豪ドル建終身保険(金融機関窓販)の契約を巡る裁定事案。
生命保険協会が取りまとめた、平成30年10~12月の裁定概要集(PDF)に、豪ドル建終身保険の契約を巡る裁定事案がありました。
裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。
<事案の概要>
契約時、判断能力を有していなかったこと等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成29年8月に信用金庫を募集代理店として契約した利率変動型終身保険(豪ドル建)について、以下の理由により、契約を取り消して一時払保険料を返還してほしい。
(1)契約時、低血糖誘発性の認知機能障害を引き起こした可能性があり、また、認知症の症状もあったことから、判断能力がなかった。
(2)募集人から、契約は相続税対策になり、また、死亡保険金額は元本割れしないとの誤説明を受けた。
(3)契約時に家族の同席がなかったことは、信用金庫の高齢者募集ルールに違反している。
…この事案は既に和解が成立しています。
個人的には、今回の事案は金融商品取引法に則って、高齢者に対する募集ガイドラインを守っていれば、防げていた事案だと思います。
代理店に対して虚偽の報告をした募集人には、無期限の新規募集業務停止を、虚偽報告を容認した同席者には、最低でも半年間の新規募集業務停止処分を下すべきだと思います。
代理店に対しては最低でも厳重注意の処分を下すべき事案でしょう。
【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(平成30年10~12月裁定概要集・P24~25より転載)。
[事案29-357] 新契約無効請求
・平成30年10月12日 和解成立
<事案の概要>
契約時、判断能力を有していなかったこと等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成29年8月に信用金庫を募集代理店として契約した利率変動型終身保険(豪ドル建)について、以下の理由により、契約を取り消して一時払保険料を返還してほしい。
(1)契約時、低血糖誘発性の認知機能障害を引き起こした可能性があり、また、認知症の症状もあったことから、判断能力がなかった。
(2)募集人から、契約は相続税対策になり、また、死亡保険金額は元本割れしないとの誤説明を受けた。
(3)契約時に家族の同席がなかったことは、信用金庫の高齢者募集ルールに違反している。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)申立人が提出した証拠から判断能力に問題があったと推認することはできず、会社の代表者として経営を行っていることからも、申立人は募集人の説明を理解していた。
(2)募集人は、設計相やパンフレット等を用いて契約内容について適切な説明をした。
(3)高齢者募集ルールは、高齢者やその親族とのトラブルの未然防止・早期発見に資する趣旨で設けられたものであり、同ルールの違反があったとしても、契約の取消理由にはならない。
<最低の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の説明状況等を把握するため、申立人、申立人の子および募集人に対して事情聴取を行った。
2.裁定結果
上記手続の結果、申立人の判断能力に問題があったことや募集人の説明に問題があったことは認められない。一方、高齢者募集ルールの違反があったことは認められるところ、契約の取消しおよび一時払保険料の返還は認められないが、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。
(1)申立人は本契約の内容について誤解したと認められるが、この誤解は、申立人が投資経験のない高齢者で、認知症の症状があったことも一因であると考えられ、正に家族同席が必要な状況にあった。
(2)募集人は、信用金庫に虚偽の報告を行い、契約時に同席した役席者もこれを容認したといえるなど、ルール違反としては深刻といえる。
以上です。
↑、ホトケノザで休息中のモンシロチョウ(先月撮影)。
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裁定概要集によりますと、事案の概要と申立人の主張は以下のとおりです。
<事案の概要>
契約時、判断能力を有していなかったこと等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成29年8月に信用金庫を募集代理店として契約した利率変動型終身保険(豪ドル建)について、以下の理由により、契約を取り消して一時払保険料を返還してほしい。
(1)契約時、低血糖誘発性の認知機能障害を引き起こした可能性があり、また、認知症の症状もあったことから、判断能力がなかった。
(2)募集人から、契約は相続税対策になり、また、死亡保険金額は元本割れしないとの誤説明を受けた。
(3)契約時に家族の同席がなかったことは、信用金庫の高齢者募集ルールに違反している。
…この事案は既に和解が成立しています。
個人的には、今回の事案は金融商品取引法に則って、高齢者に対する募集ガイドラインを守っていれば、防げていた事案だと思います。
代理店に対して虚偽の報告をした募集人には、無期限の新規募集業務停止を、虚偽報告を容認した同席者には、最低でも半年間の新規募集業務停止処分を下すべきだと思います。
代理店に対しては最低でも厳重注意の処分を下すべき事案でしょう。
【事案の内容】
以下、裁定事案の内容です(平成30年10~12月裁定概要集・P24~25より転載)。
[事案29-357] 新契約無効請求
・平成30年10月12日 和解成立
<事案の概要>
契約時、判断能力を有していなかったこと等を理由に、契約の取消しを求めて申立てのあったもの。
<申立人の主張>
平成29年8月に信用金庫を募集代理店として契約した利率変動型終身保険(豪ドル建)について、以下の理由により、契約を取り消して一時払保険料を返還してほしい。
(1)契約時、低血糖誘発性の認知機能障害を引き起こした可能性があり、また、認知症の症状もあったことから、判断能力がなかった。
(2)募集人から、契約は相続税対策になり、また、死亡保険金額は元本割れしないとの誤説明を受けた。
(3)契約時に家族の同席がなかったことは、信用金庫の高齢者募集ルールに違反している。
<保険会社の主張>
以下の理由により、申立人の請求に応じることはできない。
(1)申立人が提出した証拠から判断能力に問題があったと推認することはできず、会社の代表者として経営を行っていることからも、申立人は募集人の説明を理解していた。
(2)募集人は、設計相やパンフレット等を用いて契約内容について適切な説明をした。
(3)高齢者募集ルールは、高齢者やその親族とのトラブルの未然防止・早期発見に資する趣旨で設けられたものであり、同ルールの違反があったとしても、契約の取消理由にはならない。
<最低の概要>
1.裁定手続
裁定審査会は、当事者から提出された書面にもとづく審理の他、契約時の説明状況等を把握するため、申立人、申立人の子および募集人に対して事情聴取を行った。
2.裁定結果
上記手続の結果、申立人の判断能力に問題があったことや募集人の説明に問題があったことは認められない。一方、高齢者募集ルールの違反があったことは認められるところ、契約の取消しおよび一時払保険料の返還は認められないが、以下の理由により、本件は和解により解決を図るのが相当であると判断し、和解案を当事者双方に提示し、その受諾を勧告したところ、同意が得られたので、手続を終了した。
(1)申立人は本契約の内容について誤解したと認められるが、この誤解は、申立人が投資経験のない高齢者で、認知症の症状があったことも一因であると考えられ、正に家族同席が必要な状況にあった。
(2)募集人は、信用金庫に虚偽の報告を行い、契約時に同席した役席者もこれを容認したといえるなど、ルール違反としては深刻といえる。
以上です。
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