生保の「支払い漏れ」「未払い」―調査の完全終了は困難!?

9月15日の日本経済新聞・朝刊に、生命保険各社で発生した、保険金等の「支払漏れ」「未払い」の調査状況等に関する記事がありました。

記事によりますと、

〈 日本生命保険など生命保険各社による保険金などの不払い調査が、9月末の期限を控えて難航している。案内を送ったり戸別訪問を繰り返したりしても、連絡のつかない契約者がおり、調査を完全に終えるのは現実的に難しい状況。調査の対象範囲も各社で未だにぶれがある。「ここまでやれば十分」というゴールが見えない中、各社は手探りを続けている。〉

とのことです。

…管理人は、各社が調査を継続している今回の案件について

①なぜマスコミは、保険金・給付金等の支払金額の不足(いわゆる「支払い漏れ」)と、請求漏れによる未払い(いわゆる「未払い」)を“不払い”と一括りにしたうえ、“法的問題”のように書きたてるのか?

②なぜ、各社間で調査対象の範囲にバラツキが生じるのか?


という疑問を報道があるたびに感じておりました。

そこで、管理人はGoogle検索で疑問を解くための手がかりを探しました。

その結果…国立国会図書館の財政金融課がまとめた、「保険金不払い問題の概要と課題」という資料の中に、疑問を解く手がかりを発見しました。

それは、上記資料の1ページ目の注釈欄にあった以下の文章です。

金融庁は、不払いを次のように定義している。

①「付随的な保険金の支払漏れ」(主たる保険金を支払ったが、契約者から請求がなかったため付随的な保険金を支払わなかったこと)

②「保険金等の不適切な不払い」(契約者から保険金等の請求があったにもかかわらず、不適切な判断により保険金等を支払わなかったこと)

③「保険金等の不適切な未払い」(がん保険等における保険金等の支払に監視、被保険者にがんの告知が行われていない等の理由から、保険会社が支払を留保したものについて、留保の理由が消滅し後も支払っていなかったこと)。…


…おそらくマスコミは、金融庁が定めたこの「定義」に沿って支払い漏れや未払いをも不払いと一括りにして“法的問題”のように書きたてているものと思われます。

そして、“不適切な”という金融庁の余計な文言が、「不適切な未払いの適切な解釈は?」と各保険会社の混乱を招き、未払い調査の対象範囲のバラツキと、調査完了の遅れの原因となっているのではないかと思います。

…それにしてもずいぶん乱暴な定義だと思います。その理由は以下のとおりです。

・「付随的な保険金等の支払い漏れ(損保)」、「保険金等の不適切な(本来は“不当な”でしょうが…)不払い(生損保)」、「保険金・給付金等の支払い漏れ、未払い(生保各社)」は全く異なる要因で発生した案件で、法的問題とそうでない問題であるにもかかわらず、強引に「不払い問題」と一括りにしている。

…金融庁の乱暴な定義によって、上記3つの案件の問題の本質が全く分からなくなり*、いつの間にかすべてが保険会社によって故意に引き起こされた法的ルールを破る汚い行為、というとんでもない“問題”になってしまっている
―と管理人は考えております。

*管理人注・これを「モルボルショック」(一般名:くさい息症候群)、あるいは「ハーゴンの幻術症候群」といいます(嘘)。

乱暴な定義で問題の本質を捻じ曲げ、行政処分の理由を無理やりつくり上げる。余計な文言で保険会社を混乱させる―こんなことをする金融庁に対して

強引な法令解釈による行政処分を連発し、事後規制で販売サイドのみを厳しく規制するなど、監督官庁として不適切な行政指導を行い金融業界を萎縮させ、消費者保護の仕組みづくりを怠ってきた。

―という理由で、業務停止命令を出したいのは管理人だけでしょうか?

…最後に日経に一言、当局の判断に追従して記事を書く体質から脱却できない新聞社に、〈調査を官から自立する契機とできるか。生保業界はそこを問われているのかもしれない。〉などと偉そうに説教する資格はありませんよ。

【記事の内容】

以下、記事の内容です。

【生保の不払い調査―期限は今月末・「完了」難しく。対象範囲、各社に違い。報告内容基準なく】
 日本生命保険など生命保険各社による保険金などの不払い調査が、9月末の期限を控えて難航している。案内を送ったり戸別訪問を繰り返したりしても、連絡のつかない契約者がおり、調査を完全に終えるのは現実的に難しい状況。調査の対象範囲も各社で未だにぶれがある。「ここまでやれば十分」というゴールが見えない中、各社は手探りを続けている。

 ◇自宅を戸別訪問
 「すみませんが急ぎ請求を」。住友生命保険の大阪・東京両本社の総合職が10日から、連絡のつかない契約者の自宅を戸別訪問し始めた。連絡のつかない契約者が多数残っており、総合職500人を全国に派遣した。生保各社は調査の最後の追い込みに入っている。

 生保の保険金や給付金などがきちんと契約者に支払われていなかった不払い問題では、金融庁が2月に出した命令に基づき、4月に各社が調査結果を報告した。生保38社で約44万件、約359億円の不払いが判明したが、調査が終わらなかった案件も170万件超残った。

