転換契約を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成25年4~6月の裁定概要集(PDF)に、転換契約を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によると、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 各転換契約は、錯誤により無効であるとして、転換を取消し、既払込保険料の返還および逸失利益の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 保険会社との間で、平成4年11月、従来の契約を転換して契約Aを締結し、平成9年11月、契約Aを契約1に転換し、さらに平成14年5月、契約1と平成6年4月契約の契約Bを転換して契約2を締結し、さらに平成16年3月、契約2を減額し、その後平成21年5月、契約2を契約3に転換したが、下記の理由により、全ての転換を取り消して、既払込保険料の返還と、逸失利益の支払いを求める。

(1)契約Bは、予定利率が高く解約返戻金も多額であるのに、この事実を示さず、予定利率の低い契約へ転換させられた。(主張①)

(2)各転換に際し、被転換契約の転換価格を転換後契約に充当することにより保険料が低くなるにもかかわらず、充当しない本来の保険料を説明しないことにより、あたかも低い保険料であると誤診させて保険契約を締結した。(主張②)

(3)契約2の転換に際し、保険会社は設計書の転換比較表に契約Bを記載せず、客観的な比較を困難にして、錯誤に陥らせて契約をさせた。(主張③)

(4)契約2締結直後に、同契約の減額を請求したが、保険会社は「2年間は減額できない」と虚偽の事実を告げ、減額時期を遅らせた。(主張④)

(5)契約3への転換に際し、「軽量化したい」との意図に沿うような契約2の減額という方法が存在することを説明しなかった。(主張⑤)

…この事案は既に裁定が終了しています。

最初に契約した保険種類や転換した保険種類が明記されていませんが、申立人の主張から推測すると転換を繰り返したのは「定期保険特約付き終身保険」ではないかと思われます。

平成4年、9年、14年、21年に転換ですか…16年に減額を一旦はさんでいますが、よくこんなに転換させましたね(呆)。

おそらく、最初の転換(平成4年)を除いて、後の転換は、各特約の更新を迎える前に転換しているものと思われます。

個人的には、10年も経たずに転換を繰り返す必要性があったとはどうしても思えません。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(平成25年第1四半期受付分裁定概要集・P4~7より転載)。

<事案の概要>
 各転換契約は、錯誤により無効であるとして、転換を取消し、既払込保険料の返還および逸失利益の支払いを求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 保険会社との間で、平成4年11月、従来の契約を転換して契約Aを締結し、平成9年11月、契約Aを契約1に転換し、さらに平成14年5月、契約1と平成6年4月契約の契約Bを転換して契約2を締結し、さらに平成16年3月、契約2を減額し、その後平成21年5月、契約2を契約3に転換したが、下記の理由により、全ての転換を取り消して、既払込保険料の返還と、逸失利益の支払いを求める。

(1)契約Bは、予定利率が高く解約返戻金も多額であるのに、この事実を示さず、予定利率の低い契約へ転換させられた。(主張①)

(2)各転換に際し、被転換契約の転換価格を転換後契約に充当することにより保険料が低くなるにもかかわらず、充当しない本来の保険料を説明しないことにより、あたかも低い保険料であると誤診させて保険契約を締結した。(主張②)

(3)契約2の転換に際し、保険会社は設計書の転換比較表に契約Bを記載せず、客観的な比較を困難にして、錯誤に陥らせて契約をさせた。(主張③)

(4)契約2締結直後に、同契約の減額を請求したが、保険会社は「2年間は減額できない」と虚偽の事実を告げ、減額時期を遅らせた。(主張④)

(5)契約3への転換に際し、「軽量化したい」との意図に沿うような契約2の減額という方法が存在することを説明しなかった。(主張⑤)

<保険会社の主張>
 下記の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)当社は、申立人に対し、「ご契約のしおり-定款・約款」「特に重要なお知らせ」等を交付して、予定利率の点も含めて顧客が留意すべき点を説明している。

(2)申立人は、提案書を受領し、各被転換契約と契約1から契約3の保障内容等につき比較検討し、その保障内容を理解したうえで転換している。

(3)したがって、申立人には、契約1から契約3の要素に錯誤はなく、契約1から契約3への各転換手続を取消すことはできない。

<裁定の概要>
 裁定審査会では、当事者から提出された申立書、答弁書等の書面および申立人、募集人の事情聴取の内容にもとづき審理した結果、下記のとおり、申立内容は認められないことから、指定(外国)生命保険業務紛争解決機関「業務規程」第37条にもとづき、裁定書にその理由を明記し、裁定手続を終了した。

1.申立人の主張の法的整理
 (1)申立人は、本契約には要素の錯誤があるので無効であるとして、全ての契約の無効および既払込保険料全額の返還を求めているが、契約Aおよび契約Bについては無効原因に相当する事実の主張がないので、この点については判断しない。

 (2)申立人の主張は、募集人の説明義務違反が原因で、申立人が当該契約を適切な保険であると誤信し、その結果不必要な保険料の支払いをせざるを得なくなったとして、当該保険料の全額およびこれを支払わなければ得られた利益を逸失利益として、不法行為に基づく損害賠償を請求するものと解し、判断する。

2.錯誤無効の主張について
 (1)契約が錯誤により無効(民法95条本文)となるのは、表意者(契約者)において、契約の要素(当該契約者のみならず、一般人においても法律行為をなす意思決定をするにつき重大な事実)について錯誤がある場合である。

