保険業法の一部改正が、参議院本会議で成立。

5月24日の日本経済新聞・朝刊に、金融庁が国会に提出していた、保険業法の一部改正案についての記事がありました。

記事によりますと、

< 保険募集の基本ルールを創設する改正保険業法が23日の参院本会議で成立した。生命保険などを募集する際、顧客の意向を把握するとともに、加入するかどうかの判断に役立つ情報の提供を義務付ける。保険会社や代理店の説明義務を重くして、適正な保険販売につなげる狙いがある。>

とのことです。

【管理人の感想】
保険業法の一部改正により創設される保険募集の基本ルールですが、金融庁HP内の「保険業法等の一部を改正する法律案要綱」(PDF)で、分かりやすくまとめられていましたので転載します。

◇保険募集および保険販売に関する規制の導入

(1)保険会社又は保険募集人等は、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合を除き、保険契約の締結等に関し保険契約者等の保護に資するため、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならないこととする。(保険業法第294条関係)

(2)保険会社又は保険募集人等は、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合を除き、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案等を行わなければならないこととする。(保険業法第294条の2関係)


つまり、「情報提供義務」と「意向把握義務」が導入されるわけです。

どこまで情報を提供すれば、「参考となるべき情報の提供」に該当するのか?このことについての調整はこれからではないかと思われますが、個人的には

医療保険やがん保険のお奨めランキング等で目にする、「入院給付金日額」「診断給付金額」「手術給付金額」「保険料」に基づく比較情報は、「参考となるべき情報の提供」には該当しない

と考えています。

また、意向把握義務の具体的な内容については、昨年6月に保険商品・サービスの提供等のあり方に関するワーキング・グループが取りまとめた、「新しい保険商品・サービスおよび募集ルールのあり方について」(PDF)にある、

2-2-1.意向把握義務
 保険については、顧客が抱えているリスクは多種多様であり、また、備えるべきリスクの中でどの部分を保険によってカバーするのか(保険のニーズ)も顧客によって異なっている。そのため、保険募集に当たっては、募集人が顧客の抱えているリスクやそれを踏まえた保険のニーズを的確に把握※1した上で当該ニーズに沿った商品を提案・分かりやすく説明することを通じ、顧客が、自らの抱えているリスクやそれを踏まえた保険のニーズに当該商品が対応しているかどうかを判断して保険契約を締結することの確保が重要である。

※1.顧客のニーズの把握については、保険募集人と顧客のやり取りの中で、顧客が、ニーズを追加的に認識するに至った場合も含む。

 この点に関して、現在は、保険会社の体制整備義務に基づいて意向確認書面の使用が定められており、顧客自身が契約締結前の段階で、推奨された保険商品と自らのニーズが合致しているかについて、最終確認の機会が設けられている。しかし、昨今、当該手続については導入時に求められた効果が必ずしも十分には発揮されていない、との指摘がある。

 以上のような点を踏まえれば、顧客が自らの抱えているリスクを認識し、その中でどのようなリスクを保険でカバーするのかを認識した上で保険に加入できる環境を更に整備するため、「保険会社又は保険募集人は、保険募集に際して、顧客の意向を把握し、当該意向に沿った商品を提案し、当該商品について当該意向とどのように対応しているかも含めて分かりやすく説明することにより、顧客自身が自らの意向に沿っているものであることを認識した上で保険加入できるようにする必要がある。」との趣旨の義務規定を法律上設けることが適当である。

 その際、顧客の意向把握の具体的手法について画一的なものを強制することとした場合には、多様化している募集形態すべてに適合する手法を設定することの困難さから、結果として意向把握が形式化するおそれがあることや保険会社・保険募集人及び顧客の双方に対して過度の負担を課すおそれがあることを踏まえれば、顧客ニーズを把握するための具体的な手法については、商品形態や募集形態に応じて、保険会社・保険募集人の創意工夫に委ねることとし、法律上は、上記の考え方を一般的義務規定(プリンシプル)として規定することが適当である。

 一方、当該プリンシプルを満たすための具体的な方法については、取り扱う商品や募集形態を踏まえて選択されるべきこととなるが、達成すべき目標水準を統一する観点から、「全商品・募集形態を通じて満たすべき水準」を監督指針において示すことが適当である。当該水準としては、(1)又は(2)で示される水準を満たすことを求めることが適当である※2。

