手術給付金の支払いを巡る裁定事案。

生命保険協会が取りまとめた、平成26年1~3月の裁定概要集(PDF)に、手術給付金の支払いを巡る裁定事案がありました。

裁定概要集によりますと、申立人に事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。

<事案の概要>
 約款に定める「その他の悪性新生物手術」(給付倍率20倍)ではなく、「悪性新生物根治手術」(給付倍率40倍)としての手術給付金支払いを求めて申し立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成3年1月にがん保険を契約したが、平成25年1月に腎細胞癌のため腎(尿管)悪性腫瘍手術を受け、「悪性新生物根治手術」(給付倍率40倍)として手術給付金の支払いを受けた。その後、右腎盂癌とのダブルキャンサー(重複癌)であることが判明し、同年3月に残存尿管摘出術を受けたところ、「その他の悪性新生物手術」(給付倍率20倍)として手術給付金の支払いを受けた。

 しかしながら、本手術も「悪性新生物根治手術」に該当するので、給付倍率40倍の給付金を支払ってほしい。

…この事案はすでに裁定が終了しています。

重複癌とは「転移ではなく、複数の癌が原発性の癌として生じること」なのだそうです。申立人は、尿細管の組織と尿路の組織がそれぞれがん化した、ということになります。

さて、裁定の焦点となっている「根治手術」についてですが、国立がん研究センター・がん情報センターでは次のように解説しています。

<【根治手術】

 病気を完全に治すことを期待して行う手術のことです。根治手術では、がんをすべて取り除くことを目標としており、がんそのものの切除に加えて、がんの再発や転移が起こらないように、がんが広がっている可能性がある臓器や組織なども含めて切除することがあります。>


管理人個人としては、この解説を読む限り、「腎細胞がんと腎盂がんの原発腫瘍摘出を行った1月の手術は、悪性新生物根治手術」、「残存尿管摘出を行った3月の手術は、その他の悪性新生物手術」とした保険会社の判断は、無理のない支払査定ではないかと思います。

【事案の内容】

以下、裁定事案の内容です(平成26年1~3月受付分裁定概要集・P18~19より転載)。

[事案25-74] 手術給付金請求
・平成26年1月29日 裁定終了

<事案の概要>
 約款に定める「その他の悪性新生物手術」(給付倍率20倍)ではなく、「悪性新生物根治手術」(給付倍率40倍)としての手術給付金支払いを求めて申し立てがあったもの。

<申立人の主張>
 平成3年1月にがん保険を契約したが、平成25年1月に腎細胞癌のため腎(尿管)悪性腫瘍手術を受け、「悪性新生物根治手術」(給付倍率40倍)として手術給付金の支払いを受けた。その後、右腎盂癌とのダブルキャンサー(重複癌)であることが判明し、同年3月に残存尿管摘出術を受けたところ、「その他の悪性新生物手術」(給付倍率20倍)として手術給付金の支払いを受けた。

 しかしながら、本手術も「悪性新生物根治手術」に該当するので、給付倍率40倍の給付金を支払ってほしい。

<保険会社の主張>
 以下の理由により、申立人の主張に応じることはできない。

(1)「悪性新生物根治手術」とは、「癌や肉腫などの悪性新生物の原発腫瘍を外科的手法により切除、摘除、摘出することにより、原発腫瘍を体内から取り除く手術」である。

(2)平成25年1月の手術では腎盂癌の原発腫瘍も摘出しており、腎盂癌の根治手術も兼ねていたものと考えられるが、同年3月の手術では悪性新生物の原発腫瘍の摘出は行われておらず、「悪性新生物根治手術」に該当しない。

(3)診療報酬点数は、平成25年1月の手術は42,770 点であるが、同年3月の手術は18,810点であり、差は手術部位の範囲や手技の難易度に関係している。癌の原発腫瘍を摘出したか否かも関係していると考えられるので、癌腫瘍を摘出した手術と、残存臓器を摘出した本手術の手術給付金倍率に差を設けることには合理性がある。

<裁定の概要>
 裁定審査会では、当事者から提出された申立書、答弁書等の書面の内容にもとづき審理を行
った。審理の結果、以下のとおり、申立内容は認められないので、指定(外国)生命保険業務
紛争解決機関「業務規程」第37 条1 項にもとづき、裁定書にその理由を明記し、裁定手続を
終了した。

1.約款の規定について
 (1)本約款では、「がん手術給付金」は、1回の手術につき入院給付日額に、手術の種類に応じて給付倍率を乗じた金額が支払われると規定されている。

 (2)「悪性新生物根治手術」は約款上定義されていないが、手術給付倍率表では「悪性新生物根治手術」の給付倍率を40倍、「その他の悪性新生物手術」の給付倍率を20倍としている。

2.「悪性新生物根治手術」の意味
 (1)保険会社は、「悪性新生物根治手術」とは「癌や肉腫などの悪性新生物の原発腫瘍を外科的手法により切除、摘除、摘出することにより、原発腫瘍を体内から取り除く手術」であり、原発巣の摘出を伴わない手術や転移巣等に対する手術はこれに該当せず、「その他の悪性新生物手術」に該当すると主張するが、他方、申立人は、国立がん研修センターがん対策情報室による解説から、原発巣の摘出を伴わなくとも、がんの根治を目的とした手術であれば「悪性新生物根治手術」に該当すると主張している。

 (2)「根治手術」の意味は、医学的には、伝統的に保険会社の主張するような手術として理解されてきており、「根治」という用語から、常識的にも是認できるものである。また、国立がん研究センターがん対策情報室による解説からも、「根治手術」の対象は原発腫瘍であることを読み取ることができ、保険会社の主張する「悪性新生物根治手術」の定義と同内容である。

 したがって、原発腫瘍を切除する手術とは別の機会に周辺の臓器や組織を切除する手術を実施しても、同手術が「根治手術」に該当するとは認められない。

3.本手術の「悪性新生物根治手術」該当性について
 本手術は、原発巣を全摘した手術において残存させた右尿管を摘出したものであり、上記2のとおり、約款が規定する「悪性新生物根治手術」には該当しない。


以上です。

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