最新の放射線治療、動体追尾IMRT治療。
1月23日の日本経済新聞・夕刊に、京都大学医学部附属病院における最新の放射線治療、動体追尾IMRT治療についての記事がありました。
動体追尾IMRT治療とは、どのような放射線治療なのでしょうか?放射線治療装置を納入した、三菱重工の2013年6月28日付プレスインフォメーションによると、
< 三菱重工業が京都大学医学部附属病院に納入した追尾照射機能搭載の放射線治療装置Vero4DRT(販売名:線形加速器システムMHI-TM2000)が膵臓がんに対する動体追尾強度変調放射線治療(動体追尾IMRT)に用いられ始めました。呼吸などにより揺れ動くがん病巣をリアルタイムに追尾し狙った病巣をピンポイントで連続照射する動体追尾機能に、放射線治療における最新照射技法の一つである強度変調放射線治療(IMRT)を融合した治療法で、リアルタイムモニタリングによる動体追尾IMRT治療の実施は世界で初めてです。>
―とのことです。
…放射線の強度を細かく調整して多方向から腫瘍に照射し、呼吸によって腫瘍が動いても追尾して照射することで、腫瘍周辺の正常細胞への影響を抑えつつ、腫瘍への照射線量をより高めることができるわけですから、凄いことです。
動体追尾IMRTが行われているのは、京大医学部付属病院と先端医療センター病院だけのようですが、そのうちがん治療の拠点病院にも設置されるかもしれませんね。
【記事の内容】
以下、記事の内容です。
―日本経済新聞 2015年1月23日夕刊―
【進化するがん治療機器(上)―精密照射、体の負担少なく】
がんの治療法は日々進化している。医療機器では、呼吸とともに微妙に動く患部に放射線を正確に当てたり、体内の様子を画面に映し出しながら細長い針を差し込んだりする装置が一部の医療機関で使われ始めた。患者の負担を減らしながら治療効果を高める狙いだ。これに携わる専門家は「いずれ各地の医療機関にも普及させたい」と話す。治療の最前線を2回にわたり紹介する。
京都大学病院(京都市)の地下1階にある広い治療室に入ると、がんの放射線治療用の巨大な装置が目に入った。高さ約3メートルで、ドーナツ状の輪が縦向きに置かれ、中心部の空間にベッドに寝た人が入っていく。ベッドや輪が微妙に動き、複数の方向からがんの患部を放射線で狙い打つことができる。
この装置は京大と三菱重工業、先端医療センター(神戸市)がつくった。開発に参加した京大の横田憲治特定講師は「患者は息を止める必要が無く、負担も少ない。がんの形に合わせて照射できる」と利点を説明する。
放射線照射は外科手術、抗がん剤とともにがん治療の柱だ。臓器を切除せずに済む利点がある。ただ、がんの周囲にある正常な組織に放射線が当たると、皮膚や粘膜が炎症を起こしたり、萎縮したりする副作用が出る。
特に膵臓や肝臓のがんは呼吸時に横隔膜の動きに伴い動く。周辺組織への副作用を軽減するとために放射線量を抑えると、十分な治療効果が見込めなくなる恐れがある。また、放射線照射は抗がん剤と併用する例も多い。抗がん剤投与によって傷んだ組織に放射線が当たると副作用がひどくなりやすいという。
京大の装置は複数のセンサーを駆使するとともに、放射線を出す装置のヘッドと呼ぶ素子の向きを逐次変えることができる。患部が呼吸などで動いて正確に追尾して放射線を照射できる。
さらに、放射線の強度をコンピューターで制御する強度変調放射線治療(IMRT)を組み合わせた。複数の放射線ビームを組み合わせ、がんに当たる放射線の形や範囲を常に変化させる仕組みだ。
◇「薬併用しやすく」
これらの工夫で、患部に必要な放射線を当てながら、正常な組織へのダメージを抑えた。「新手法なら作用の強い抗がん剤とも組み合わせやすく、従来以上の治療効果を見込める」と京大の平岡真寛教授は強調する。
新手法を導入しているのは、京大病院と先端医療センターだ。京大病院では2013年6月に膵臓がんの患者に初めてこの手法を用い、昨年9月には肝臓がんの患者にも適用した。
この2つのがんは、いずれも治すのが難しい。たとえば「膵臓がん患者のうち、手術の対象になるのは約2割。手術できない患者の余命は8ヵ月から1年程度の場合が多い」(先端医療センター病院放射線治療科の小久保雅樹部長)。
新手法では患者は通常、1回25分間程度の治療を3週間にわたり15回続ける。平岡教授は「10段階の強度の放射線を多数組み合わせて、グラデーション状に放射線の強さを変える」と話す。幹部に十分な量の放射線を当てつつ、周辺への正常な肝臓組織が受ける線量を約15%減らせるという。
治療の中長期的な効果を見極めるにはまだ時間が必要だが、昨年4月に膵臓がんを治療した70代男性は、特に副作用も無く予定通り退院した。その後は再発を防ぐため、抗がん剤治療を受けた。男性は現在、抗がん剤治療も終え、経過をみている。
◇健康保険の対象
がん治療の可能性を広げる新手法だが、どんながんに対しても適用できるわけではない。呼吸などに伴って動き、近くに正常な腸管があるがんに限られる。膵臓と肝臓以外には、胆のうや腎臓のがんが対象になるという。小久保部長は「がんが広がりすぎて腸管に付いた状態だと、この治療法を使いにくい」と説明する。
