新しい抗がん剤「免疫チェックポイント阻害剤」。

11月6日の日本経済新聞・朝刊に、新しい抗がん剤「免疫チェックポイント阻害剤」についての記事がありました。

記事によりますと、

< 「免疫チェックポイント阻害剤」という新薬が、がん治療を大きく変えるかもしれない。従来のようにがんを直接攻撃するのではなく、体内の異物を除く免疫の働きを利用する。ほかの治療法がない患者の一部でがんが縮小し、続けても効果が落ちないこともわかってきた。「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」を始め超高額な薬価ばかりが注目されるが、画期的な発見と評価する声は多い。>

とのことです。

…抗がん剤には種類があります。最初に登場した抗がん剤は「細胞障害性抗がん剤」というものです。これは細胞分裂を妨げてがん細胞にダメージを与えるタイプです。

ただ、がん細胞にも正常細胞に抗がん剤が作用してしまい、特に細胞分裂が活発な口腔や消化管粘膜、毛根の細胞は影響を受けやすいため、嘔吐や脱毛などの副作用が生じてしまいます。

細胞障害性抗がん剤のひとつである「アルキル化剤」は、第一次世界大戦で使用された毒ガス「マスタードガス」が起源と言われています。

細胞障害性抗がん剤の次に登場したのが「分子標的薬」です。がん細胞の増殖に必要な分子をターゲットに薬が効くように設計された抗がん剤で、HER-2陽性の乳がん治療に用いられている「ハーセプチン」などがそうです。

「免疫チェックポイント阻害剤」はそうしたがん細胞に直接作用する薬剤とは異なり、がん細胞が攻撃系免疫細胞のひとつである「キラーT細胞」の働きを妨げることができないようにする薬剤です。

ただ、薬価が非常に高いため、公的医療保険の財政にとってかなりの負担であると言われています。

【記事の内容】

以下、記事の内容です。

―日本経済新聞 2016年11月6日朝刊―

【がん新薬、免疫細胞覚醒】

 「免疫チェックポイント阻害剤」という新薬が、がん治療を大きく変えるかもしれない。従来のようにがんを直接攻撃するのではなく、体内の異物を除く免疫の働きを利用する。ほかの治療法がない患者の一部でがんが縮小し、続けても効果が落ちないこともわかってきた。「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」を始め超高額な薬価ばかりが注目されるが、画期的な発見と評価する声は多い。

 「これまでの抗がん剤では効かない患者の一部で、完全にがんが治るケースもある」。京都大学の浜西潤三講師はオプジーボを使って治療した経験から、その高価について高く評価する。これまでの抗がん剤は使い続けると、がん細胞の遺伝子が変異して効かなくなる。しかし、オプジーボは従来の仕組みと大きく違うため、こうした耐性の問題が起こらないという。

 抗がん剤の開発はがん細胞を殺す物質を探す歴史だ。初期の抗がん剤は1950年ころ、毒ガスの研究から生まれた。その後、がん向けの抗生物質や白金製剤などが開発された。いずれもDNAの合成を邪魔することで、がん細胞を増殖できなくして殺す。ただ、健康な細胞も傷つけるため副作用がつきまとう。

 21世紀に入り、大きな技術革新があった。まず、がんだけを狙い撃ちする分子標的薬の登場だ。がん細胞の表面に現れる増殖にかかわる分子の働きを抑えて殺す。副作用は少なくなり、治療成績は向上した。ただ、患者に特定の遺伝子異常がないと効果がないうえ、使ううちに効かなくなる耐性問題は残った。

 第二の革新がオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤だ。免疫の力を生かしてがん細胞を排除する。従来も免疫の攻撃力を高めるがん治療法はあったが、有効性を証明できなかった。免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞などによってブレーキがかかった免疫の攻撃力を回復させる。「従来の治療法とは逆転の発想だ」と、先駆者の京都大学の本庶佑客員教授は振り返る。オプジーボは同教授の発見を利用している。

 体内異物が生じると、監視役の樹状細胞が見つけ、T細胞などの免疫細胞に指令を出して攻撃する。がん細胞は健康な人でも生じるが発症しないのは、免疫ががん細胞を排除するからだ。これに対して、がん細胞は免疫の攻撃にブレーキをかけようと働く。

 カギを握るのがT細胞の表面に現れる「免疫チェックポイント分子」と呼ぶたんぱく質だ。その一つが本庶客員教授が1992年に見つけた「PD-1」だ。がん細胞はある程度成長すると「PD-L1」と呼ぶたんぱく質が表面に現れる。これがPD-1に結合すると、T細胞はがんを攻撃しなくなる。オプジーボはこれらの結合を邪魔することでブレーキを外し、T細胞は攻撃力を取り戻す。

 同様の働きをする分子に、米テキサス大学のジェームズ・アリソン教授らが90年代に機能を解明した「CTLA-4」がある。樹状細胞ががん細胞を攻撃する指令を出す際に誤ってCTL-4に結合し、ブレーキをかけてしまう。2011年、米ブリストル・マイヤーズスクイブがCTLA‐4の結合を邪魔する薬「ヤーボイ(同イピリムマブ)」を米国で発売した。

 オプジーボとヤーボイは皮膚のがんの一種で従来の抗がん剤が効きにくい悪性黒色腫(メラノーマ)で高い治療成績を上げている。いずれも、患者の2~3割でがんが小さくなったという。オプジーボはさらに、肺がんや腎臓がんの一部でも、国内の承認を受けた。このほか、米メルクやスイスのロシェ、英アストラゼネカなども新たな免疫チェックポイント阻害剤の開発を進めている。

 分子標的薬はがん細胞の表面にある特定の分子を狙うため、がんの種類に応じて薬を使い分ける必要がある。免疫ががんを排除する仕組みはほぼ共通するため、免疫チェックポイント阻害剤は多くの種類のがんに効くという。本庶客員教授は「10年以内にがんを克服できるのではないか」と期待する。同氏とアリソン教授はノーベル生理学・医学賞の呼び声が高い。2人は登竜門とされる国際的な賞を相次いで受賞している。

 ただ、副作用が少ないとされるが、いったん現れると重症化しやすい。ブレーキを外すことで免疫が暴走し、健康な組織や細胞を攻撃してしまうこともあるからだ。いずれの薬も治療費が数百万円以上になり、一千万円を超すこともある。効く患者だけに使って無駄な投薬を抑えるために、治療効果を予測する手法の研究も欠かせない。


以上です。

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↑、5月に撮影したヤマサナエ・オス。

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