終身保険の契約を巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成23年4~6月の苦情受け受付状況(ボイスリポートNo.23)に、終身保険の契約を巡る裁定事案がありました。

リポートによりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 募集人が終身保険加入時に事実と相違する説明をしたとして、契約の取り消しおよび既払込保険料の返還、または契約時の説明どおりの保障(年金もしくは介護保障への移行)を求め申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成11年、他社の契約を解約し保険料5年分を前納して終身保険に加入した際、募集人に対し、「死亡保障は不要であること、60歳になる時点で年金または介護保険に移行できる保険に加入したいこと」を伝え、募集人より希望に沿うものとして勧められ加入した。契約後10年を経過すれば、解約返戻金は既払込保険料を上回るとの説明であったにもかかわらず、実際には解約返戻金は既払込保険料を大きく下回った。また、募集人は、当時、私が融資を受けているので、多額の保障(保険)をつけたこと、その返済表を確認したと会社に報告しているようだが、そのような事実はない。

 以上のように、募集人に虚偽説明があったのだから、契約を取り消して既払込保険料を返還するか、または60歳の時点において解約返戻金は既払い込み保険料を上回ることを前提とした年金または介護保障への移行を認めてほしい。

…この事案は既に和解が成立しています。

察するに、募集人は保険料の払込終了時に、保障内容の変更制度を利用して、保障の一部または全部を「年金」あるいは「介護保障」へと移行することを前提に、積立利率変動型終身保険を提示し、契約を締結したものと思われます。

個人的には保険商品の選定そのものは不適切とは言い切れないと思います。

しかし、保障額の設定をする際に借入金の存在を捏造し、必要以上に大きな保障額を設定したことで、契約から6年目以降の毎年の保険料が、申立人にとって支払い困難な130万円を超える保険契約としたことは、明らかに問題であり、トラブルになるのは避けられない、と思われます。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(ボイスリポートNo.23・P11~13より転載)。

[事案22-22] 契約無効確認・既払込保険料返還請求
・平成23年4月15日 和解成立

<事案の概要>
 募集人が終身保険加入時に事実と相違する説明をしたとして、契約の取り消しおよび既払込保険料の返還、または契約時の説明どおりの保障(年金もしくは介護保障への移行)を求め申立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成11年、他社の契約を解約し保険料5年分を前納して終身保険に加入した際、募集人に対し、「死亡保障は不要であること、60歳になる時点で年金または介護保険に移行できる保険に加入したいこと」を伝え、募集人より希望に沿うものとして勧められ加入した。契約後10年を経過すれば、解約返戻金は既払込保険料を上回るとの説明であったにもかかわらず、実際には解約返戻金は既払込保険料を大きく下回った。また、募集人は、当時、私が融資を受けているので、多額の保障(保険)をつけたこと、その返済表を確認したと会社に報告しているようだが、そのような事実はない。

<保険会社の主張>
 募集人から事実確認をした結果、下記のとおり、申立人の主張するような説明を行った事実はないものと判断し、申立人の請求には応じることはできない。

 (1)当初は申立人より貯蓄タイプの保険の要望があったものの、万一の時に自営業に係る借入金の返済を保険金で行いたいとの要望もあったため、最終的に死亡保障の必要性についても確認のうえ、複数の提案の中から申立人が本件契約を選んだ。

 (2)設計書の保険内容の推移表においては、解約返戻金額のほかに保険料累計額も記載されており、保険料累計と解約返戻金額との比較は容易に出来る。

 (3)さらに、同保険内容の推移表が記載された紙面の下部に「2%については最低保証されていますが、3%および4%については将来の支払を約束するものではありません」と記載されており、本件保険契約の運用実績が4.0%に固定されているものではないことは、申立人において認識されていたものと判断している。

 (4)申立人は申込書に署名押印、「ご契約のしおり 約款」受領印欄に押印がそれぞれなされていることから、契約の内容を十分承知のうえ加入したものと判断している。

<裁定の概要>
 申立人が既払込保険料の返還を求める法的な根拠は必ずしも明らかではないが、裁定審査会では、①消費者契約法4条1項1号(不実告知)、②詐欺による取消し(民法96条1項)、③錯誤による無効(民法95条)を主張するものと解し、申立人および相手方会社から提出された書面および申立人からの事情聴取の内容にもとづき審理した。

 審理の結果、下記1のとおり、申立人の主張を認めることはできないものの、下記2の事情を勘案し和解による解決が相当であると判断し、生命保険相談所規程第41条1項にもとづき和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、和解契約書の締結をもって解決した。

1.申立人の主張について
 以下のとおり、募集担当者が申立契約を勧誘するに際し、重要事項について事実と異なることを告げたとは認められず、消費者契約法4条1項1号に基づく契約の取消しは認められないし、募集担当者に詐欺があったと認めることもできず、詐欺による取消し(民法96条1項)も認められない。

 また、申立人に、仮に錯誤が認められるとしても、申立人が錯誤に陥った事項については、勧誘時に使用された設計書の記載から容易に理解できたといえるので、申立人には、錯誤に陥ったことについて重大な過失があったといえ、申立人から無効を主張することはできない(民法95条ただし書)。

 (1)設計書には申立契約に死亡保障はないこと、保険料が一括の前納払いであること、契約後10年を経過すれば解約返戻金が既払込保険料を必ず上回ることの記載はない。

 (2)保険料の払込期間や解約返戻金額についても、募集担当者に虚偽の説明があったと認めることはできない。

 ①申立人は、事情聴取において、申立契約の保障内容として死亡保障があることは認識していた旨を述べ、死亡保障の有無について募集担当者に虚偽の説明があったと認めることはできない。

 ②募集担当者は、設計書に則して説明するのが一般的であって、設計書の記載から明らかな事柄については、その記載に則した説明をするのが通常であると考えられ、本件では、募集担当者が、保険料の払込期間や解約返戻金額については、設計書と異なる説明をしたと認める証拠は見当たらない。

2.和解による解決について
 下記理由から、申立契約は、申立人に適合しない契約であったと認めることができ、申立契約に加入するため、申立人が他社の保険を喪失した結果も看過することはできないが、他方で、申立人は、約10年に亘り、申立契約による保障の利益を享受してきた。

 (1)募集担当者が、どのような意図で高額の死亡保障のある契約を提案したかについて、相手方会社が募集担当者に確認したところ、申立人は、金融機関から借入れがあり、加入時点における借入金合計金額に相当する金額で保険金額を設定したと説明するが、募集担当者が説明するような借入金が存在していたとは認められない。

 (2)申立人は、初回保険料と4年分の前納保険料の合計保険料を、他保険会社の契約を解約した返戻金等によって支払い、6年目以降は毎年の保険料は申立人にとって支払困難な130万円超となっていたことにつき、募集担当者に確認したところ、他社既契約の保険料合計額よりも低い金額で設定しており、他社既契約を解約すれば支払い可能な金額であると判断したと、説明している。しかし、申立人が解約した保険の解約時における年払保険料は10万円弱であった。


以上です。

画像
↑、6月下旬に撮影した庭先のグラジオラスです。

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