※2.商品の特性や募集形態によっては、必ずしも本文(1)(2)に該当しない場合も排除されないと考えられるが、その場合にも本文(1)(2)と同程度に、「顧客の意向の把握、当該意向に沿った商品提案・説明、顧客自身による自らの意向と保険商品の理解・照合」が確保される必要があると考えられる。

いずれの水準による場合であっても、顧客の最終的な意向と提案した個別プランが合致しているかの確認は、併せて行う必要がある。

 (1)保険金額や保険料を含めた当該顧客向けの個別プランを説明する前※3に、当該顧客の意向を把握する。その上で、当該意向に基づいた個別プランを提案し、当該商品について当該意向とどのように対応しているかも含めて説明する。その後、契約締結前の段階において顧客の最終的な意向を確認し、個別プランを提案・説明する前に把握した顧客の意向と最終的な意向を比較し、両者が相違している場合には、その相違点を確認する。

 (2)保険金額や保険料を含めた個別プランを提案する都度、保険募集人がどのような意向を推定して当該プランを設計したかの説明を行い、当該プランについて当該意向とどのように対応しているかも含めて説明する。その後、契約締結前の段階において、顧客の最終的な意向と募集人が推定してきた顧客の意向を比較し、両者が相違していないことを確認する。

 さらに、実務における対応方針を明確化する観点から、主な募集形態について、当該「プリンシプルを満たすための具体的な方法」として意向確認も含めたプロセスの例示を監督指針において、併せて設けることが適当である※4。

 最後に、上記のような意向把握義務が導入されることにより、募集プロセス全体における顧客の意向把握の実効性が高まることから、意向確認書面については、例えば、申込書との一体化を行うこと等により募集プロセス全体の書面の分量を減らし、①顧客の意向、②当該意向に対応した商品提案理由を記載し※5、③当該商品が顧客の意向に沿ったものであることの確認をすることで足りるとするなど、募集プロセス全体における文書の簡素化や分かりやすさの向上の観点から、各社の創意工夫を求めることが適当である。

※3.パンフレット等を使用した一般的な商品説明を意向把握の前に行うことは、顧客の意向を明確にする観点から、問題ないと考えられる。

※4.具体的には、以下の方法が考えられる。

①顧客の意向を把握して提案・説明する場合
 保険金額や保険料を含めた当該顧客向けの個別プランを作成・提示するまでの募集プロセスのある一時点で、顧客の意向をアンケートのようなもので把握し*、その上で、当該意向に沿って個別プランを作成し、顧客の意向との対応関係も含めて明示的に説明する。その後、契約締結前の段階で明示的に確認した顧客の最終的な意向と個別プランが合致しているかを確認するとともに、最終的な意向と事前に把握した意向が相違している場合には、その経緯および個別プランにおける対応箇所について明示的に記載した上で説明する。

*商品説明の際に、当該説明に用いたパンフレットの項目に顧客にチェックをつけてもらう、あるいは、顧客の面前において保険募集人がチェックをつけて顧客の確認を求めるなどの方法によることも可能。

②顧客の意向を推定して提案・説明する場合。
 当該顧客に対して、保険金額や保険料を含めた個別プランの作成・提案を行う都度、設計書等の顧客に交付する書類の目立つ場所に、保険募集人が推定している当該顧客の意向と当該提案内容の関係性について、わかりやすく記載・説明する。その後、契約締結前の段階で顧客の最終的な意向と保険募集人が推定してきた意向が合致しているかを確認し、その上で、最終的な意向と個別プランが合致しているかを確認する。

※5.例えば、顧客の意向と提案した商品の対応状況等について記載することが考えられる。

―となるではないかと思われます(あくまで個人的な推測です)。

これにより、取扱保険会社が多い乗合代理店や保険ショップは、買い物ついでに気軽に比較・選択というわけにはいかなくなりますね。

【記事の内容】
以下、記事の内容です。

―日本経済新聞 2014年5月24日朝刊―

【保険販売、説明手厚く―改正法成立、顧客の意向把握を義務付け】

 保険募集の基本ルールを創設する改正保険業法が23日の参院本会議で成立した。生命保険などを募集する際、顧客の意向を把握するとともに、加入するかどうかの判断に役立つ情報の提供を義務付ける。保険会社や代理店の説明義務を重くして、適正な保険販売につなげる狙いがある。