 (2)主張①について
 保険会社は資産運用による一定の収益をあらかじめ見込んで、その分だけ保険料を割り引いているが、その割引率を予定利率といい、預金利息のように、責任準備金の運用利率を定めるものではないことから、予定利率が高いからといって、解約返戻金が多額になるわけではないため、この点の錯誤の主張は合理性を欠く。

 (3)主張②について
 申立人は事情聴取において、従来の積立金が転換後契約の保険料に充当されることは知っていたと述べていることから、充当前の保険料がいくらであるかという点は別として、転換後契約の保険料が充当後の保険料より高額であることは知っていたので、この点の錯誤を認めることはできない。

 (4)主張③について
 錯誤の具体的な内容が不明であることから、錯誤の存在を認定することはできないが、仮に錯誤に陥っていたとしても、転換時点において申立人が被転換契約の内容を確認することは容易であることから、錯誤につき重大な過失があるというべきであり、申立人から無効を主張することはできない。

 (5)主張④について
 募集人の発言が、申立人の誤信を誘発したという事実を認定する証拠はなく、また、申立人の指摘するとおり、転換の際に交付された設計書には「一年後には減額できます」との手書きの記載があり、これは誤った説明と理解できるものの、1年間は減額できないという事実の認識は、契約を否定する方向では錯誤を惹起するものであるが、契約を肯定する方向では何らの影響も与えないことから、誤った説明があったとしても、これにより契約意思形成についての錯誤が存在したと認めることはできない。

 (6)主張⑤について
 申立人は契約3の前に、契約2を減額していることから、錯誤があったとは言えず、申立人は2度は減額できないと思ったと事情聴取において述べているが、募集人にこのような事実を確認していないため、仮に錯誤があったとしても、動機の錯誤に留まることから、動機が表示されていると認める証拠がなければ、無効とはならない。

3.説明義務違反について
 (1)保険会社は、契約をしようとする消費者に対し、契約意思を形成する上において一般的に重要である事項について説明をする責任を負い、また、契約後であっても、権利関係を変動する場合には当該変動の意思形成に重要な事項について説明をする責任を負い、これを説明責任というが、その重要度等によっては文書をもって説明をすれば良く、説明義務の内容は、当該行為の当時の一般水準や社会的要求により判断する。

 (2)主張①について
 転換にあたって予定利率が変更される場合には、それに応じて保険料に影響がある旨を説明せねばならず、この事実は、文書をもってその可能性を説明すれば良く、本件では、転換契約時に交付される書面に記載があり、同書面は契約時にセットで交付されるのが通常であることから、本件でも交付されているものと推定され、仮に口頭で説明がなくとも、説明義務違反とまでは言えない。

 (3)主張②について
 被転換契約の転換価格について、保険会社は、契約前にご提案書などにより説明したと主張しており、申立人も事情聴取において、保険会社の提出した証拠のうち受領していない資料はない旨回答していることから、これを受領しなかったとは認められない。また、前記のとおり申立人は転換により積立金が新しい保険に移行し、保険料がその分安くなることは知っていたことから、転換により転換価格がどのようになるのかは説明されていたものと推測されるため、説明義務違反とはならない。

 (4)主張③について
 申立人から提出された提案書自体には、被転換契約の一つである契約Bが記載されていないが、これは、同提案書の様式が被転換契約を記載する欄が一つだけであったことによるものと推測される。しかし一般に、転換に際しては被転換契約との対比をするのが通常であることから、契約Bの内容を記載した書面も同時に示した可能性もあり、この文書の記載のみをもって契約Bの説明がなされなかったとまで推定することはできない。従って、契約Bの内容を説明しなかったと認めるべき他の証拠がない以上、本文書の記載のみで説明義務違反の事実を認定することはできない。

 (5)主張④について
 設計書の「一年後」との記載には確かに誤りがあるが、この誤った説明によって契約が締結されたわけではない以上、説明の誤りと契約との間には因果関係が存在せず、従って、説明義務違反を問題とすることは、法的には意味がない。また、本件で、1年以内に減額請求意思が存在した客観的な証拠はないことから、この誤説明によって、損害が発生したとして不法行為の成立を認めることはできない。

 (6)主張⑤について
 申立人は契約3に転換する5年前にも契約2の減額手続をしていることから、保険料軽減のために減額の方法を当然に知っていたものであり、募集人が転換に際して、減額の方法を提示しなかったとしても、説明義務違反とはならない。

 (7)その他
 申立人は、事情聴取において、本件各転換において不満な点として、特約部分は掛捨てであるとは知らなかった、この点を説明してもらえなかった、と主張しているが、この点を確認して説明するまでの義務はない。

 (8)損害について
 申立人は、説明義務違反を根拠として損害賠償を請求していることから、具体的な損害の発生を証明しなければならないが、申立人は、各被転換契約について特に不満はなかったと述べていることから、仮に申立人の主張するような説明があったとしても、当該転換をしなかった高度の蓋然性が存在すると推認することは困難であり、保険会社に損害賠償責任を認める根拠となる事実を認定することはできず、申立人の主張は認めることはできない。


以上です。

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↑、うっかり踏んづけた蟻の行列から攻撃されるスジクワガタのオス(5月撮影)。

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