金融庁、動く!!保険商品の販売・勧誘時の新ルールについて⑧
今回は、いよいよ今日・4月1日から適用される新ルールの内容を金融庁の資料「アクセスFSA」・第40号などを基にご案内します。
金融庁は今年の2月28日に、「保険会社向けの総合的な監督指針」を改正しました。
今回の改正は、①「契約概要」・「注意喚起情報」書面等への対応、及び②広告審査体制の充実を促すための監督指針改正―のふたつの点について行われております。
Ⅰ.「契約概要」・「注意喚起情報」書面等への対応
1.改正の経緯
(1)「保険商品の販売・勧誘のあり方に関する検討チーム」において、平成17年7月に公表した「中間論点~保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方~」では、次のような整理が行われました。
①保険商品の販売勧誘時の説明について以下の施策を行うことが有効。
・一般的な消費者であれば理解しようとする意欲を失わない程度の情報量に限定した重要事項を定める
・商品分野ごとに最低限の重要事項を明確化する
②重要事項の明確化のため、以下の分類に情報を整理し、顧客に提供すること。
・顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(以下、「契約概要」という。)
・保険会社が顧客に対して注意喚起すべき情報(以下、「注意喚起情報」という。)
③「契約概要」・「注意喚起情報」の内容について商品の特性等を踏まえた枠組みを定め、商品分野ごとの細目については業界において自主ガイドラインを定めること。
(2)上記中間論点整理を踏まえ、「契約概要」・「注意喚起情報」に記載すべき事項の枠組み、及びそれらを記載した書面の記載方法、説明方法等について、以下のような監督指針の改正を行い、その明確化を図ることといたしました。
2.改正の内容
(1)「契約概要」・「注意喚起情報」に記載すべき主な項目は以下のとおりとなっています。
〈〈契約概要〉〉
①当該情報が「契約概要」であること
②商品の仕組み
③保障の内容
(注)保険金等の支払い事由、支払い事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合について、それぞれ主なものを記載すること。保険金等を支払わない場合が通例でないときは、特に記載すること。
④付加できる主な特約及びその概要
⑤保険期間
⑥引受条件(保険金額等)
⑦保険料に関する事項
⑧保険料払込みに関する事項(保険料払込方法、保険料払込期間)
⑨配当金に関する事項(配当金の有無、配当方法、配当額の決定方法)
⑩解約返戻金等の有無及びそれらに関する事項
次に掲げる投資性商品については、以下の項目も記載するものとする。
(変額保険、変額年金)
⑪特別勘定に属する資産の種類及びその評価方法
⑫特別勘定に属する資産の運用方法
⑬諸費用に関する事項(保険契約関係費、資産運用関係費等)
⑭特別勘定に属する資産の運用実績により将来における保険金等の額が変動し、不確実
であること
(外貨建て保険)
⑮保険金等の支払い時における外国為替相場により円に換算した保険金等の額が、保険契約時における外国為替相場による円に換算した保険金等の額を下回る場合があること
⑯外国通貨により契約を締結することにより、特別に生じる手数料等の説明
〈〈注意喚起情報〉〉
①当該情報が「注意喚起情報」であること
②クーリング・オフ(保険業法第309条第1項に規定する保険契約の申込みの撤回等)
③告知義務等の内容
④責任開始期
⑤支払い事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合のうち主なもの
(注)通例でないときは、特に記載すること
⑥保険料の払込猶予期間、契約の失効、復活等
⑦解約と解約返戻金の有無
⑧セーフティネット
⑨特に法令等で注意喚起することとされている事項
次に掲げる投資性商品については、以下の項目も記載するものとする。
(変額保険)
⑩特別勘定に属する資産の運用実績により将来における保険金等の額が変動し、不確実であること
(外貨建て保険)
⑪保険金等の支払い時における外国為替相場により円に換算した保険金等の額が、保険契約時における外国為替相場による円に換算した保険金等の額を下回る場合があること
