手術給付金の支払を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成26年1~3月の裁定概要集(PDF)に、手術給付金の支払を巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 募集人より、「先進医療方式でも手術代全額の給付金が支払われる」との誤説明を受けたことを理由に、手術代全額の支払いを求めて申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成25年7月、白内障の治療のために、健康保険対象外である多焦点眼内レンズを用いて、右水晶体再建術、左水晶体再建術を受けた(手術費96万円)。そこで、平成19年8月に契約した医療保険にもとづいて給付金を請求したが、手術代全額は支払われず、55万円のみ支払われた。

 以下の理由により、手術代全額の給付金を支払ってほしい。

(1)手術前に、募集人に確認したところ、多焦点眼内レンズを用いた手術でも、手術代全額が支払われると言われた。

(2)手術費全額が給付対象でないと分かっていれば、高額な手術は選択しなかった。

…この事案はすでに和解が成立しています。

募集人の誤った説明が原因で、40万円以上の自己負担を余儀なくされれば、不服を申し立てるのは当然かもしれません。

<裁定の概要>を読みますと、募集人は約款に記載されている「先進医療給付金」と「手術給付金」の給付規定を誤解していたようです。

念のために保険会社に確認してから回答すれば、このような事態は避けられたのに…。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(平成26年1~3月受付分裁定概要集・P52~53より転載)。

[事案21-115] 手術給付金請求
・平成26年2月13日 和解成立

<事案の概要>
 募集人より、「先進医療方式でも手術代全額の給付金が支払われる」との誤説明を受けたことを理由に、手術代全額の支払いを求めて申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成25年7月、白内障の治療のために、健康保険対象外である多焦点眼内レンズを用いて、右水晶体再建術、左水晶体再建術を受けた(手術費96万円)。そこで、平成19年8月に契約した医療保険にもとづいて給付金を請求したが、手術代全額は支払われず、55万円のみ支払われた。

 以下の理由により、手術代全額の給付金を支払ってほしい。

(1)手術前に、募集人に確認したところ、多焦点眼内レンズを用いた手術でも、手術代全額が支払われると言われた。

(2)手術費全額が給付対象でないと分かっていれば、高額な手術は選択しなかった。

<保険会社の主張>
 募集人に誤説明があったことは事実であるが、以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。

(1)約款で定められたとおりの給付金支払金額は55万円である。

(2)損害という観点からは、高額手術費支払いの対価として多焦点眼内レンズという手術を受けられているので、損害は発生していないともいえる。

<裁定の概要>
 裁定審査会では、当事者から提出された申立書、答弁書等の書面の内容にもとづき審理を行った。審理の結果、以下のとおり、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、指定(外国)生命保険業務紛争解決機関「業務規程」第34条1項にもとづき、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。

1. 申立人の主張の法的整理
 (1)生命保険契約は附合契約であるため、契約内容は約款によって定められる。このことは、契約者が約款の規定を具体的に認識していたか否かにかかわりはなく、また、後日、募集人が約款の規定を誤解して契約者に回答することがあっても変わらない。本手術に関しては、約款にもとづいて手術給付金と高度先進医療給付金として55万円の給付金が支払われるべきであり、手術代金全額を請求するという申立人の主張はは認められない。

 (2)しかしながら、問題は、募集人が「手術代金96万円の全額が給付される」と誤説明をしたため、申立人が、健康保険適用対象外となる多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術を選択し、本件手術代金96万円と上記給付金合計額55万円との差額である41万円を自己負担せざるを得なくなった点をどう評価するかである。この点は、法律的には、募集人の不法行為(過失による誤説明、民法709条)による保険会社の使用者責任(民法715条1項)にもとづく損害賠償請求として判断できるので、この点につき、以下検討する。

2. 不法行為にもとづく損害賠償責任の成否
 (1)損害賠償責任(使用者責任)は、募集人に、不法行為にもとづく損害賠償責任が成立することが前提となり、そのためには、募集人が故意または過失により、違法に他人に「損害」を発生させたことが要件となる。本件では、募集人の誤説明により、「手術代金の全額96万円が支払われるものと期待したのに、実際には55万円しか支払われなかった」という、期待権が侵害されたものと判断することもできる。

 (2)しかし、単なる「期待権」の侵害のみを理由とする不法行為責任は、当該行為の違法性が強い場合に、検討し得るにとどまると解するのが判例の基本的な見解となっている。本件においては、損害賠償責任を発生させるに至る程度の強い違法性が認められるものではない。

3. 和解について
 当審査会の判断は以上のとおりであるが、以下の事情を考慮すると、本件は和解により解決することが相当であると判断する。

 募集人が、契約者から保険商品の内容についての問い合わせがあった時に、正しい知識にもとづく正しい説明を行わなければならないことは言うまでもない。特に、医療保険においては、どのような手術を受けた場合に、どのような給付金がいくら支払われるかということは最も基本的な事項である。このような基本的な事項について、募集人が誤説明を行ったことは契約者の期待を裏切るものである。本件の場合、募集人の誤説明がなければ、申立人は健康保険適用対象である単焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術を選択したであろうと推認でき、そうすれば41万円もの差額を自己負担する必要はなかった。


以上です。

画像
↑蜘蛛を捕らえて巣穴に運ぶオオモンクロベッコウ(昨年8月撮影)。

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