郵政民営化「3つの理由」の大嘘③

郵政民営化の3つ目の理由は「郵貯や簡保のお金が、財政投融資の原資となっているために、いろいろな矛盾や不合理も顕在化している」あるいは「郵貯や簡保の膨大なお金が財政投融資に回され、それが特殊法人に流され焦げ付いたり、官の肥大化になっていたりする」というものでした。
しかし、この考えは正確なものではありません。嘘と言っていいでしょう。
特に「郵貯・簡保のお金が財政投融資を経て特殊法人に流れていることで赤字になっている」というのは現在の郵政公社の資金運用の構図上全く成り立たない、妄言でしかないのです。

財政投融資への批判が高まった1995年の例をとっても、郵貯と簡保のお金のうち財政投融資に流れていた資金は約6割であり、財政投融資から特殊法人に流れていた資金は、全体の4割に過ぎなかったのです。
しかも、この点が肝心なのですが、特殊法人に流れ込む資金全てが焦げ付いたわけではありません。戻ってこないのは少なくても2%台、多く見積もっても4%台です。
しかし、特殊法人とはもともと収益を上げることが目的ではなかったのですから、このロスは「政策コスト」とみなすのが自然でしょう。
もちろん、特殊法人の中には天下り先でしかないようなところや子会社に資金を流しているだけのところなどの、論外な法人もありました。しかし、そのような部門を摘発し改善することと、郵政事業を民営化することは何の関係もないことです。


財政投融資の仕組みは、国家の信用を間に介在させることで金利の低い融資を生み出し、巨大なプロジェクトに必要な長期的融資を可能にし、経済成長期の国民住宅購入を助け、景気変動に弱い中小企業の設備投資を支えたのです。
(しかも、この財政投融資と似たような仕組みは欧米にも存在しております。そのことを財政研究の専門家・富田俊基氏が証明しております。)
しかし、金融自由化が進むにつれて、政策的に決められる金利に不合理が生じるというので89年に郵貯を大蔵省資金運用部に預ける際の「預託金利」を国債のクーポンレートに連動させ、2001年の橋本行革の際に、郵政が郵貯・簡保の資金を自主的に運用することが決まったのです。

つまり、郵政は公社化する以前から、すでに財務省に資金を預託することはやめて、金融市場から国債やほかの金融商品を購入するようになったのです。もちろん、それまで、預託していた巨額の資金がストップすれば国家財政が混乱するため、相当額の財政投融資債を債券市場から購入して財務省に資金が流れるようにしてありますが、これはあくまで「経過措置」に過ぎません。
また、これまでの預託金残高は、2007年までに財務省から返済されることになっており、順調に返済が進んでいます。すでに、郵貯・簡保の資金が財政投融資に預託され、その預託金が特殊法人に流れるという仕組みは存在しないのです。


出典:諸君10月号

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