「乗合代理店に係る規制」が来春から導入?日本経済新聞が報じる。

2月6日の日本経済新聞・朝刊に、「乗合代理店に係る規制」の記事がありました。

記事によりますと、

< 金融庁は複数の保険商品を取り扱う乗合代理店(保険ショップ)に対する販売規制を2016年春に導入する。監督指針などを改正し、販売が特定の商品に偏りすぎていないかや契約者への勧め方が適切だったかを重点検査する。指針に反した行為は行政処分の対象になる。保険ショップが保険会社から受け取る割高な手数料を目的にした販売を是正する狙いだ。>

とのことです。

【管理人の感想】
1.規制は保険ショップ限定にあらず

日本経済新聞が取り上げているのは、平成25年6月7日に、保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループが取りまとめた、「新しい保険商品・サービス及び募集ルールのあり方について」(PDF)のP18~21に記載されている、「乗合代理店に係る規制」ではないかと思われます。

日経は、同規制が来店型の乗合募集代理店(保険ショップ)に限定されるかのように書いていますが、規制が適用されるのは保険ショップだけではありません。

乗合代理店に係る規制とあるように、保険ショップだけではなく、複数の保険会社と代理店契約を締結し、保険商品を取り扱っている保険代理店に適用されます。

2.代理店手数料についての大間違い記事
日経は、規制導入の主な理由として「手数料重視による保険商品推奨の是正」を挙げて、代理店が受け取る手数料の仕組みについて、

< …業界関係者によると、手数料は契約額が多いほど高くなる仕組みで、ある医療保険では販売額が多い代理店には初年度の保険料の60%程度を保険会社が払う。加入者が支払う保険料が年間10万円なら、代理店は6万円を受け取る計算だ。

 一方、販売が少ないと、保険料の10%台まで下がるという。複数の保険を売るよりも特定の保険を集中して販売した方が代理店の収益は上がる仕組みだ。「類似の商品なら手数料の高い保険を売る」との声が複数ある。>


―と解説しています。

まるで契約者が支払う保険料に、代理店手数料が内包されているかのように解説していますが、これは間違えています。

そもそも、代理店手数料は、契約者が支払う保険料に内包されているわけではありません。手数料は保険契約単位の実収保険料に、別に定める料率(手数料率)を乗じて支払われます。

また、手数料率は代理店のランクによって変わります。ランクが上がれば当然料率も上がり、同じ医療保険でもランクが低いときと比べれば、得られる代理店手数料も増えるわけです。

これは保険ショップに限りません。がんばって契約を獲得してきた代理店はランクが上がっていくのですから、手数料がたくさんもらえて当然の話です。

会社員だって、成果を出せば昇進・昇給となるのですから。

【規制の内容】
以下、乗合代理店に係る規制の内容です(新しい保険商品・サービス及び募集ルールのあり方について・P18~21より転載)。

【2-3-2.乗合代理店に係る規制について】
 乗合代理店は、複数の保険会社から委託を受けて保険募集を行っている者であるが、顧客のニーズ等を踏まえて自らが取り扱う複数保険会社の商品の比較推奨販売を行うなど、保険会社からの管理・指導を前提としつつも、それに加えて自らの判断により独自の募集プロセスを構築しているものもある。そのため、当該募集活動の適切性を確保するためには、保険会社による管理・指導のみならず、乗合代理店自身が自身による体制整備を含めてより主体的に努力する必要がある。

 また、乗合代理店の中には、「公平・中立」を標榜して複数の保険会社の商品の中から、顧客のニーズを踏まえて商品を販売するものもある。一方、法令上は、保険会社から独立した立場で募集行為を行う保険仲立人とは異なり、乗合代理店はあくまでも保険会社から委託を受けて保険募集を行う者として位置付けられており、「公平・中立」な立場で募集を行うことが担保されているわけではない。

 このような複数保険会社商品の比較推奨販売について、今後とも拡大する可能性もあることから、顧客がこのような募集形態の法的性質について誤解することを防止するとともに、複数保険会社商品間の比較推奨の質の確保をすることを通じて、当該販売形態における募集活動の適切性を確保する観点から、以下の見直しを行うことが適当である。

