知っておきたい、医療保険の給付金支払における条件や定義。

2月1日の日本経済新聞・朝刊に、医療保険の給付金支払における条件や定義に関する記事がありました。

記事によりますと、

< 病気やケガで入院や手術をした場合、民間生命保険会社の医療保険に加入していると給付金を受け取れる。治療費が家計の負担になることもあるので心強いが、繰り返しの入院や複数回の手術を受けたときは一部が給付の対象外となることがある。…>

とのことです。

【管理人の感想】
今回の記事は、1)一入院日数の上限について。2)一定期間内に再入院した場合の入院給付金の支払いについて。3)複数回手術を受けた場合の手術給付金の支払いについて。4)三大疾病を保障する給付金の支払いについて―それぞれ取り上げています。

ただ、残念なことに間違いや取材不足が目立ちます。では、順を追って説明してまいります。

1)一入院日数の上限
これは疾病や傷害の治療を目的とした「1回の入院」を保障する日数の上限です。60日型であれば、60日が上限となり、上限を超えるとその日数分は保障されません。

2)一定期間内に再入院した場合の入院給付金の支払い
これは「180日ルール」と呼んでいるものです。かつては各社共通でしたが、近年

①外資系生保M社の場合(大半の保険会社が設けている規定)
・疾病入院給付金:被保険者が疾病入院給付金の支払事由に該当する入院を2回以上し、かつ、それぞれの入院の直接の原因となった疾病、不慮の事故、不慮の事故以外の外因による傷害または異常分娩が同一かまたは医学上重要な関係があると会社が認めたときは、1回の入院とみなして本条および第3条(入院給付金の支払限度)第1項の規定を適用します。ただし、疾病入院給付金が支払われることとなった最終の入院の退院日の翌日からその日を含めて180日経過後に開始した入院については、新たな入院とみなします。

・災害入院給付金:被保険者が災害入院給付金の支払事由に該当する入院を2回以上し、かつ、それぞれの入院の直接の原因となった不慮の事故が同一であるときは、1回の入院とみなして本条および第3条第1項の規定を適用します。ただし、その事故の日からその日を含めて180日以内に開始した入院に限ります。

②損保系生保M・A社の場合(一部保険会社の規定)
・疾病入院給付金:疾病入院給付金の支払事由に該当する入院を2回以上した場合には、継続した1回の入院とみなします。ただし、疾病入院給付金が支払われた最終の入院の退院日の翌日からその日を含めて180日を経過して開始した入院については、新たな入院とみなします。

・災害入院給付金:災害入院給付金の支払い事由に該当する入院を2回以上した場合には、継続した1回の入院とみなします。ただし、災害入院給付金が支払われた最終の入院の退院日の翌日からその日を含めて180日を経過して開始した入院については、新たな入院とみなします。

-と規定に違いが生じています。

日経は記事の中で

< 川崎に住むKさん(69)は昨年10月、自宅で転倒して足首を骨折した。救急病院で手術した後、転院してリハビリテーションを受け、家に帰ったのは約50日後だった。

 Kさんは医療保険に入っていたため、入院50日分の給付金をもらおうと請求したところ、保険会社から「支払えるのは30日分だけ」と言われた。理由を問いただすと、過去の給付金の支払い実績がルールに引っかかるという。

 …

 事例のKさんが加入していたのも上限日数60日の商品だった。骨折後50日で退院したので上限は越えておらずKさんは満額をもらえそうに見える。だがここで問題となったのがいわゆる「180日ルール」。入院を繰り返した場合、最初の退院から再び入院するまでの間が180日以内だと、それらを1回の入院とみなし、入院日数も合算するという決まりだ。

 Kさんは昨年、骨折する前、肺炎を患って約30日入院して給付金を受け取ったことがある。その後3ヵ月しかたたないうちに今度は骨折で入院。はじめの入院ですでに30日分の給付金をもらっていたため上限60日のうち残りの30日分しかもらえなかった。>


-と、具体例を挙げてこの180日ルールを説明していますが、間違っています。自宅で転倒して足を骨折し入院というのは、「不慮の事故を直接の原因とする、傷害の治療を目的とした入院」ですので、災害入院給付金の支払い対象となります。

一方、肺炎による入院は「疾病の治療を目的とした入院」ですので、疾病入院給付金の支払い対象となります。したがって、「180日ルール」に抵触することはありません。

また、「入院一時金」の180日ルールですが、その保障を付加することができる医療保険を扱っているO社の商品パンフレットには、以下のように記載されています。

・退院日の翌日から180日以内に入院した場合は、入院の原因を問わず1回の入院とみなし、お支払いを1回とします。

入院給付金とは取り扱いが異なりますので、要注意です。

3)複数回手術を受けた場合の手術給付金の支払い
約款には次のように規定されています。

①外資系生保M社の場合
・被保険者が同一の日に、手術給付金の支払事由に該当する2以上の手術を受けた場合には、それらの手術については、それらの手術のうち手術給付金の支払額の高いいずれか1つの手術についてのみ手術給付金を支払います。