⑫外国通貨により契約を締結することにより、特別に生じる手数料等の説明
(2)「契約概要」・「注意喚起情報」の記載方法、説明方法等については、次のような体制を整備することを規定しております。
①記載方法
・例えば、文字の大きさを8ポイント以上とする等、文字の大きさ、配列等について顧客にとって理解しやすい記載
・使用する文言について、その平明性及び明確性の確保
・顧客に対して、具体的な数値等を示す必要がある事項(保険期間、保険金額、保険料等)については、具体的な数値を記載
・情報量について、例えば「契約概要」・「注意喚起情報」併せてA3両面程度とするなど顧客が理解しようとする意欲を失わないよう配慮
・他の書面との分離・独立
②説明方法
・「契約概要」・「注意喚起情報」が記載された書面を詠むことが重要であること、主な免責事由など顧客にとって特に不利益な情報が記載された部分を読むことが重要であること、乗換・転換の場合には、これらが顧客にとって不利益になる危険性があること、について口頭により説明
・書面の交付にあたり、顧客が「契約概要」、「注意喚起情報」の内容を理解するための十分な時間の確保
Ⅱ.広告審査体制の充実を促すための監督指針改正について
1.改正の経緯
保険商品に関する広告等は、現在、新聞・テレビ、募集人等が説明時に使用するパンフレット等様々な媒体を通じて頻繁にかつ多種多様に行われています。
一般消費者等が広告等から受ける保険商品のイメージは、その購入意欲に大きな影響を与えるものであり、保険商品が多様化・複雑化している現状に鑑みて、広告等の適正な表示はその重要性を増してきているものと考えられます。
金融庁は、これまで、利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底を図る観点から、広告表示に対するモニタリングを行ってきましたが、今般、各保険会社の広告審査体制の一層の充実を促すため、以下のような監督指針の改正を行うこととしました。
2.改正の概要
(1)適正な表示を確保するために内部規定策定上の留意点の追加
・優良誤認・有利誤認の防止
保険商品の保障内容に関する優良性や有利性を示す際に、契約者等に著しく優良又は著しく有利との誤解を与えないために留意する必要のある事項について例示を追加しました。
・客観的事実に基づく表示の確保
例えば、業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語を使用する場合は、その主張する内容が客観的に実証されているかとの記載を追加しました。
・銀行窓販商品にかかる表示の確保
預金等と誤認しないように、保険会社の保険商品であることを適切に表示しているかとの記載を追加しました。
(2)「契約概要」・「注意喚起情報」の重要性喚起
表示媒体や表示内容に応じて「契約概要」・「注意喚起情報」を読むことの重要性を喚起するための表示を行う旨を規定しました。
(3)適切な表示を行うための十分な審査体制整備
リーガルチェック等を含めた十分な広告等審査体制整備の留意点として、
①募集用の資料等について、本社で集中管理するなどの方法により、表示内容にかかる審査が漏れなく行われる体制となっているか
②パンフレット、契約のしおり等の資料等について、それぞれの表示内容の整合性を確保するためのチェックがなされる体制となっているか
③契約者等からの苦情等において表示上の問題点が指摘されている場合には、その内容について分析し、問題が認められた場合には、改善のための適切な対応がとられる体制となっているか
―を追加しました。
今回の改正内容は以上のとおりですが、これらの規定は平成18年4月1日より適用(ただし、「契約概要」・「注意喚起情報」にかかる部分については、各保険会社においてこの日までに対応できない事情がある場合には、対応できない部分につき平成18年9月30日までその実施の猶予を認める。)することとなっており、金融庁としても円滑に実際の監督事務に反映させるよう努めて参ります。
出典:金融庁発表資料、「アクセスFSA・第40号」及び「保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正について」(平成18年2月28日)。
以上です…ふうε=(-.-;)。
今回で、保険商品の販売・勧誘時における新ルールについての連載はひとまず終了です。今後、新たな動向があり次第再開いたします。
