学資保険の契約形態を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成25年度10~12月の裁定概要集(PDF)に、学資保険の契約形態(満期学資金の受取人)を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 満期金の受取人が贈与税の対象となることの説明を受けていないとして、説明義務違反を理由に、支払った税理士報酬の賠償等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 平成15年1月に契約した学資保険(契約者:申立人、被保険者・学資金受取人:長男)が、平成23年1月に満期を迎え、自分名義の銀行口座に振込む方法で満期学資金1000万円を受け取ったが、税務署から、受取人である長男に対する学資金の贈与にあたると指摘された。贈与税(231万円)等の納付を求められ、税理士に依頼して交渉した結果、課税処分は免れたが、以下の理由により、支払った税理士報酬や、慰謝料等の損害賠償を求める。

(1)契約時、募集人に、学資金の受取人を長男にすると贈与税が課せられないかと質問したが、募集人は課税されないとの誤説明をした。

(2)仮に、募集人が誤説明をした事実がなかったとしても、募集人には、学資金の受取人を長男にすると贈与税が課されることを説明する義務があった。募集人から贈与税が課されることを聞いていれば、学資金受取人は契約者の自分にしていた。

…この事案はすでに和解が成立しています。

申立人は課税処分を免れましたが、仮に贈与税を支払った場合、使用できる満期学資金は769万円となり、払込保険料の累計額(約945万円)を下回ってしまい、せっかくの学資保険が役に立たない保険契約となるところでした。

なぜ募集人はそのような契約形態にしたのでしょうか?

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(平成25年度10~12月受付分裁定概要集・P13~14より転載)。

[事案25-19] 損害賠償請求
・平成25年11月11日 和解成立

<事案の概要>
 満期金の受取人が贈与税の対象となることの説明を受けていないとして、説明義務違反を理由に、支払った税理士報酬の賠償等を求めて申立てのあったもの。

<申立人の主張>
 平成15年1月に契約した学資保険(契約者:申立人、被保険者・学資金受取人:長男)が、平成23年1月に満期を迎え、自分名義の銀行口座に振込む方法で満期学資金1000万円を受け取ったが、税務署から、受取人である長男に対する学資金の贈与にあたると指摘された。贈与税(231万円)等の納付を求められ、税理士に依頼して交渉した結果、課税処分は免れたが、以下の理由により、支払った税理士報酬や、慰謝料等の損害賠償を求める。

(1)契約時、募集人に、学資金の受取人を長男にすると贈与税が課せられないかと質問したが、募集人は課税されないとの誤説明をした。

(2)仮に、募集人が誤説明をした事実がなかったとしても、募集人には、学資金の受取人を長男にすると贈与税が課されることを説明する義務があった。募集人から贈与税が課されることを聞いていれば、学資金受取人は契約者の自分にしていた。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)保険会社が顧客に対して説明義務を負うのは、保険契約の固有の内容であり、顧客が特に説明を求めたような場合は別として、課税の取扱いは保険契約の固有の内容には該当しないので、積極的に説明する義務はない。

(2)契約時、申立人夫婦より、課税についての質問を受けて、募集人が誤説明をした事実はない。

<裁定の概要>
 裁定審査会では、当事者から提出された申立書、答弁書等の書面および申立人夫婦、募集人の事情聴取の内容にもとづき審理を行った。審理の結果、以下のとおり、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、指定(外国)生命保険業務紛争解決機関「業務規程」第34条1項にもとづき、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。

1. 満期学資金に対する課税上の取扱い(整理)
 契約者と学資金受取人が同一の場合、満期学資金は一時所得として所得税の対象となるが、本件において、申立人が学資金受取人で、一時所得が学資金のみであったと仮定すると、受取学資金と払込保険料の差益(54万8,800円)のうち50万円を超えた分の2分1(2万4,400円)が所得税の課税対象額となる。これに対し、本件のように契約者と学資金受取人が異なる場合には贈与税が課税され、本件の贈与税額は231万円であったので、納税後に学資金として使用できる金額は769万円となり、払込保険料(約945万円)を大きく下回ることになる。

2.説明義務違反について
 (1)募集人が誤説明をしたか否かについては、申立人夫婦と募集人の言い分は全く異なり、募集人が誤った説明を行ったとまでは認められない。

 (2)募集人の誤説明がなかったとしても、募集人は、積極的に贈与税が課されることを説明すべきであったかについては、保険会社は、顧客に対し、信義則上説明義務を負うものとされているが、説明義務を負う対象は、保険契約者が合理的な判断を行うために必要な事項であり、一般に、合理的判断を行うのに必要な事項は、当該保険契約の内容であって、節税も目的とするような保険は別として、課税上の取扱いは保険契約の内容とはいえないとされており、基本的には契約者において確認すべき事項であり、保険会社が積極的に説明する義務はないといえる。

 したがって、募集人が、贈与税が課されることについて積極的に説明しなかったことが説明義務違反とまでは認められないので、申立人の主張は認められない。

3.和解について
 当審査会の判断は以上のとおりだが、以下の理由により、本件は、和解により解決すべきと判断する。

 (1)本契約は、契約者死亡時等の保険料払込免除以外には保障機能が無い学資保険で、払込保険料に対する保障受取金額の割合は100%以上で、返戻率の高さを特徴としており、保険会社も、本契約の特徴を「貯蓄性を重視したプラン~教育資金を効率的に準備できる」と紹介している。このような貯蓄型学資保険で、課税後に使用できる金額が払込保険料を大きく下回る契約形態を選択する契約者は通常いないと考えられ、契約者がそうした契約形態を選択した場合には、保険需要に適合した契約形態を助言または説明することが望まれる。

 募集人は、契約時、本件の契約形態にすると贈与税が課されるが、受取人を契約者にすると一時所得となり実質税金は課されないことについて認識があり、貯蓄型学資保険を希望する申立人の保険需要に著しく適合しない結果になることを理解していたものと考えられ、申立人に適合する契約形態を助言または説明すべきであったといえる。

 (2)申立人は、学資金受取人を長男にしたことに伴い、税務署との交渉を専門家である税理士に依頼せざるを得なかった事情がある。


以上です。

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