・被保険者が同一の手術を2回以上受けた場合で、かつ、その手術が医科診療報酬点数表において一連の治療過程に連続して受けた場合でも手術料が1回のみ算定されるものとして定められている診療行為に該当するときは、最初の手術からその日を含めて14日以内に受けた手術については、それら手術のうち手術給付金の支払額の高いいずれか1つの手術についてのみ手術給付金を支払い、14日を経過した日の翌日以降に受けた手術については、新たな手術とみなして、本条に規定を適用します。

②損保系生保M・A社の場合
・被保険者が手術給付金の支払事由に該当する手術を同一の日に複数回受けたときは、それらの手術のうち手術給付金の金額の高いいずれか1つの手術についてのみ手術給付金を支払います。

・被保険者が、医科診療報酬点数表において、一連の治療過程で複数回実施しても手術料が1回のみ算定されるものとして定められている区分番号に該当する手術について、被保険者が同一の区分番号に該当する手術を複数回受けたときは、手術給付金の支払事由にかかわらず、当該手術に対して手術給付金が支払われることとなった直前の手術を受けた日からその日を含めて14日以内に受けた手術に対しては、手術給付金を支払いません。

③損保系生保S・H社の場合
・被保険者が時期を同じくして手術給付金の支払事由に該当する手術を複数回受けた場合には、手術給付金の型に応じてつぎのとおり手術給付金を支払います。
(1)手術Ⅰ型の場合には、第1項および第2項の規定にかかわらず、第2項に定める支払額の最も高いいずれか1つの手術についてのみ支払います。

(2)手術Ⅱ型の場合には、第1項の規定にかかわらず、1つの手術についてのみ支払います。

・被保険者が手術給付金の支払事由に該当する同一の手術を複数回受けた場合で、かつ、それらの手術が医科診療報酬点数表または歯科診療報酬点数表において一連の治療過程に連続して受けた場合でも手術料が1回のみ算定されるものとして定められる手術に該当するときは、第1項の規定にかかわらず、手術給付金が支払われることとなった一連の手術の施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とします。

日経は記事の中で、

< …手術給付金は、入院中に複数回の手術を受けても支払いは1回のみと規定している商品が目立つ。入院中に1度手術を受けて「14日以内に再度手術を受けた場合」、後の手術は給付の対象外となるというケースだ。>

と書いていますが、あまりに不正確な内容です。

4)三大疾病を保障する給付金の支払い
特約を付加することで三大疾病に罹患したときに一時金を受け取ることができます。この特約の保障範囲や支払事由には次ような違いがあります。

・支払回数の違い
①支払回数は1回のみで、がん(悪性新生物・上皮内新生物、脳卒中、急性心筋梗塞)のいずれかの支払事由に該当し、給付金を支払ったら特約は消滅する(カタカナ系生保S・Y社)。

②1年に1回を限度に、何度でも支払う(損保系生保M・A社/S・H社、カタカナ系生保O社等)。

③1年に1回を限度に、各一時金(悪性新生物、脳血管疾患、心疾患)の支払回数を通算して5回まで。上皮内新生物の一時金も1年を1回を限度に、通算5回まで(外資系生保M社)。

・保障範囲の違い
①がん(悪性新生物・上皮内新生物)、脳卒中、急性心筋梗塞を保障する(カタカナ系生保S・Y社/O社、損保系生保S・H社)。

②がん(悪性新生物・上皮内新生物)、脳血管疾患、心疾患を保障する(外資系生保M社、損保系生保M・A社)。

・支払事由の違い
①初めてがん(悪性新生物・上皮内新生物)と診断確定されたとき。急性心筋梗塞により、診療を受けた日から60日以上、所定の労働制限が継続したと診断されたとき。脳卒中により診療を受けた日から60日以上、所定の後遺症が継続したと診断されたとき(カタカナ系生保S・Y社)。

②がん(悪性新生物・上皮内新生物)、脳血管疾患、心疾患で入院されたとき(損保系生保M・A社)。

③がん(悪性新生物・上皮内新生物)、脳卒中、急性心筋梗塞で入院した場合(損保系生保S・H社)。

④初めてがん(悪性新生物・上皮内新生物)と診断確定されたとき(初回)。がんの治療を目的とした入院を開始したとき(2回目以降)。脳卒中、急性心筋梗塞の治療を目的とした入院を開始したとき(カタカナ系生保O社)。