 まず、複数保険会社間の商品比較・推奨販売を行う乗合代理店に対しては、当該商品比較・推奨の適正化を図る観点から、情報提供義務等の一環として、

①当該乗合代理店が取り扱う商品のうち、比較可能な商品の全容を明示するとともに、

②特定の商品を提示・推奨する際には、当該推奨理由を分かりやすく説明する*1

 ことを求めることが適当である*2.3.4。

 さらに、乗合代理店の立場等について顧客の誤認を防止する観点から、

①乗合代理店は、法律上は保険会社側の代理店であるという自らの立場について明示することを求めるととも

 に、

②保険会社の代理店としての立場を誤解させるような表示を行うことを禁止する*5

 ことが適当である。

 なお、保険募集人一般に対する体制整備義務は乗合代理店に対しても適用されることから、例えば、比較販売を行う乗合代理店については、個別の商品説明を適切に行うことに加えて、適切な商品比較・推奨を行うことについても体制を整備するなど、乗合代理店はそれぞれの規模や業務特性に応じた体制を整備することが求められる*6。

*1.自らの取扱商品の中から顧客のニーズに合致している商品のうち、乗合代理店側の判断により、さらに絞込みを行った上で、商品を提示・推奨する場合には、当該絞込みの基準等についても、説明を行うことが求められる。

*2.なお、一社専属の募集人についても、意向把握義務に基づき、自らが提案する個別プランと顧客の意向がどのように対応しているかについて説明することが求められる(2-2-1参照)。

*3.自らが勧める商品の優位性を示すために他の商品との比較を行う場合には、当該他の商品についてもその全体像や特性について正確に顧客に示すとともに自らが勧める商品の優位性の根拠を説明するなど、顧客が保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示す必要がある(法第300条第1項第6号、監督指針Ⅱ-3-3-2(6)及びⅡ-3-3-6(6)参照)。

*4.なお、乗合代理店であっても、商品比較・推奨販売を行わずに特定の商品(群)のみを顧客に提示する場合には、取扱商品の中から当該商品(群)のみを提示する理由(保険料水準や商品特性に関するものに限らず、特定の保険会社との資本関係やその他の事務手続・経営方針上の理由を含む)を説明すれば足りる。

*5.単に「公平・中立」との表示を行った場合には「所属保険会社等と顧客との間で中立である」と顧客が誤解するおそれがあることを踏まえ、そのような誤解を招かないような表示とすることが求められる。

*6.日常的に複数保険会社の商品の比較推奨販売を行っている乗合代理店については、日常的にこれらの義務を果たすために必要な体制整備を求められることになる。一方、乗合代理店であっても、原則として比較推奨販売を行わない場合にはこのような体制整備を行う必要はなく、また、顧客からの求めがあったときに例外的に比較推奨販売を行う場合には、そのために必要な範囲内で体制整備を行うことで足りる。

 また、追加的ルールの導入に伴い、監督の実効性を確保するため、例えば乗合数の多い代理店など一定の要件を満たす代理店には業務に関する報告書の提出を義務づける等、監督当局が乗合代理店の募集形態や販売実績等を把握するための措置を講じることが適当である。

 さらに、フランチャイズ方式*7を採用している場合には、顧客は当該フランチャイズの名称を使用している代理店からは一定水準のサービスを受けられることを期待するのが通常であることを踏まえれば、当該グループの名称やノウハウの管理・指導を行っている本部代理店(フランチャイザー)は自らの保険募集に係る体制を整備するのみならず、グループ名称の使用許諾やノウハウ提供を行っている他の代理店(フランチャイジー)に対する教育・管理・指導についても、適切に行うための体制整備を求めることが適当である*8。

 なお、手数料の開示については、上記のような見直しを通じて、乗合代理店による保険商品の比較販売について、一定の適切な体制が整備・確保されると考えられることから、現時点において、一律にこれを求める必要はないと考えられる*9。ただし、比較販売手法について問題が存在するおそれがある場合などには、必要に応じて、乗合代理店に支払われる手数料の多寡によって商品の比較・推奨のプロセスが歪められていないかについて、当局の検査・監督によって検証を行うことが重要である*10。

