保険の新規契約を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成23年4~6月の苦情受付状況(ボイスリポートNo.23)に、保険の新規契約を巡る裁定事案がありました。

リポートによりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 不適切な募集により短期間に8件の保険に加入させらたとして、全ての契約を無効にして既払込保険料を返還してほしい。

<申立人の主張>
 平成18年6月から10月までに契約した8件の契約は、以下のとおり、募集人による不適切な募集行為によるものであるから、8件全ての契約を無効とし、既払込保険料全額(実際には受領済みの解約返戻金等を控除した差額)を返還してほしい。

(1)平成18年6月ごろ、紹介者である知人同席のもとで募集人と初めて面談した際、「離婚調停を目前にしており、手元の資産を一時的に移動しておきたい。当該資金は自宅の建築資金に充てるため、短期間、絶対に損をしない商品を購入したい」と伝えたところ、募集人から、「顧客に損をさせたことはない、任せてほしい…」と言われ、6月と8月に変額個人年金保険(申し立て契約①、②)に加入した。しかし、実際には元本保証のない、受取額が一時払い保険料を下回る可能性のある商品であった。

(2)他社で加入していた子供保険の代わりになるものとして、平成18年9月に障害保障保険(申し立て契約③)と終身保険(同④)を、10月に終身保険(同⑤)にそれぞれ加入したが、年間保険料合計額は200万円に上るため、募集人に対し、「このような高額の保険料を継続的に支払うことはできない」と伝えたら、募集人から、「第2回保険料(年払い)まで支払えば解約しても損をしない」と言われ、契約に至った。しかし、その説明は事実に反するもので、第2回保険料を支払った後でも解約返戻金は払込保険料の総額を超えることはなかった。

(3)平成18年9月、10月に医療保険(申し立て契約⑥、⑦)と傷害保険(同⑧)に加入したが、告知書の記入に際して、募集人から既往症等につき不実告知の教唆を受けた。

…この事案は既に和解が成立しています。

これはあくまで結果論に過ぎず、なおかつ個人的な意見ですが、

保険は保障を得るための契約であり、資金の一時的な移動先として活用するものではないので、資金の一時的な移動先を求めていたと主張する申立人に、8件の保険契約が必要だったとは思えず、適合性の原則という点から見て、問題があるといわれてもやむをえない事案である。

と考えています。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(ボイスリポートNo.23・P13~15より転載)。

[事案22-25] 契約無効・既払込保険料返還請求
・平成23年5月31日 和解成立

<事案の概要>
 不適切な募集により短期間に8件の保険に加入させらたとして、全ての契約を無効にして既払込保険料を返還してほしい。

<申立人の主張>
 平成18年6月から10月までに契約した8件の契約は、以下のとおり、募集人による不適切な募集行為によるものであるから、8件全ての契約を無効とし、既払込保険料全額(実際には受領済みの解約返戻金等を控除した差額)を返還してほしい。

(1)平成18年6月ごろ、紹介者である知人同席のもとで募集人と初めて面談した際、「離婚調停を目前にしており、手元の資産を一時的に移動しておきたい。当該資金は自宅の建築資金に充てるため、短期間、絶対に損をしない商品を購入したい」と伝えたところ、募集人から、「顧客に損をさせたことはない、任せてほしい…」と言われ、6月と8月に変額個人年金保険(申し立て契約①、②)に加入した。しかし、実際には元本保証のない、受取額が一時払い保険料を下回る可能性のある商品であった。

(2)他社で加入していた子供保険の代わりになるものとして、平成18年9月に障害保障保険(申し立て契約③)と終身保険(同④)を、10月に終身保険(同⑤)にそれぞれ加入したが、年間保険料合計額は200万円に上るため、募集人に対し、「このような高額の保険料を継続的に支払うことはできない」と伝えたら、募集人から、「第2回保険料(年払い)まで支払えば解約しても損をしない」と言われ、契約に至った。しかし、その説明は事実に反するもので、第2回保険料を支払った後でも解約返戻金は払込保険料の総額を超えることはなかった。

(3)平成18年9月、10月に医療保険(申し立て契約⑥、⑦)と傷害保険(同⑧)に加入したが、告知書の記入に際して、募集人から既往症等につき不実告知の教唆を受けた。

<保険会社の主張>
 募集人に対する募集時の経緯等の調査を行った結果、下記のとおり、申立人の主張するような事実はなく、申立人の要求に応ずることは出来ない。

(1)変額個人年金(申立契約①、②)については、申立人の自宅において、「ご契約のしおり・約款」、及び「特別勘定のしおり」を申立人に手交し契約内容を説明し、申込書による申込を受けている。これらの手交書類には、運用実績による積立金額等の変動、最低保証がないこと、受取額が一時払保険料を下回る可能性がある旨明記され、適切に説明している。また、重要事項について説明を受け内容を理解したことを確認する趣旨で、申込書に確認印の押捺を受けている。