 金融庁は基本ルールを2015年春をめどにまとめる。営業員の研修など保険会社や代理店で準備が必要になるため改正法の施行は16年春の見通しだ。

 顧客の意向把握が義務付けられると、保険加入を検討している人の職業や家族構成などを聞き、最適な保険を提案する手順を踏む。意向を聞かずに特定の保険を勧誘するのは禁じられる見込みだ。

 情報提供は保険の特徴や支払い条件などの説明が必要になる。死亡保険に付く特約などは仕組みが複雑で分かりにくいものも多い。顧客が判断しやすいよう、きめ細かな説明を求める。

 保険募集の現行規制は、虚偽説明など不適切な行為を禁じているだけで他の金融商品に比べると緩やかだった。

―保険業法等の一部を改正する法律案要綱―(金融庁HPより転載)

 保険募集の形態の多様化が進展している状況等を踏まえ、保険募集に係る規制をその実態に即したものとするため、保険募集人の体制整備義務を創設する等の措置を講ずることとする。

一 保険業法の一部改正(第1条関係)
 1.運用報告書の電磁的な提供方法の多様化

 保険会社は、運用実績連動型保険契約に基づいて運用する財産について作成する運用報告書について、書面による交付に代えて電子情報処理組織を使用する方法等により提供することができることとする。(保険業法第100条の5第2項関係)

 2.保険会社の子会社に関する業務範囲規制の特例
 子会社に関する業務範囲規制を適用しない場合として、子会社対象会社以外の外国の会社を子会社としている外国の銀行等を保険会社が子会社とする場合を加える。ただし、当該保険会社は、当該子会社対象会社以外の外国の会社が子会社となった日から5年を経過する日までに当該子会社対象会社以外の外国の会社が子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならないこととする。(保険業法第106条第4項~第6項関係)

 3.保険契約の移転に係る通知の特例
 保険契約の移転を行う場合であって、移転対象契約者等の保護に欠けるおそれがないときには、保険契約の移転に係る事前通知及び保険契約の移転後3月以内に行う通知について、当該通知をすることを要しないこととする。(保険業法第137条第1項、第140条第2項関係)

 4.保険募集及び保険販売に関する規制の導入
 (1)保険会社又は保険募集人等は、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合を除き、保険契約の締結等に関し保険契約者等の保護に資するため、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を行わなければならないこととする。(保険業法第294条関係)

 (2)保険会社又は保険募集人等は、保険契約者等の保護に欠けるおそれがない場合を除き、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案等を行わなければならないこととする。(保険業法第294条の2関係)

 5.保険募集人等への体制整備義務等の導入
 (1)保険募集人等は、重要事項説明、顧客情報の適正な取扱い、委託先管理を含めた業務の適切な運営を確保するための体制整備を講じなければならないこととする。(保険業法第294条の3関係)

 (2)規模が大きい特定保険募集人は、その業務に関する帳簿書類を作成、保存するとともに、また、毎事業年度経過後3月以内に事業報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。(保険業法第303条、第304条関係)

 (3)内閣総理大臣は、この法律の施行に特に必要な限度において、特定保険募集人等から業務の委託を受けた者等に対し、その業務又は財産に関し参考となるべき報告又は資料の提出を命じることができることとするほか、職員にその施設に立ち入らせ、質問させ、又は物件を検査させることができることとする。(保険業法第305条関係)

 6.保険仲立人の規制緩和
 保険仲立人等が、保険期間が長期にわたる保険契約の締結の媒介を行おうとする場合に必要な内閣総理大臣の認可を不要とすることとする。(保険業法附則第119条関係)

 7.その他
 その他所要の規定の整備を行うこととする。

二 保険業法等の一部を改正する法律の一部改正(第2条関係)
 認可特定保険業者に対する保険業法の準用等について、所要の規定の整備を行うこととする。(保険業法等の一部を改正する法律附則第2条第12項、第3条第1項、第4条第11項、第4条の2、第5条第3項関係)

三 保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律の一部改正(第3条関係)
 特定保険業者による保険契約の移転等について、所要の規定の整備を行うこととする。(保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律附則第2条第1項・第3項関係)

四 その他
 1.施行期日

 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。ただし、次に掲げるものは、それぞれ定める日とすることとする。

 ① 保険仲立人の規制緩和等に係る規定 公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日

 ② 運用報告書の電磁的な提供方法の多様化に係る規定、保険会社の子会社に関する業務範囲規制の特例に係る規定及び保険契約の移転に係る通知の特例に係る規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日(附則第1条関係)

 2.その他所要の経過措置等を定めることとする。


以上です。

画像
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