法人契約の定期保険を巡る裁定事案。
生命保険協会が取りまとめた、令和元年7~9月の裁定概要集(PDF)に、法人契約の定期保険を巡る裁定事案がありました。
裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。
<事案の概要>
募集人から不十分な説明を受けて契約したこと等を理由として、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成28年7月に乗合代理店を通じて、従業員2名を被保険者として契約した定期保険2件について、以下等の理由により、契約を取消して既払込保険料を返してほしい。
(1)契約時、募集人から、保険料支払いは初年度の1回だけであると説明された。
(2)契約時、募集人から、税効果を考慮した実質返戻率のみが記載された私製の「提案書」により説明を受け、常に100%以上の返戻金があり損をしないと誤信した。
(3)被保険者2名は従業員であるが、執行役員であることを証明する旨の文書が、代表者に無断で作成されて保険会社に提出されている。
…この事案は既に和解が成立しています。
今回の事案は、申立人と募集人双方に非があると思います。
<裁定の概要>を読むと、まず、申立人は募集人に対して被保険者となる2名の従業員(事務職など)を執行役員であると証明書を発行しています。
同時申し込みの他社契約では、そのうちの1名は一般従業員として扱われています。モラルリスクが強く疑われる申し込みと判断されてもやむを得ないと思います。
また、募集人は過度に節税効果を強調した、募集文書としての許可を得ていない私製資料を使用するなど、保険契約の本質から逸脱した募集を行っています。
【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(生命保険協会令和元年7~9月裁定概要集・P1~2より転載)。
[事案29-314]新契約無効請求
・令和元年7月10日 和解成立
<事案の概要>
募集人から不十分な説明を受けて契約したこと等を理由として、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成28年7月に乗合代理店を通じて、従業員2名を被保険者として契約した定期保険2件について、以下等の理由により、契約を取消して既払込保険料を返してほしい。
(1)契約時、募集人から、保険料支払いは初年度の1回だけであると説明された。
(2)契約時、募集人から、税効果を考慮した実質返戻率のみが記載された私製の「提案書」により説明を受け、常に100%以上の返戻金があり損をしないと誤信した。
(3)被保険者2名は従業員であるが、執行役員であることを証明する旨の文書が、代表者に無断で作成されて保険会社に提出されている。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)募集人は、保険料の支払いは初年度の1回だけであるといった説明をしていない。
(2)募集人は、自作の提案書だけではなく、設計書も使用し、解約返戻率の推移を説明している。
(3)被保険者2名が執行役員であることの証明書は、申立人代表者から募集人に対して交付されたものであり、申立人代表者のゴム印と代表者印が押捺されている。
<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の説明状況等を把握するため、募集人に対して事情聴取を行った。なお、申立人代表者が事情聴取を辞退したため、事情聴取は行わなかった。
2.裁定結果
上記手続の結果、申立人が、保険料支払いは初回1 回のみで良い、または、常に100%以上の返戻金があり損をしないと誤信したこと等は認められないものの、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。
(1)本契約はいずれも死亡保険金額が非常に高額であるが、特に本契約のように、経営者保険であって、契約者・死亡保険金受取人と被保険者が異なる場合、モラルリスクの観点からも契約者と被保険者との関係を慎重に確認すべきである。
(2)告知書においては両被保険者から事務職などと申告されており、また、同時申込みの他社契約では、被保険者のうち一名は一般従業員として扱われている。そうであれば、募集人は、被保険者が本当に執行役員であるかどうか疑うべきで、確認が不十分であった。
(3)募集人が説明に使用した提案書は、本来必要な保険会社内におけるコンプライアンスのチェックを受けておらず、その内容も節税を過度に強調し、不正確な記載も存在するものであった。
以上です。
↑、ハナダイコンで吸蜜中のダイミョウセセリ(5月撮影)。
↓12月7日19:00現在で8位…ちょっと下がってしまいました。皆様のワンクリックをお待ちしております。

