。

 ▽通院特約 足の骨を折って1週間入院し、入院給付金を3万円もらった。退院後の2ヵ月間、10日に一度のペースで通院していた。通院特約にも加入している場合は、入院給付金とは別に通院費として1日当たり2000円もらえる。

 共通するのは、契約者が加入している保険で受け取れる保険金をすべて覚えておらず、生保への支払い請求を忘れていたことだ。生保商品は死亡保障や医療保障の主契約に、保障を上乗せする「特約」が加わる構成で、保険金の種類も様々だ。

 契約者の間には一通の請求書ですべての保険金をもらう手続きが済むと勘違いしている人も多い。だが三大疾病特約などは保険金の種類ごとに請求する必要がある。確実に保険金を受け取るには、加入した保険でどんな時にどんなお金が、どういう手続きによって払われるのかを理解しておくことが欠かせない。

 生保も例えば入院給付金の請求を受けた時に、診断書に脳卒中で入院したとの記述を見つけていても、三大疾病特約の保険金も支払われることを顧客に積極的に知らせてこなかった。

 今回の不払い調査の一環で、生保会社から「支払えた保険金があったかもしれない」との知らせが来た人は、案内の手順に従って生保に電話したり、診断書などを入手して支払いを請求。支払に該当することが確認されれば、追加で保険金が支払われる。生保各社は顧客の問い合わせに応じる窓口を設けている。

 一方で、不払いは複雑な商品構成やわかりにくい請求手続きにも原因の一端がある。生保各社は顧客への情報提供強化や請求書統一といった再発防止策に取り組み始めているが、失墜した信頼回復の道は険しそうだ。

【「請求ありき」不作為の罪・利用者保護へ常識転換迫る】
 「保険金の支払はまず契約者の請求ありき」。そんな保険の常識が、180度変わろうとしている。今回発表された生命保険の不払いは、契約者に請求を促す案内を怠っていたという売り手としての不作為の罪が問われた。

 規制緩和が短期間に進んだ日本では、特約の多さや目新しさを競う傾向も強かった。買い手の理解が十分に進まず、売り手も意を尽くして説明しにくい商品も増えた。生保各社は不払い再発の防止策として、契約内容をきめ細かく伝えるためのシステムを作るという。不作為を避けるために最低限の対応だが、それだけでは不十分だ。

 欧米では「大衆向けの保険商品は中身の分かりやすさを競うようになっている」(英大手生保)。複雑な商品は損保も含め必ずしも、契約者に価値ある商品ではない。

 保険金の不払いという「出口」の問題を突き詰めると、保険の商品設計や販売など「入り口」に戻る。売り手も買い手も理解できない商品は売るべきでない。年内には銀行の窓口でも、死亡保険や医療保険など保障性の強い保険が買えるようになる見通し。複雑さを競うのは危険ですらある。

 一部の預金や保険にも網をかける金融商品取引法も、9月に施行される。今回の不払い問題で対象になった商品は同法の対象ではないものの、利用者の利益を一義に考える法律の精神が浸透するきっかけになる。

 投資信託や様々なファンドなど、すそ野が急速に広がっている金融商品には、複雑さを付加価値と取り違えているものも多い。買い手に中身を分からせる責任は売り手が負う。常識の転換を迫られているのは、保険会社だけではない。

・4面記事
【生保不払い・行政処分検討へ。金融庁、業界の構造を問題視】
 金融庁は生命保険会社の保険金の不払いについて「業界の構造問題」との認識を持っている。今後、各社の報告を精査したうえで、行政処分の検討に入る見通し。支払い管理体制などに重大な不備が見つかれば、3月に第三分野商品の不払い問題を巡り損保10社に出したような「一斉処分」をする可能性もありそうだ。

 山本有二金融担当相は各社の報告を受けて「(不払い件数、額が)かなり多い。再発防止に万全を期すことが可能なのかどうかを含め、原因究明を進める。各社とも性根を入れて対応してほしい」と苦言を呈した。

 金融庁が問題視しているのは、たとえば請求があって入院給付金を支払ったのに、請求がないからと通院給付金を支払わなかった事例。保険契約の内容を記した約款では別々に請求するよう書いてあるが、顧客保護の観点から請求を案内すべきだったとの立場だ。

 さらに販売段階でも、請求の仕方などについて十分な説明があったのか、疑問視している。こうした点について、支払い管理部門やチェック体制に不備がなかったかを点検していく方針だ。

 ただ、損保大手6社の第三分野の不払い件数は約5000件。これに対し今回は生保主要12社で10万件に上り、けた違いな数を精査しなければならない。各社が調査を継続しているなか、事実認定が難航する可能性もある、問題の全容解明には時間がかかりそうだ。



以上です…ふうε=(-.-;)。

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この記事へのコメント

2007年04月15日 10:12
おはようございます!