 また、乗合代理店は一社専属の保険募集人に比べて保険会社による管理・指導が及びにくいことを踏まえ、保険会社によるこうした規律付けを補完する観点から、保険会社が法第283条に基づいて保険募集人が顧客に与えた損害を賠償した場合には、当該保険会社に対して当該保険募集人に対する求償権の行使を義務づけるべきではないか、との指摘があった。これについても、保険募集人に対する指導・監督のための一手段として保険会社による求償権行使は適切に行われる必要があることは当然であるものの、保険募集人一般に対して上記2-1の考え方に基づき行為規制や体制整備義務が課せられることにより保険募集人の法的な責任が明確になることを通じて保険募集人への規律付けが強化されることを踏まえれば、まずはこれらの行為規制等の効果を見極めることとし、保険会社による求償権行使の義務付けの要否についてはその後に改めて検討することが適当である。

*7.あるグループの本部A(フランチャイザー)が、他の保険募集人(代理店B)に対して、自らのグループ名称の使用許諾やノウハウ提供を行い、当該他の代理店B(フランチャイジー)は「○○グループ代理店B」として保険募集を行い、名称やノウハウの使用の対価をフランチャイザーに支払う経営形態。

*8.なお、フランチャイジーにおいて取り扱う保険商品の品揃えが、フランチャイザーが顧客に宣伝しているものと異なる場合には、顧客に対して品揃えの相違点を説明することが求められる。

*9.審議においては、「募集手数料について、顧客に理解可能な形での開示が困難であり、結果として誤った情報を与えることになる、手数料の多寡は、顧客ニーズと保険商品が合致しているかどうかや顧客が支払う保険料には直接の関係はない」との意見もあった。

*10.仮に、手数料の多寡を原因として不適切な比較販売が行われる事例が判明した場合には、手数料開示の義務づけの要否について、改めて検討を行うことが適当である。

【記事の内容】
以下、記事の内容です。

―日本経済新聞 2015年2月6日―

【保険ショップに規制導入、商品比較義務に―割高手数料防ぐ】

 金融庁は複数の保険商品を取り扱う乗合代理店(保険ショップ)に対する販売規制を2016年春に導入する。監督指針などを改正し、販売が特定の商品に偏りすぎていないかや契約者への勧め方が適切だったかを重点検査する。指針に反した行為は行政処分の対象になる。保険ショップが保険会社から受け取る割高な手数料を目的にした販売を是正する狙いだ。

 金融庁は2月中にも保険会社向けの監督指針と保険業法の施行規則などの改正案を公表する。16年春を予定する改正保険業法施行に伴う措置で、柱は保険ショップの規制導入だ。中立を装って手数料の高い保険ばかりを勧めないよう求める項目を監督指針に盛り込む。

 来店した顧客には取り扱う保険商品の一覧を示し、保険料や保障内容を比較できるよう義務付ける。特定の保険会社と資本関係があり、その会社の保険販売を強化している場合には、その事実を顧客に伝えるよう指針に明記する。販売ルールを明確にして、行政処分を出しやすくする。

 保険ショップでは30~50社の保険を扱う。保険に加入する人の立場で選ぶ点が消費者に評価され、店舗を増やした。ほけんの窓口グループなど大手4社の合計は1000店を超え、5年間で5倍近い規模となった。国民生活センターによると「最初に検討した保険よりも保障内容が劣る商品を勧められた」(60代女性)などの相談もある。

【契約者ニーズを最優先―保険ショップ規制。手数料偏重を是正】
 金融庁が保険の乗合代理店(保険ショップ)に新たな規制を導入するのは保険会社から受け取る販売手数料が契約者には分かりにくいためだ。保険ショップが手数料ばかりを優先して商品を勧めないようにルールを整え、それぞれの顧客に合った保険を販売するよう促す。