(2)障害保障保険(申立契約③)と終身保険(同④、⑤)については、申立人の自宅において、「ご契約のしおり・約款」を申立人に手交し、契約内容を説明し、申込書、告知書により申込みを受けている。「ご契約のしおり・約款」には、途中で解約した場合の返戻金は、多くの場合には払込保険料の合計額よりも少ない金額になることが明記され、適切に説明している。

(3)医療保険(申立契約⑥、⑦)と傷害保険(同⑧)については、申立人の自宅において、「ご契約のしおり・約款」を申立人に手交し、契約内容を説明したうえで、申込書、告知書により申込みを受けている。これらの書類には、告知について、契約者や被保険者には健康状態などについて正しい告知をする義務があること、告知書は被保険者自身で正確に記入のうえ署名をする必要があることが、数箇所に明記され、適切に説明している。

<裁定の概要>
 裁定審査会では、申立人の主張は、法的には、申立契約①から⑤については、要素の錯誤による無効(民法95条)、詐欺による取消(同法96条1項)の主張と解し(なお、不実告知教唆が申立契約⑥から⑧の無効もしくは取消の理由になる根拠は明らかではない)、申立書、答弁書等の書面および申立人、募集人からの事情聴取の内容にもとづき審理した。

 審理の結果、下記の諸事情を総合考慮した結果、生命保険相談所規程第41条第1項により、審査会としての和解案の受諾を当事者双方に勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。

(1)申立人側の事情
 (a)申立人は、申立契約①から⑤までの契約について、申込書に自署捺印しており、パンフレットに基づく説明はなされていることが認められ、申立人は当時30歳代であり、十分な判断能力も具わっていたと考えられるので、募集人から勧められるままに、上記書類に自署捺印した事に相当程度の過失があったことは否定できない。

 (b)申立人は、変額個人年金保険(申立契約①、②)については、平成18年12月と同19 年2月に自ら減額請求手続きをとり、減額還付金を受け取っており、契約の有効性を前提とする行為と評価される。

 (c)医療保険(申立契約⑥、⑦)と傷害保険(同⑧)について、申立人は、募集人による不実告知教唆がなされたと主張するが、告知を正確になさなければならないことは当然のことであり、告知書にも明記されている。告知義務違反が保険会社側からの解除事由となることはあっても、保険契約者からの保険契約の無効事由や契約の取消事由となったりすることはない。

(2)募集行為における問題点
 本件では、募集人の勧誘行為につき、以下のような問題点が存在する。

 (a)事情聴取において、募集人は、初めて申立人と面談した際、「離婚調停を目前にしており、手元の資産を一時的に移動しておきたい、当該資金は自宅の建築資金に充てる」という話は聞いていないと述べるが、そのような状況にあった申立人が、それを話さないということは考えにくい。この点につき、募集人は、事情聴取において、申立
契約①か②の契約の際に申立の事情の話は聞いているが、それ以外の話は聞いていない、と述べるが、申立人が、プライバシーに関わる事情の話だけを募集人に話すということは不自然と言うほかない。

 (b)事情聴取において、契約の締結場所につき、申立人は、原資を預けてあった銀行内もしくは駐車場の車の中であると述べ、募集人は喫茶店であると述べ、対立しているが、いずれにせよ、そのような場所では保険の内容について十分な説明がなされなかった可能性は否定できない。

 (c)申立契約③から⑤については、年間保険料が合計200万円を超えており、実際、保険料は2回分が支払われたのみで、契約は失効している。募集人は、事情聴取において、「申立人が当時、事業主であり年収は平均1000~2000万円あり、自分の計算では、保険料はその1割にも満たないと判断した」と述べるが、このような推測のみに基づく不十分な根拠に基づき、高額な保険料の支払いを続けていくことができると判断したことは、募集人としては不適切な行為と言われても止むを得ない。

 (d)相手方会社によれば、不適切な募集があったことを裏付ける客観的な証拠がなく、不適切な募集の事実は確認できなかったというが、不適切募集に客観的な証拠がないことは普通の事態であり、募集人の取り扱った契約について申立人の申出に類似した不適切募集の疑いが報告された事実があったこそ問題であると言わざるを得ない。


以上です。

画像
↑、水田脇の側溝で翅を休めつつテリトリーを見張るシオカラトンボの♂です(5月下旬に撮影)。

人気ランキングは、8月31日18:30現在で5位…横ばい状態です。皆様のワンクリックをお待ちしております。
人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ

マネポケランキングは、現在8位…横ばい状態です。皆様のワンクリックをお待ちしております。
マネポケ金融投資ブログランキング!
マネポケ金融投資ブログランキングへ

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
かわいい

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック