医療保険の死角②:明らかになった今後の課題。

前回は、医療保険に潜む外的なリスクについて触れました。
今回は、*明らかになった今後の課題についてご案内します。

*金融庁は昨年「第三分野の責任準備金積立ルール・事後検証等に関する検討チーム」を発足し、2月から6月にかけて12回にわたり、第三分野の責任準備金積立ルール及び事後検証のあり方等について検討を重ねてきました。

チームはその報告書の中で「今後の課題」として、以下のように述べています。

私の感想は「今後、保険会社は医療保険やがん保険、介護保険の開発、販売において現在の路線(安価な保険料での大量販売)を変更せざるを得なくなる」です。

【今後の課題】
(1)データの整備
 第三分野は商品内容が多種多様であることから、各保険会社が保有するデータを統一的に収集・蓄積し、一定の加工作業を経て、その結果を各保険会社へフィードバックできる仕組みが必要との意見が大勢を占めた。

 その際、各保険会社のデータは、各保険商品の引き受け基準に基づいたものであり、その引き受け基準によってはある程度ばらつく可能性がある。
 
 このため、収集・蓄積したデータの十分性を担保する観点から、公的なデータの収集・蓄積も併せて行い、クロスチェックをかけていくことも必要ではないかと考えられる。
 
 データ整備の主体性については、データという各保険会社にとって秘匿性の高い、重要な財産を取り扱うという点で、特定の保険会社に属するというのではなく、中立的な立場が求められる一方、第三分野特有の保険期間の長期性にも対応できるだけのノウハウを備えていることが求められる。その意味において、処理体制が整っている損害保険料率算出機構や長期リスクの取り扱いに精通する日本アクチュアリー会といった既存組織の活用が考えられる。また、生命保険協会及び日本損害保険協会による共同作業や新たに第三者期間を設けるという方法も考えられる。

 いずれにせよ、この点に関しては、今後関係者間で早急に検討が行われる必要がある。

(2)標準発生率・参考純率等の整備
 第三分野における発生率の標準化や参考純率化については、第三分野保険商品が多様化していてもコアになる部分(疾病入院、災害入院、手術、がん)はスタンダード化が可能と考えられることから、標準責任準備金制度の枠組みの中で標準発生率を作成し、第三分野に適用することを目指すべきという意見もあれば、参考純率を作成することを目指すべきという意見もあった。

 このようなスタンダード化については、第三分野の多様な商品に対応し、将来の不確実性を的確に織り込まれたものでなければならないが、現時点では、この検証が十分に行われているとはいえないため、適切かつ十分な事後検証の下で財務の健全性を確保していくべきという判断に至った。

 このため、当面はまずデータ整備に注力し、将来的課題として、標準発生率や参考純率の適否を検討していくべきではないかと考えられる。

 なお、消費者が保険商品を選択する判断材料として何らかのスタンダードが必要という意見もあった。そのようなスタンダードについては、別途、一般データ等から作成し、公表することも視野に入れて検討していくべきである。

 最後に、検討チームは報告書の中で当面の対応策を次のように述べています。
【おわりに】
 長期的に不確実性を有する第三分野においては、この不確実性を的確に反映した積立ルールや事後検証等の整備が必要である。
 
 これについては、将来的には、標準発生率や参考純率のようなスタンダード化を視野に入れて検討を進めていく必要があるが、当面は、上述のようなデータ整備等の問題にかんがみ、①適時・的確な事後検証等による保険料積立金の必要な積立額の確保、②ストレステストによる危険準備金の十分な積立水準の確認、③このような検証の実施状況等の開示、④当局における定期的なオフサイトモニタリングの実施、等の施策を厳格に行うことに対応していくべきと考えられる。

 このような対応により、保険会社の財務の健全性が確保され、契約者保護を確実にすることができるものと考えられる。


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