こちらもこの話題ですね…
継続調査数を見ると真実の数字を見るのが恐ろしくなりますね…

でも目を背けることなく、真摯に受け止め反省するところは反省し、改善して、お客様の信頼回復に努めましょう!
はまつひろみ
2007年04月15日 10:16
昨日の新聞大々的でしたね。一般の人に「民間生保=不払い」なんてイメージついちゃうのが怖いです。
三大疾病、、についてもマスコミは給付条件が契約者に理解しにくいだの厳しいだのいろいろたたきますが(たしかにそうですが)一般の人が保険をわかろうなんて、専門的に勉強しない限りはやっぱり不可能に近い(私はそう思います)。給付の厳しさは公的の社会保険だって各種共済系だって同じですよね。
日々信頼の元わかりやすく顧客のために保険説明をする現場の営業担当にとって、会社の経営システムにまで関われないのが、悲しいところです。
メリー
2007年04月15日 12:43
経験上、この手の不払い?は知っていました。
新しい地区を付与された時の私の挨拶は
「ご請求漏れはございませんか?」だったからです。
で、出てくるんですよ・・・これがまた。
私自身は通院特約を売ってません。対費用効果を考えると、あんまり価値が無いなと。
担当者の力量が不払いに繋がってるのもありますよね。
現役保険営業マン
2007年04月15日 13:06
ともさか保険事務所さん、一番コメントありがとうございます。
>…でも目を背けることなく、真摯に受け止め反省するところは反省し、改善して、お客様の信頼回復に努めましょう!
>>はい、そう思います。反省すべき点は反省し、改善して信頼回復のために地道に取り組んでまいりましょう。
ただし、反論すべきところは反論すべきであると思っております。
現役保険営業マン
2007年04月15日 13:14
はまつひろみさん、コメントありがとうございます。
…まぁマスゴミの仕事は「叩きやすい所を叩く」ことですからね。彼らの使命は事実が歪もうが読者にうければいいわけですから。
>日々信頼の元わかりやすく顧客のために保険説明をする現場の営業担当にとって、会社の経営システムにまで関われないのが、悲しいところです。
>>はい、同感です。今回の件は営業(入り口)と支払い査定(出口)の隙間に入り込んでいる問題です。解決するには入り口と出口が共同作業をすべきです。
そのためには縦割り組織の意識を変えなければダメでしょう。
現役保険営業マン
2007年04月15日 13:23
メリーさん、貴重な体験談&コメントありがとうございます。
管理人は、請求漏れや支払不足の経験はありません。
>対費用効果を考えると、あんまり価値が無いなと。
>>まあ、確かに…給付金の支払条件や請求する際に必要な診断書の費用を考えると万人にお勧めできるとは言いがたいですね。
>担当者の力量が不払いに繋がってるのもありますよね。
>>はい、担当者の技量(請求時の情報提供)によって左右されていることは十分考えられます。今後はこのことも改革しないとダメでしょうね。
2007年04月15日 23:34
こんばんは。

ほぼ100%、私も同じ考えです。
私のブログでも、記事にリンクさせていただきました。

おっしゃるように新聞を見ていると???となることがありますね。特に用語の用い方は気をつけていただきたいと思うことが多々あります。
週刊誌のように「ウケる」事が使命ではないのですから、もうすこし調べてから記事にしていただきたいものです。
現役保険営業マン
2007年04月16日 00:55
佐藤さん、コメントありがとうございます。
おお!!リンクを張ってくださったのですか…ありがとうございます。後ほど伺います。

…賛同いただきありがとうございます。ここ数年マスコミ(マスゴミ)の知識不足、取材不足、不勉強は目に余ります。斬鉄剣で一刀両断してやりたいですよ。

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