新型装置による治療については健康保険が適用される。ただ、全国に普及するにはまだ時間がかかりそうだ。がん治療を考えている患者に対しては、「どんな治療が可能か、まず現在かかっている医師や放射線の専門医に相談してほしい」と小久保部長は話している。
以上です。
↑、交尾中のナミアゲハ・夏型のカップル。上がメスで下がオス(13年9月撮影)。
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―とのことです。
…放射線の強度を細かく調整して多方向から腫瘍に照射し、呼吸によって腫瘍が動いても追尾して照射することで、腫瘍周辺の正常細胞への影響を抑えつつ、腫瘍への照射線量をより高めることができるわけですから、凄いことです。
動体追尾IMRTが行われているのは、京大医学部付属病院と先端医療センター病院だけのようですが、そのうちがん治療の拠点病院にも設置されるかもしれませんね。
【記事の内容】
以下、記事の内容です。
―日本経済新聞 2015年1月23日夕刊―
【進化するがん治療機器(上)―精密照射、体の負担少なく】
がんの治療法は日々進化している。医療機器では、呼吸とともに微妙に動く患部に放射線を正確に当てたり、体内の様子を画面に映し出しながら細長い針を差し込んだりする装置が一部の医療機関で使われ始めた。患者の負担を減らしながら治療効果を高める狙いだ。これに携わる専門家は「いずれ各地の医療機関にも普及させたい」と話す。治療の最前線を2回にわたり紹介する。
京都大学病院(京都市)の地下1階にある広い治療室に入ると、がんの放射線治療用の巨大な装置が目に入った。高さ約3メートルで、ドーナツ状の輪が縦向きに置かれ、中心部の空間にベッドに寝た人が入っていく。ベッドや輪が微妙に動き、複数の方向からがんの患部を放射線で狙い打つことができる。
この装置は京大と三菱重工業、先端医療センター(神戸市)がつくった。開発に参加した京大の横田憲治特定講師は「患者は息を止める必要が無く、負担も少ない。がんの形に合わせて照射できる」と利点を説明する。
放射線照射は外科手術、抗がん剤とともにがん治療の柱だ。臓器を切除せずに済む利点がある。ただ、がんの周囲にある正常な組織に放射線が当たると、皮膚や粘膜が炎症を起こしたり、萎縮したりする副作用が出る。
特に膵臓や肝臓のがんは呼吸時に横隔膜の動きに伴い動く。周辺組織への副作用を軽減するとために放射線量を抑えると、十分な治療効果が見込めなくなる恐れがある。また、放射線照射は抗がん剤と併用する例も多い。抗がん剤投与によって傷んだ組織に放射線が当たると副作用がひどくなりやすいという。
京大の装置は複数のセンサーを駆使するとともに、放射線を出す装置のヘッドと呼ぶ素子の向きを逐次変えることができる。患部が呼吸などで動いて正確に追尾して放射線を照射できる。
さらに、放射線の強度をコンピューターで制御する強度変調放射線治療(IMRT)を組み合わせた。複数の放射線ビームを組み合わせ、がんに当たる放射線の形や範囲を常に変化させる仕組みだ。
◇「薬併用しやすく」
これらの工夫で、患部に必要な放射線を当てながら、正常な組織へのダメージを抑えた。「新手法なら作用の強い抗がん剤とも組み合わせやすく、従来以上の治療効果を見込める」と京大の平岡真寛教授は強調する。
新手法を導入しているのは、京大病院と先端医療センターだ。京大病院では2013年6月に膵臓がんの患者に初めてこの手法を用い、昨年9月には肝臓がんの患者にも適用した。
この2つのがんは、いずれも治すのが難しい。たとえば「膵臓がん患者のうち、手術の対象になるのは約2割。手術できない患者の余命は8ヵ月から1年程度の場合が多い」(先端医療センター病院放射線治療科の小久保雅樹部長)。
新手法では患者は通常、1回25分間程度の治療を3週間にわたり15回続ける。平岡教授は「10段階の強度の放射線を多数組み合わせて、グラデーション状に放射線の強さを変える」と話す。幹部に十分な量の放射線を当てつつ、周辺への正常な肝臓組織が受ける線量を約15%減らせるという。
治療の中長期的な効果を見極めるにはまだ時間が必要だが、昨年4月に膵臓がんを治療した70代男性は、特に副作用も無く予定通り退院した。その後は再発を防ぐため、抗がん剤治療を受けた。男性は現在、抗がん剤治療も終え、経過をみている。
◇健康保険の対象
がん治療の可能性を広げる新手法だが、どんながんに対しても適用できるわけではない。呼吸などに伴って動き、近くに正常な腸管があるがんに限られる。膵臓と肝臓以外には、胆のうや腎臓のがんが対象になるという。小久保部長は「がんが広がりすぎて腸管に付いた状態だと、この治療法を使いにくい」と説明する。
新型装置による治療については健康保険が適用される。ただ、全国に普及するにはまだ時間がかかりそうだ。がん治療を考えている患者に対しては、「どんな治療が可能か、まず現在かかっている医師や放射線の専門医に相談してほしい」と小久保部長は話している。
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