皆様の一票をお待ちしております。
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金融庁は今年の2月28日に、「保険会社向けの総合的な監督指針」を改正しました。
今回の改正は、①「契約概要」・「注意喚起情報」書面等への対応、及び②広告審査体制の充実を促すための監督指針改正―のふたつの点について行われております。
Ⅰ.「契約概要」・「注意喚起情報」書面等への対応
1.改正の経緯
(1)「保険商品の販売・勧誘のあり方に関する検討チーム」において、平成17年7月に公表した「中間論点~保険商品の販売・勧誘時における情報提供のあり方~」では、次のような整理が行われました。
①保険商品の販売勧誘時の説明について以下の施策を行うことが有効。
・一般的な消費者であれば理解しようとする意欲を失わない程度の情報量に限定した重要事項を定める
・商品分野ごとに最低限の重要事項を明確化する
②重要事項の明確化のため、以下の分類に情報を整理し、顧客に提供すること。
・顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(以下、「契約概要」という。)
・保険会社が顧客に対して注意喚起すべき情報(以下、「注意喚起情報」という。)
③「契約概要」・「注意喚起情報」の内容について商品の特性等を踏まえた枠組みを定め、商品分野ごとの細目については業界において自主ガイドラインを定めること。
(2)上記中間論点整理を踏まえ、「契約概要」・「注意喚起情報」に記載すべき事項の枠組み、及びそれらを記載した書面の記載方法、説明方法等について、以下のような監督指針の改正を行い、その明確化を図ることといたしました。
2.改正の内容
(1)「契約概要」・「注意喚起情報」に記載すべき主な項目は以下のとおりとなっています。
〈〈契約概要〉〉
①当該情報が「契約概要」であること
②商品の仕組み
③保障の内容
(注)保険金等の支払い事由、支払い事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合について、それぞれ主なものを記載すること。保険金等を支払わない場合が通例でないときは、特に記載すること。
④付加できる主な特約及びその概要
⑤保険期間
⑥引受条件(保険金額等)
⑦保険料に関する事項
⑧保険料払込みに関する事項(保険料払込方法、保険料払込期間)
⑨配当金に関する事項(配当金の有無、配当方法、配当額の決定方法)
⑩解約返戻金等の有無及びそれらに関する事項
次に掲げる投資性商品については、以下の項目も記載するものとする。
(変額保険、変額年金)
⑪特別勘定に属する資産の種類及びその評価方法
⑫特別勘定に属する資産の運用方法
⑬諸費用に関する事項(保険契約関係費、資産運用関係費等)
⑭特別勘定に属する資産の運用実績により将来における保険金等の額が変動し、不確実
であること
(外貨建て保険)
⑮保険金等の支払い時における外国為替相場により円に換算した保険金等の額が、保険契約時における外国為替相場による円に換算した保険金等の額を下回る場合があること
⑯外国通貨により契約を締結することにより、特別に生じる手数料等の説明
〈〈注意喚起情報〉〉
①当該情報が「注意喚起情報」であること
②クーリング・オフ(保険業法第309条第1項に規定する保険契約の申込みの撤回等)
③告知義務等の内容
④責任開始期
⑤支払い事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合のうち主なもの
(注)通例でないときは、特に記載すること
⑥保険料の払込猶予期間、契約の失効、復活等
⑦解約と解約返戻金の有無
⑧セーフティネット
⑨特に法令等で注意喚起することとされている事項
次に掲げる投資性商品については、以下の項目も記載するものとする。
(変額保険)
⑩特別勘定に属する資産の運用実績により将来における保険金等の額が変動し、不確実であること
(外貨建て保険)
⑪保険金等の支払い時における外国為替相場により円に換算した保険金等の額が、保険契約時における外国為替相場による円に換算した保険金等の額を下回る場合があること
⑫外国通貨により契約を締結することにより、特別に生じる手数料等の説明
