認知症ケアの切り札・「グループホーム」の狭き門―総量規制で新設数急減。

8月18日の日本経済新聞・夕刊に、認知症ケアのための施設である、グループホームの現状などを取り上げた記事がありました。

記事によりますと、

< 認知症への理解が進んできた割に、介護保険でのサービスは広がっていない。その代表がグループホーム。認知症ケアの切り札といわれながら、新設数が急減している。今後、首都圏を中心に認知症高齢者は増加するだけに、制度への不信感が起きそうだ。>

とのことです。

…記事を読む限り、老老介護・認認介護、介護の地域格差など、介護を必要としている人たちを取り巻く環境は、ますます厳しくなっているように思えます。

必要とする人が利用しにくい、できない介護保険制度なんて、「名ばかり社会保障」ではないか?そんな疑問がぬぐえません。

【記事の内容】

以下、記事の内容です。

【グループホーム狭き門―認知症高齢者行き場を失う。総量規制で開設鈍る】
 認知症への理解が進んできた割に、介護保険でのサービスは広がっていない。その代表がグループホーム。認知症ケアの切り札といわれながら、新設数が急減している。今後、首都圏を中心に認知症高齢者は増加するだけに、制度への不信感が起きそうだ。

 「もう在宅介護は限界に近い。グループホームに移るのがいいのだが、2人で一緒には入居できない」と、担当する認知症の夫婦について頭を抱えているのは東京都心部のケアマネジャー、Aさん。夫婦は2人暮らしで、ともに要介護2だ。

 妻(83)はかなり認知症が進んできて、買い物に行くと好きな甘いものばかり購入。調理はできない。呼吸器に疾患のある夫(88)は薬の自己管理が難しい。2人は、ヘルパーと訪問看護師の手助けやデイサービスに通うなどサービスをフルに使って暮らしている。

 ◇“認認介護”限界
 「夫婦で互いに助け合いながらの生活だから、何とか持ちこたえている」とAさん。認知症の人が認知症の人を介護するいわゆる「認認介護」である。もしグループホームに入居できても、離れ離れになると症状は一気に悪化してしまう恐れがあるという。

 老老介護から認認介護への移行が今後、子どもとの同居が少ない大都市を中心に増えていきそうだ。訪問診療を手掛ける「こだまクリニック」(東京・品川)の木之下徹院長は「認認介護はあまり知られていないが、実際は相当に多く問題が出ている」と警告する。

 グループホームが十分に供給されれば夫婦が同じ部屋に移る可能性が高い。だが、グループホームの新規開設は急減している。調査会社のハヤカワプランニング(東京・文京)によると2007年度の開設は514ヵ所、定員は8979人にとどまった。

 グループホームは民家など小規模な施設で5~9人の高齢者が介護者と共に暮らすサービス。認知症ケアの切り札として00年の介護保険で制度化された。企業や特定非営利活動法人(NPO)にも門戸開放され増えてきたが、04年度の新設1828ヵ所、定員2万9000人をピークに勢いが止まった。

 厚生労働省が04年に在宅ケア重視策から居住系5施設(グループホーム、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養病床、介護専用型特定施設)の抑制を地方自治体に指示したためだ。いわゆる「総量規制」である。

 全国のグループホームの総定員は約13万4000人。認知症高齢者は02年で約150万人だったが、15年には7割増の250万人を超える。高齢化が急速に進む首都圏での増加が著しい。だが、東京とは全国で最もグループホームの整備が遅れている。その都民を受け入れてきたのが茨城県。同県の調べではほぼ5人に1人が都民だという。

 ◇大きい地域格差
 「制度が変わって、認知症の生活保護受給者の行き場がなくなりそう」と困惑しているのは東京都墨田区の担当者。総量規制に加えて、06年度からグループホームは「地域密着サービス」にくくられ、入居者はその市町村民に限られるというさらなる規制が始まったからだ。それまで同区から近県の施設に入居した80人近い生活保護者の約半数は茨城県に移り、その多くはグループホームに入居してきた。

 同県でもかすみがうら市は、市外住民を多く受け入れてきており、10ヵ所のグループホームの定員225人のうち半数近くは東京都民。06年度から同市はグループホームの新設を止めているうえ、既存施設の空室への入居も同市住民に限定し始めた。

 厚労省は、例外的に市町村が互いに合意すれば他住民の受け入れも認めており、かすみがうら市でも都内三区から5人が引っ越してきた。とはいえ細かい手続きが必要で、以前のように入居希望者が自由に移っては来られない。 

 総量規制によるグループホームの抑制策は、普及率が低い都市にも及んでいる。全国平均以下の神戸市では「5年前から事業者の申し出を断っている」。その結果この3月まで3年間ひとつの新設もなかった。

 厚労省は総量規制について「09年度からも継続させる」としており、グループホームの新設件数はさらに落ち込みそうだ。サービス量が足らなければ利用者はサービスの選択権を奪われ、介護保険制度の理念が崩れかねない。

[生活支える体制が重要]
 新たな認知症対策を厚生労働省が7月に発表した。その医療重視策に訪問診療を手掛ける医師から批判の声があがっている。新方針は「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」で、全国150の病院を「認知症疾患医療センター」に指定し、確定診断や専門医療を提供しようというもの。

 これに日本医師会元常任理事の野中博さんは「認知症には『治す』視点でなく、『支える』姿勢で臨むべきだ」と反論する。

 新田クリニック(東京・国立市)の新田国夫さんは「生活環境を変えてしまう病院中心主義は間違い」と断言。「緊急なら医療でなくグループホームなど地域ケアを充実させねば」と指摘するのは千葉県松戸市の医師、苛原実さん。

 根治薬のない中、認知紹介護研究・研修東京センターによる「センター方式」など福祉職のケア手法が現場で効果を上げている。医療の介入には慎重な姿勢が必要だろう。


以上です。

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