人気ブログランキング
↓12月7日19:00現在で4位…ちょっと下がってしまいました。皆様のワンクリックをお待ちしております。

にほんブログ村
裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。
<事案の概要>
募集人から不十分な説明を受けて契約したこと等を理由として、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成28年7月に乗合代理店を通じて、従業員2名を被保険者として契約した定期保険2件について、以下等の理由により、契約を取消して既払込保険料を返してほしい。
(1)契約時、募集人から、保険料支払いは初年度の1回だけであると説明された。
(2)契約時、募集人から、税効果を考慮した実質返戻率のみが記載された私製の「提案書」により説明を受け、常に100%以上の返戻金があり損をしないと誤信した。
(3)被保険者2名は従業員であるが、執行役員であることを証明する旨の文書が、代表者に無断で作成されて保険会社に提出されている。
…この事案は既に和解が成立しています。
今回の事案は、申立人と募集人双方に非があると思います。
<裁定の概要>を読むと、まず、申立人は募集人に対して被保険者となる2名の従業員(事務職など)を執行役員であると証明書を発行しています。
同時申し込みの他社契約では、そのうちの1名は一般従業員として扱われています。モラルリスクが強く疑われる申し込みと判断されてもやむを得ないと思います。
また、募集人は過度に節税効果を強調した、募集文書としての許可を得ていない私製資料を使用するなど、保険契約の本質から逸脱した募集を行っています。
【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(生命保険協会令和元年7~9月裁定概要集・P1~2より転載)。
[事案29-314]新契約無効請求
・令和元年7月10日 和解成立
<事案の概要>
募集人から不十分な説明を受けて契約したこと等を理由として、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成28年7月に乗合代理店を通じて、従業員2名を被保険者として契約した定期保険2件について、以下等の理由により、契約を取消して既払込保険料を返してほしい。
(1)契約時、募集人から、保険料支払いは初年度の1回だけであると説明された。
(2)契約時、募集人から、税効果を考慮した実質返戻率のみが記載された私製の「提案書」により説明を受け、常に100%以上の返戻金があり損をしないと誤信した。
(3)被保険者2名は従業員であるが、執行役員であることを証明する旨の文書が、代表者に無断で作成されて保険会社に提出されている。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)募集人は、保険料の支払いは初年度の1回だけであるといった説明をしていない。
(2)募集人は、自作の提案書だけではなく、設計書も使用し、解約返戻率の推移を説明している。
(3)被保険者2名が執行役員であることの証明書は、申立人代表者から募集人に対して交付されたものであり、申立人代表者のゴム印と代表者印が押捺されている。
<裁定の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の説明状況等を把握するため、募集人に対して事情聴取を行った。なお、申立人代表者が事情聴取を辞退したため、事情聴取は行わなかった。
2.裁定結果
上記手続の結果、申立人が、保険料支払いは初回1 回のみで良い、または、常に100%以上の返戻金があり損をしないと誤信したこと等は認められないものの、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。
(1)本契約はいずれも死亡保険金額が非常に高額であるが、特に本契約のように、経営者保険であって、契約者・死亡保険金受取人と被保険者が異なる場合、モラルリスクの観点からも契約者と被保険者との関係を慎重に確認すべきである。
(2)告知書においては両被保険者から事務職などと申告されており、また、同時申込みの他社契約では、被保険者のうち一名は一般従業員として扱われている。そうであれば、募集人は、被保険者が本当に執行役員であるかどうか疑うべきで、確認が不十分であった。
(3)募集人が説明に使用した提案書は、本来必要な保険会社内におけるコンプライアンスのチェックを受けておらず、その内容も節税を過度に強調し、不正確な記載も存在するものであった。
以上です。
↑、ハナダイコンで吸蜜中のダイミョウセセリ(5月撮影)。
↓12月7日19:00現在で8位…ちょっと下がってしまいました。皆様のワンクリックをお待ちしております。

人気ブログランキング
↓12月7日19:00現在で4位…ちょっと下がってしまいました。皆様のワンクリックをお待ちしております。

にほんブログ村
この記事へのコメント