 これを受け日生、第一生命保険、住生は調査完了を9月末に設定。6月末を期限としていた明治安田生命保険も調査が進まず9月末に延長した。その他主要生保も含め10月初旬には調査報告が出そろう見通しだ。

 ただ期限までに不払いの可能性のある契約すべてについて、支払いの可否を確認するのは難しい。転居を重ねて連絡先がわからない人や、医師から診断書を取る手間をいとい何度請求を促しても反応しない人が一定数残る。大手では9割方調査を終えたもようだが確認の取れない案件が各社数千件単位で残っているようだ。

 各社は積み残した案件で今後請求があれば時効に関係なく速やかにお金を支払う体制を組むなどして、契約者の理解を得たい考え。「精いっぱいやったことをわかってもらうしかない」(生保大手幹部)

 ◇試される自立
 各社が気にするのは、調査範囲の「ぶれ」の問題だ。保険料の支払いをやめた契約者への解約返戻金の取り扱いについて、生保によって違いが出る恐れが残る。

 日生と明治安田は4月の報告で「(保険料を滞納して)失効した契約者に対する請求案内が十分でなかった」として、契約再開や解約を求める案内を改めて出し、解約請求のあった件数を不払い報告に組み入れた。

 一方、第一と住友は「十分に請求を求めていた」として報告しなかった。事実、これまで請求案内を送っていた回数や記載内容には、社によって差があったもようだ。

 日生が4月に金融庁に報告した不払い件数11万2000件のうち、解約返戻金分は約半分を占める。もし新たに組み入れれば件数が大幅に膨れ上がり、調査がさらに長引く恐れも出てくる。

 土壇場まで着地点が見えてこないのは、報告すべき内容に統一した基準がないためだ。金融庁は「各社の報告後に内容を精査する」構え。ふたを開けてみて、各社の調査内容のぶれが余りに大きければ、追加や修正を迫る可能性もある。損害保険の不払い問題では報告後に行政処分が下ったこともあり、生保業界は戦々恐々としている。

 「最後は契約者の方を向いて考えれば間違いない」。ある大手生保首脳は社内にこう言い聞かせる。調査を官から自立する契機とできるか。生保業界はそこを問われているのかもしれない。

*未払い等に関する過去記事はこちら。
  • 保険金の支払漏れ、追加調査の月内完了めど立たず。
  • 生命保険の支払い漏れ・全38社で12万件超。金額は約263億円


    以上です…ふうε=(-.-;)。

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    この記事へのコメント

    2007年09月18日 14:04
    こんにちは。
    ゴールが見えないまま、さりげなく調査自体がフェイドアウト・・・なんてことになりそうですね(^_^;)
    そもそも根本の違う問題を、マスコミが一くくりに報道してしまうと、契約者もわからなくなっちゃいます。なんだかウヤムヤなまま書類だけを増やして終わり?!
    現役保険営業マン
    2007年09月18日 14:47
    とことこママさん、こんにちは。
    一番コメントありがとうございます。
    …まぁ、このまま行けばゴールが見えないままさりげなく、なんてことになるでしょうね。
    …ホント、マスコミにも困ったものです。官公庁や当局の指針や判断だけに基づいて記事を書くようなことは止めていただきたいものです。
    >なんだかウヤムヤなまま書類だけを増やして終わり?!
    >>残念ながら、その通りとなるでしょう。で、結局はまたまた現場とお客様に負担が増えてしまい、契約における双方の責任や信頼のあり方などがますますいびつになっていく…そんな気がしますね。
    正義の勇者
    2007年09月23日 12:01
    俺は専業主婦の妻と2人の子供がいる平凡なる会社員です。2人目が生まれたのでそろそろ生命保険でも加入するかなと思って、友人の生命保険に詳しい奴と保険会社のセールスレディーの双方に話をききました。まず最初のセールスレディーのほうですがなんと死亡保険4,000万円のものを薦めてきました。流石にそんな高価な保険に加給することなどできませんが、もし俺に万が一のことがあったらこれくらい必要などと積算書を持ってきました。次に友人に相談したらその積算書を破り捨てた上で、男性は死亡しても遺族の妻子は遺族年金があるから死亡保険には加入する必要ないと講義してくれました。なんとなく子供が生まれたら死亡保険に加入しないといけない、そんな常識をばら撒いた生保会社に騙されてはなりません。
    現役保険営業マン
    2007年09月23日 15:11
    正義の勇者さん、こんにちは。
    初コメントありがとうございます。
    …ずいぶんと対象的な考えの持ち主に遭遇されましたね。
    …遺族年金や勇者さん一家の生活スタイルを考慮したプランニングをすることなしにいきなり設計書というのは、セールスレディのやり方は確かに??です。
    >男性は死亡しても遺族の妻子は遺族年金があるから死亡保険には加入する必要ないと…
    >>うーん、ちょっと極端な意見ですね。実際には遺族年金だけでは、ご主人が生きていたときと同じ生活レベルが維持できない人もいますから、一概に「遺族年金があるから死亡保険は不要」とはいえませんよ。

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