(2)「契約概要」・「注意喚起情報」の記載方法、説明方法等については、次のような体制を整備することを規定しております。
①記載方法
・例えば、文字の大きさを8ポイント以上とする等、文字の大きさ、配列等について顧客にとって理解しやすい記載
・使用する文言について、その平明性及び明確性の確保
・顧客に対して、具体的な数値等を示す必要がある事項(保険期間、保険金額、保険料等)については、具体的な数値を記載
・情報量について、例えば「契約概要」・「注意喚起情報」併せてA3両面程度とするなど顧客が理解しようとする意欲を失わないよう配慮
・他の書面との分離・独立
②説明方法
・「契約概要」・「注意喚起情報」が記載された書面を詠むことが重要であること、主な免責事由など顧客にとって特に不利益な情報が記載された部分を読むことが重要であること、乗換・転換の場合には、これらが顧客にとって不利益になる危険性があること、について口頭により説明
・書面の交付にあたり、顧客が「契約概要」、「注意喚起情報」の内容を理解するための十分な時間の確保
Ⅱ.広告審査体制の充実を促すための監督指針改正について
1.改正の経緯
保険商品に関する広告等は、現在、新聞・テレビ、募集人等が説明時に使用するパンフレット等様々な媒体を通じて頻繁にかつ多種多様に行われています。
一般消費者等が広告等から受ける保険商品のイメージは、その購入意欲に大きな影響を与えるものであり、保険商品が多様化・複雑化している現状に鑑みて、広告等の適正な表示はその重要性を増してきているものと考えられます。
金融庁は、これまで、利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底を図る観点から、広告表示に対するモニタリングを行ってきましたが、今般、各保険会社の広告審査体制の一層の充実を促すため、以下のような監督指針の改正を行うこととしました。
2.改正の概要
(1)適正な表示を確保するために内部規定策定上の留意点の追加
・優良誤認・有利誤認の防止
保険商品の保障内容に関する優良性や有利性を示す際に、契約者等に著しく優良又は著しく有利との誤解を与えないために留意する必要のある事項について例示を追加しました。
・客観的事実に基づく表示の確保
例えば、業界における最上級その他の序列を直接に意味する用語を使用する場合は、その主張する内容が客観的に実証されているかとの記載を追加しました。
・銀行窓販商品にかかる表示の確保
預金等と誤認しないように、保険会社の保険商品であることを適切に表示しているかとの記載を追加しました。
(2)「契約概要」・「注意喚起情報」の重要性喚起
表示媒体や表示内容に応じて「契約概要」・「注意喚起情報」を読むことの重要性を喚起するための表示を行う旨を規定しました。
(3)適切な表示を行うための十分な審査体制整備
リーガルチェック等を含めた十分な広告等審査体制整備の留意点として、
①募集用の資料等について、本社で集中管理するなどの方法により、表示内容にかかる審査が漏れなく行われる体制となっているか
②パンフレット、契約のしおり等の資料等について、それぞれの表示内容の整合性を確保するためのチェックがなされる体制となっているか
③契約者等からの苦情等において表示上の問題点が指摘されている場合には、その内容について分析し、問題が認められた場合には、改善のための適切な対応がとられる体制となっているか
―を追加しました。
今回の改正内容は以上のとおりですが、これらの規定は平成18年4月1日より適用(ただし、「契約概要」・「注意喚起情報」にかかる部分については、各保険会社においてこの日までに対応できない事情がある場合には、対応できない部分につき平成18年9月30日までその実施の猶予を認める。)することとなっており、金融庁としても円滑に実際の監督事務に反映させるよう努めて参ります。
出典:金融庁発表資料、「アクセスFSA・第40号」及び「保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正について」(平成18年2月28日)。
以上です…ふうε=(-.-;)。
今回で、保険商品の販売・勧誘時における新ルールについての連載はひとまず終了です。今後、新たな動向があり次第再開いたします。
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