⑤初めて悪性新生物と診断確定されたとき(初回)。公的医療保険制度の給付対象となる所定の手術、放射線治療、抗がん剤治療を受けられたとき(2回目以降)。

心疾患により所定の手術(開胸術、ファイバースコープ手術または血管・バスケットカテーテル手術など)を受けられたとき、または、継続20日以上の入院をされたとき。

脳血管疾患により所定の手術(開頭術、ファイバースコープ手術または血管・バスケットカテーテル手術など)を受けられたとき、または、継続20日以上の入院をされたとき。

初めて上皮内新生物と診断確定されたとき(初回)。前回の支払事由に該当されたときからその日を含めて1年を経過した日の翌日以後に、上皮内新生物と診断確定されたとき(2回目以降)(外資系生保M社)。

・悪性新生物と上皮内新生物では給付額が違う
上皮内新生物の給付額は悪性新生物の場合の半額(外資系生保M社)。

【記事の内容】
以下、記事の内容です。

―日本経済新聞 2020年2月1日朝刊―

【入院保険 給付条件に注意】

 病気やケガで入院や手術をした場合、民間生命保険会社の医療保険に加入していると給付金を受け取れる。治療費が家計の負担になることもあるので心強いが、繰り返しの入院や複数回の手術を受けたときは一部が給付の対象外となることがある。どんなケースに気をつけておけばいいのかまとめた。

 川崎に住むKさん(69)は昨年10月、自宅で転倒して足首を骨折した。救急病院で手術した後、転院してリハビリテーションを受け、家に帰ったのは約50日後だった。

 Kさんは医療保険に入っていたため、入院50日分の給付金をもらおうと請求したところ、保険会社から「支払えるのは30日分だけ」と言われた。理由を問いただすと、過去の給付金の支払い実績がルールに引っかかるという。

 どういうことか理解するには、医療保険の給付金は保険会社や商品によって細かな支払条件があることを知っておく必要がある。

◇対象日数に上限
 入院給付金で主流なのは日額タイプ。入院1日につきいくらと金額を決め、入院したら日数分の金額が支払われる。日額5000円で契約して10日入院すれば入院給付金は5万円になる。日額をいくらにするか悩む人は多いようだが、意外と見落としがちなのが「入院日数」にかかわる、いくつかの決まり事だ。

 まず重要なのが上限日数について。入院給付金は一般に入院1回あたりに支払う対象日数に上限がある。60日、90日、120日などと決めており、上限を超えて入院した日数分は支払われない。入院日数が短期化する傾向がある近年は60日型が目立つ。特定の病気に限って日数を無制限とする商品もあるが、よく確認しておきたい。

 事例のKさんが加入していたのも上限日数60日の商品だった。骨折後50日で退院したので上限は越えておらずKさんは満額をもらえそうに見える。だがここで問題となったのがいわゆる「180日ルール」。入院を繰り返した場合、最初の退院から再び入院するまでの間が180日以内だと、それらを1回の入院とみなし、入院日数も合算するという決まりだ。

 Kさんは昨年、骨折する前、肺炎を患って約30日入院して給付金を受け取ったことがある。その後3ヵ月しかたたないうちに今度は骨折で入院。はじめの入院ですでに30日分の給付金をもらっていたため上限60日のうち残りの30日分しかもらえなかった。

 同ルールはかつて同じ病気で入院した場合が主な対象だったが、「最近は異なる病気・ケガによる入院にも適用する商品が増えている」(富国生命保険の木村恵則営業企画部部長)。中には日額の入院給付金とは別に入院一時金を出す商品もあり、やはり180日ルールが適用される。複数回入院しても一時金は1回だけという場合がある。

 このほか、医療保険では手術給付金に関する規定も理解しておきたい。手術給付金は、入院中に複数回の手術を受けても支払うのは1回のみと規定している商品が目立つ。入院中に一度手術を受けて「14日以内に再度手術を受けた場合」、後の手術は給付の対象外となるというケースだ。

◇3大疾病に規定
 いわゆる3大疾病に関する規定も要注意。がんや心疾患、脳血管疾患などになると10万~200万円というまとまった一時金を受け取れる商品が増えているが、一時金の支払い条件は商品により異なることが多い。

 がんの場合は、がんと診断確定されるだけで一時金が給付される商品もあれば、入院が条件になっている商品もある。心疾患、脳血管疾患の場合は、20日間など一定日数以上の継続入院か、手術を受けたことを条件にしている商品があるほか、医師から短時間勤務といった労働制限を60日以上指示されることを支払条件にしている商品もある。

 心疾患を急性心筋梗塞、脳血管疾患を脳卒中と表記している商品もある。急性心筋梗塞とある場合は、心疾患のひとつである狭心症や心不全は保障対象に含まないことがあるので保険会社に確認しておきたい。


以上です。

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↑、昨年6月に撮影したダビドサナエ・♀。

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