 保険は投資信託などと異なり、手数料の開示義務がない。業界関係者によると、手数料は契約額が多いほど高くなる仕組みで、ある医療保険では販売額が多い代理店には初年度の保険料の60%程度を保険会社が払う。加入者が支払う保険料が年間10万円なら、代理店は6万円を受け取る計算だ。

 一方、販売が少ないと、保険料の10%台まで下がるという。複数の保険を売るよりも特定の保険を集中して販売した方が代理店の収益は上がる仕組みだ。「類似の商品なら手数料の高い保険を売る」との声が複数ある。

 金融庁は検査で販売実態を把握しやすいよう、大手代理店には生命保険会社から受け取る販売手数料などの帳簿作成を義務付ける。1年間で受け取る販売手数料が10億円を越える代理店を対象にする。事業報告書を金融庁に提出することも義務化する。


以上です。

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↑、上から、キバナコスモスにやってきたミドリヒョウモン・オス、小栴檀草にやってきたツマグロヒョウモン・オス、百日草にやってきたツマグロヒョウモン・メス(13年9月撮影)。

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この記事へのコメント

おおかわ
2015年02月10日 08:59
いつも拝見しております。
私は乗合代理店の拠点長をしてますが、いつもブログを参考にさせていただいております。
これだけの情報をほぼ毎日集められるなんて、本当に素晴らしいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
元保険営業マン
2015年02月10日 18:37
おおかわさん、こんばんは。
コメントありがとうございます
乗合代理店は情報提供義務と意向把握義務に加えて、同規制が導入されることで、募集手続等におけるルール遵守に、今まで以上に時間と神経を使うことになりそうですね。
保険業界はいいかげん
2015年02月10日 21:10
管理人さんのご説明に少し違和感があります。

1.「保険ショップ」云々について

こだわるほどの議論ではありません。新聞記事の書きっぷりの問題です。

2.契約者が支払う保険料に、代理店手数料が内包されている。

この新聞記事も間違っていません。
管理人さんのおっしゃる「内包」という言葉の方がわかりにくいのではないでしょうか。。。
1年でもらうのか、5年でもらうのか、10年でもらうか等代理店によってもらい方が異なるという話はあるのかもしれませんが。

3.「手数料率は代理店のランクによって変わります。ランクが上がれば当然料率も上がる」とストレートに考えてはいけないということです。

代理店によっては、「手数料率ランクを意識した販売を行う可能性がある」という意味ではないでしょうか。

ルールは、保険代理店が「さも顧客の立場に立ち公正な販売をしているかのスタンスをあらためろ」というところにあるはずです。

代理店は「保険会社側の委託販売(募集)人」ということからこれらのルールができているはずです。
また、販売戦略として、「今月は●●生命の保険を集中的に売ろう!」などとやらないように!ということではないでしょうか。

かつては、多数の保険会社の代理店になっていると「品揃えがいい」などと説明していたものが、これからは、「そこが足枷になることもある」とも言えます。なぜその保険会社の保険を勧めたのか「チェック」します。ということですよね。


転載記事が膨大なため、ミスリードがありましたらごめんなさい。
元保険営業マン
2015年02月11日 18:59
保険業界はいい加減さん、こんばんは。
コメントありがとうございます
私が伝えたかったのは、代理店の手数料は契約者が毎月あるいは半年、年に1回支払う保険料に含まれているものではない、ということです。

日経記事に登場する60%というのは、ランクが高い代理店に適用される手数料率なのですが、日経の書き方ですと契約者が支払う保険料の60%程度が代理店に支払われる、と誤解されかねないのです(私から見てですが…)。

ルールの目的はおっしゃるとおりかと存じます。乗合代理店のあり方、募集のあり方など契約する消費者に不利益が生じないようにするためですね。

20社30社…と取り扱い保険会社の数が多いことが売りでしたが、今後は比較開示と意向把握義務、情報提供義務の負担が重くのしかかってくると思います。

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  • 間もなく改正保険業法施行。

    Excerpt: 5月16日の日本経済新聞・朝刊に、29日から施行される改正保険業法と、保険ショップについての記事がありました。 Weblog: 現役保険営業マンの「生命保険徒然日記」 racked: 2016-05-17 22:50